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事業経営において、「ヒトの仕組み」が非常に重要なことになってきた。
今までは、モノやサービスを売ることが経営の最優先事項であり、人事制度は後回しでも、会社は儲けることができた。
しかし、これからの時代は「ヒトの仕組み」そのものが会社経営となりつつある。
いわゆる優れたビジネスモデルがあっても、「ヒトの仕組み」をしっかりつくらないと、長期にわたって儲けることも会社を成長させることもできない時代になってきているのである。
なぜなら、昔に比べて、変化のスピードが速いので、世の中の流れに追いつくためには、まず第一に、社員自らが変化していかなければならいこと。
そのためには、経営者として、社員自らがチャレンジ精神をもって自主性と創造性を大いに発揮するような仕組みを経営の中に取り入れて、社員自らが自らを成長させるような条件づくりをしなければいけないのである。
ここ数年、こうした「ヒトの仕組み」がないまま経営を続けてこられた経営者が、人の問題で会社が活性化せず、その結果、世の中の変化に対応できず、売上が伸びないで困っておられる方が非常に多い。
私がご相談を受ける経営者の悩みは、業種業態や会社の規模にかかわらず、どれもこれも「ヒトの仕組み」がないための結果である。
要するに、「ヒトの仕組み」をつくらず、経営をやっていけば、当然、人は育たず、会社としては利益を上げることも成長することもできないのが、今の時代である。
本書は、私が西尾レントオールという会社で33年間、社員数53人の時から、上場を経て、社員数1200人を超えるまで、一貫して人事を担当して、さまざまな経験をさせていただいたことが大きな土台となっている。
忘れもしない、西尾レントオールが昭和48年のオイルショックで倒産の危機に陥ったとき、創業者である西尾晃社長(故人)が、当時、人事部長だった私に、
「人こそすべてや。任すから任せるに足りる人をつくってくれ」と言われた。その場で私は、
「任すから任せるに足りる人って、どんな人ですか?」と聞き返したが、即座に、
「急に、当社を辞めなければならないようなことがあっても、その人が明日からでも一人立ちしてやっていけるような人や。そういう人をつくってくれ」
「社長、そうなればその人は辞めますよ」
「いや、そうなったとしても、辞めんような仕組みをつくってくれ」
この大命題がくだされて以来、私にとって試行錯誤の日々が続いた。詳しくは本文中でお話するが、本書では、社員一人一人が部門経営者として「自らが計画を立て、チェックし、改善し、その目標の達成に責任を持つ」という、私自身が実務の中で苦しみ抜いた末にたどりついた、人を育てる仕組み(自創経営)をお話したいと思う。
ところで、十年ほど前に明日香出版社より『ニシオ式躍進経営の研究』を出版したが、紙面の制約で仕組みの全体を解説することができなかった。
そういう意味では、本書ではじめて仕組みの全貌を体系的に公開することになる。
最後に、本書出版に際し、応援してくださった西尾レントオール(株)現社長 西尾公志氏のご好意に心より感謝を申し上げる。また、本稿の執筆にあたってご協力いただいた日本経営合理化協会出版局 岡田万里氏にお礼を申し上げたい。
なによりも本書が、多くの経営者の方々のお役に立ち、その結果として、社員のみなさんがワクワクして仕事をする環境が一社でも多く誕生することを切望する。
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