10年先まで確実に繁栄する、長期計画の立て方

野望と先見の社長学

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著者 佐藤誠一(さとうせいいち)
形態 A5判(15CmX21Cm)本文445ページ
発行 1994年2月14日 ISBN4-930838-78-9
内容 目次と項目   本書のまえがき
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日本経営合理化協会 出版局 TEL:03-3293-0041 





「野望と先見の社長学」 まえがき

はじめに

 社長にとって「事業の将来を的確に読むこと」ほど大切な仕事はない。しかし、すべての社長が、その「先見の明」に恵まれているわけではないから難しい。 

 真夜中に突然、寝床から起きあがり、事業の見通しをあれこれ考えて朝まで寝つけない、というような経験は、社長なら二度や三度はおもちのはずである。それでは、どうすれば先の見通しがつくようになるかといえば、事業の・長期計画・を立ててみる以外にはない、とわたしは確信している。

 長期計画なしに先見の明なし、と断じてよい。「社長という仕事を選んだ以上、俺の人生でこれだけはやり遂げたい」。まず、さまざまな夢や野望をはっきりと絵に描いてみることだ。3年先、5年先、10年先の自分の事業の理想像を思いめぐらし、精一杯欲ばることが大切だ。たとえ他人に言ったら笑われるようなことでもかまわない。それが事業推進のエネルギー源なのだから。

 しかしそれだけなら、絵に描いた餅、である。なんとしても夢を実現しなければならない。そこで社長の夢や野望の裏づけ作業が必要となる。夢や野望という形のないものを、どういう方法で経営計画の中に組み入れるか。

 実は多くの社長が、自分の野望の計画化ノウハウをご存じないために、いたずらに号令をかけたり気を揉むばかりで、なかなかよい手が打てずにいる。その方法を一口で言うと、野望を数字におきかえることである。経営に限らす、この世の中は「数字の約束ごと」がつきものなのだ。数字だから見える、読める、ということがある。数値にしてみてはじめて、社長の欲をコントロールできる手掛かりがつかめる。

 社長の野望という形のないものを、数字におきかえる過程で、数字は「経営の生きた知恵」となり、社長の野望はいつしか洗練されて、「先見の明」となるのだ。逆のことも言えよう。会社の数字は、社長の意図・方針を明確に反映していなければならない。たまたま帳簿にいくらよい数字が並んでいたとしても、それが社長の考え方を明確に数値化した結果でなければ、先見の明にはつながらないということである。

 偶然よかったということで、状況が変化すれば、またまた夜も寝つけないことになる。このごろ、「日本経済は一大転換期を迎えて先の見通しがつかない時代だ」、とマスコミも専門家も口をそろえて言う。わたしは学者じゃないので難しい理由はよく分からない。しかし10年前も20年前も30年前も、日本は一大転換期を迎えていたような気がする。

 マスコミは「大変な時代となった」と当時も騒ぎ、事業家はいやおうなしの対応をせまられてきた。考えてみれば、経済の仕組みは生き物そのもので、常に変わっており、、その変化に対応しながら、事業を続けていくことが社長の宿命なのである。

 見えない未来をなんとしてでも見極めて、決断して手を打つことが社長の仕事なのだ。目先の変化にいちいち驚いてオタオタしていては務まらない。泣き言をいっていられない、言い訳無用の仕事である。

 社長業は、厳しくて難しい仕事だが、しかし、これほどやり甲斐のあるわくわくする仕事もないのではないか。目を吊り上げていつもハラハラしながら経営を続けるのか、生まれ変わっても社長人生を選ぶほどに生き甲斐のある経営を続けるかは、一に長期計画を持つか持たぬかに、かかっているのだ。

 さて本書では、5年先、10年先まで繁栄できる長期計画の立て方をテーマに、わたしの全体験を包み隠さず公開した。社員6名、掘っ建て小屋の工場で事業をスタートして以来、「零細企業の分際で」と笑われながら、町工場の時代から10年計画を立てつづけて、おかげさまでどうにか一部上場企業に育った。

 一方、小売、卸、建設などさまざまな業種の若手経営者に長期計画を指導してきて、その中から上場規模の優秀会社が輩出してきた。不遜を覚悟で言わせてもらえば、わたしの長期計画のノウハウは、経理や会計の専門家にではなく、現役の社長にとって、優れて実践的なものと自負している。

 今回ご縁があって、日本経営合理化協会の牟田學理事長からの強いご要請で、本書が生まれた。題して「野望と先見の社長学」とした。だれのためでもない、社長が自らの夢と野望を実現させるために、本書の内容を実践していただければ、これに優る幸いはない。
                       

平成6年1月吉日
佐藤誠一
野望と先見の社長学」 もくじ
もくじ

はじめに

第1章 社長の最大の役割
1 経営者の誇りと恥
社長は誇り高い存在でなければならない/会社の利益より高い車に乗って/何が社長の役割か

2 一地方小売店の社長の野望
単車に乗り換えて業績急伸/E建設の業種転換/自社ブランド開発で飛躍した食品問屋Y社/家電量販店P社の野望/Jスポーツ社長の夢と現実/「借金を返すだけ」の事業

3 零細企業の10年計画
総勢6人、12坪の工場で創業/自分の機械は自分で作れ/下請けからの脱皮/中小企業の世界進出/社長は「会社の方向づけ」をする人である/業種転換しないとつぶれる/同じものを倍に売れる世界がある/零細企業の10年計画/社長は長期のソロバンで考える

4 社長の仕事と専務の仕事
立派な社長と立派な専務/午前は社長の仕事、午後は専務の仕事を兼務

第2章 経営の本質
1 社長業は楽しく簡単でなければならない
事業経営を難しいものにしてはいけない/必ずやり切る/経営の定石/長期計画は経営を簡単にする

2 事業経営の本質は何か
経営の原点/総資本利益率5%以下の会社/利益は引き算でなく足し算で考える

3 付加価値経営のすすめ
付加価値とは/付加価値の配分/社長の役割意識こそキメ手/一個500円のミカン/経費は売上基準から付加価値基準へ

第3章 未来を計画するためにわが社の実態をつかむ
1 社長としてわが社の体質を把握する
過去の数字が語るもの/社長としてのバランスシート2つの押さえどころ/バランスシートの右側には何が書いてあるか/社長流のバランスシートにつくりかえる/バランスシートの左側には何が書いてあるか

2 高収益体質を築く視点
事業の収益性をチェックする/次の主力事業や商品を追加する/資本の効率をチェックする/借金して儲ける時代の終わり

3 不測の事態にも絶対につぶれない体質
安全性とはどういうことか/「流動」の意味/安全性をはかる3つの指標/社長は経営分析数値をどうとらえるべきか/長期計画の二大テーマ

4 モデル会社D精機のケーススタディ
D精機の実態/改善すべきポイントは何か

第4章 5年先までの経営ビジョンを設定する
1 5年後、10年後にどういう会社にしたいか
気楽に社長の夢を描いてみる/社長の野望を現状からチェックする/社長の考えを数字にする/社長の野望と役割意識

2 付加価値配分目標計画
社長の野望の青写真/社長の役割意識を明確にもつ/10の配分先/損益計算書に分配の発想があるか/付加価値配分目標計画の立て方

3 《ケーススタディ1》D精機の付加価値配分目標計画
利益が下がってきた原因/配分についての社長方針/5年後の無借金会社を目指して配分目標を設定する/5年間の付加価値配分目標計画をつくる

4 《ケーススタディ2》Jスポーツの付加価値配分目標計画
5年後に株価1500円以上の上場企業を目指す/J社長の五大経営ビジョン/5年後の付加価値配分目標計画を設定する/積極展開のための配分目標設定

第5章 5年先までの利益計画の立て方
1 長期利益計画を立てる
運営基本計画/5年後の売上を決める成長係数とは/付加価値率は年々下がるものと心得ておく/各科目の絶対額を算出する/何通りもつくってみる

2 《ケーススタディ1》D精機の運営基本計画
5年先までの売上高の決め方/5年先までの売上総利益の決め方

3 《ケーススタディ2》Jスポーツの運営基本計画
経常利益から売上総利益を出す/Jスポーツの粗利を検討する

4 運営基本計画の実証作業と手順
基本計画の実現性をチェックする/実証作業の具体的な手順/簡単な加減乗除の計算でできる仕組み

第6章 長期人件費計画の立て方
1 社員の幸福と人件費計画
社員に大きい顔のできる給料を払えるか/社長は社員の生活向上に責任をもつ人である/人件費係数を活用する/給料も人件費係数もバランスよく上げていく

2 経営コストと人件費計画
給料は上げるが人件費総額は下げる発想/具体的な目標は人をやる気にさせる/人を増やさないで仕事を増やす発想

3 定期昇給とベースアップ
賃上げの仕組み/定期昇給の意味/ベースアップの意味/定昇とベアを区別して運用していないと、いざというときに手が打てない/社長は1年先、3年先の賃上げを決める人である

4 人件費計画の実証作業
現在の人件費を分析する/要員についての実証/パート化を検討する/増員計画を固める/5年先までの給料を実証する/人件費係数を上げる/パートの人件費増を実証する/社長の社員に対するポリシーのかたまり/運営基本計画と実証結果の差を考える

第7章 長期設備計画の立て方
1 設備投資の定石と設備効率のチェック法
社長としての減価償却のとらえ方/減価償却率は毎年ほぼ一定する傾向にある/減価償却の定石/すぐお金を稼ぐ投資とそうでない投資/労働装備率と設備生産性

2 D精機の「固定資産投資及び償却計画」を実証する
敢えて定石を破る/投資枠を大きく2つに分ける/固定資産投資及び償却計画を実証する/設備生産性の枠を決める

3 Jスポーツの「固定資産投資及び償却計画」を実証する
1坪当たり粗利から必要設備を計算する/店舗増設に資金がいくらかかるか/過去の償却率から19%と設定する

第8章 必要資金をチェックする
1 社長としての運転資金計画の立て方
社長は資金繰りに4つの方針を出せ/売掛債権回収率の社長としての見方/棚卸在庫の適性度をチェックする/適正在庫付加価値の4カ月/手元現金はいくらあればよいか/回収率と支払率の差に注意する/D精機の5年先までの運転資金計画

2 運営基本計画を修正する
当初の計画とのズレを修正する/税金面からの実証作業/D精機の税金はどう変わるか

3 資金運用計画でお金の流れをチェックする
損益計算書とバランスシートをつなぐもの/D精機の資金運用計画/金融費計画/修正計算/修正計算のめどは百万単位

4 財務計画にまとめる
財務計画は目標バランスシート/社長の希望どおり無借金会社に/約束された望ましい未来を見る

第9章 長期経営計画を実践する
1 全社推進態勢のとり方
笛吹けど踊らず/社長の経営ビジョンなくして全社一丸態勢なし/各部門長への指示の出し方

2 発展への好循環サイクルをつくる
達成感が人材を育てる/社長は「好循環サイクル」をつくる人である/社長の能力の好循環サイクル/野望が先見に変わるとき

3 10年先までの繁栄を見つめて?優秀3社の事例
E建設が売上600億円を達成した中期3年計画/食品問屋Y社の大型スーパー進出への対応計画/店頭上場を目指す直前のP社中期3年計画

第10章 夢を実現させる社長の条件
1 世の中に対する役割を自覚せよ

2 世の中の流れを読むこと

3 イヤな情報こそ大切にせよ

4 矛盾したことを同時に頭に入れることを習慣づけよ

5 運を大切に、そして運は準備をしなければつかめない

6 社風こそ社長自らつくるもの

7 ギブ&テイクを常に心掛けよ

8 自分の失敗をさらけ出す勇気をもて

9 自分の考えを常に数値化する習慣をもて

10 即座に結論を出す習慣をつけよ

11 問題の本質をつかめ

12 信念より執念をもて


著者/佐藤誠一氏について
 「社長の仕事は事業の将来を的確に読むこと」と断じ、常に10年先まで繁栄できる独自の長期計画を創案。

 社長の夢や野望を確実に実現させる計画化ノウハウは、40数年に及ぶ経営体験に裏づけられ、他に類を見ない実践的なものである。

 1947年、初代社長より経営のすべてを任され、弱冠20歳で創業、自ら企図した長期計画を信じ、執念をもって実行しつづけ、東証一部上場企業を築き上げる。

 社長業の激務の傍ら、若手経営者60余人からなる「佐藤塾」を主宰、製造・流通・サービス・建設・印刷業__さまざまな業種業態の企業に、その長期計画ノウハウを直接指導、株式上場を果たす会社や高収益会社をつぎつぎに輩出。その経営手腕と魅力的な人柄に、多くの経営者が氏を信奉、私淑していたが、1997年急逝。

前スター精密(株)相談役。1927年東京都生まれ。



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