大変革期の社長にとって、経営の「絶対条件」とは何か

社長業の鉄則

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著者 清水龍瑩(しみずりゅうえい)
形態 A5判(15CmX21Cm)本文434ページ
発行 1995年10月23日 ISBN4-930838-86-X
内容 目次と項目   本書の冒頭より
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日本経営合理化協会 出版局 TEL:03-3293-0041 








社長業の鉄則 まえがき

まえがき

 本書の目的は、大変革期を迎えているわが国の経営者にとって、何が本当に重要で、何が重要でないか、を「社長業の鉄則」として、お伝えすることである。

 「社長業の鉄則」を知っているのと知らないのでは、事業の成長、繁栄に雲泥の差がついてしまう。

 これまで数多くの経営者にお会いしてきたが、優れた社長に共通していることは、経営の鉄則というものを、理屈ではなく嗅覚によって、だれから教わるまでもなくちゃんとつかんで、手を打っていることだ。結果的には、実に理にかなった経営をされて事業を大きく伸ばしているのである。逆に凡庸な社長は、経営の鉄則とは裏腹なことをやり、事業をつまずかせたり、小さいまま固まっていつまでも大きくできないでいる。もし社長業の鉄則を知っていたら、こんな手は打たなかったろうと、残念に思うケースもしばしばである。

 さて「鉄則」というからには、そこに普遍性がなければならない。

 本書の内容は、わたしが過去35年間つづけてきた、日本企業の実証研究の成果をベースにしている。

 これまでわたしは、通産省の経営力委員会主査として、22年間毎年大規模な調査をつづけ、さらに長銀、開銀、日本経済新聞社などとも共同研究を進め、調べた企業の数は非上場会社3万社、上場会社のべ12000社に及ぶ。また仮説の構築・検証のために直接インタビュー・サーベイをした社長は250人を超えている。これらの膨大な量のデータをもとに書かれたもので、実証に裏づけられてきわめて普遍性が高いと自負している。

 ところで、社長業というのは、きわめて人間味あふれる仕事だと思う。この人間味を無視して統計数値からだけでは、社長業の鉄則は語れない。

 ここで社長とは、学問でいう「経済人」や「経営者」ではない。お金もほしいし、名誉や地位もほしい。しかし、それを表に出せるほど下劣にもなりたくない。家庭にあっては口うるさい妻や言うことをきかない子供をもち、会社の内外には腹心の部下もいるが気の許せない敵対する人間もいて、ドロドロとした政治的かけひきをせざるをえない。このような生身の人間としての社長を前提として、社長業の鉄則を考えていく。

 そうでなければ、実際の経営の現場で役に立たない。わたしが、本書で社長の人間的な側面を重視した理由である。

 本書の構成は、1994年11月から95年3月まで、日本経営合理化協会主催の社長大学院において、5回にわたるセミナーの講演要旨を骨子としている。できるだけ話し言葉に近い表現で、可能なかぎりわかりやすくお伝えしたかったからである。

 いままでわたしはこのような啓蒙書を書いたことがなかった。

 ところが、実証研究も30年を越えたころに、日本経営合理化協会出版局長の本間登美雄氏から「これまでの実証経営学を、現役の社長にわかりやすい経営手引書として残すことが義務」とおだてられて、つい乗ってしまった。

 出すからには、経営者に読みやすくわかりやすいものをということで、セミナーの前後に構成の綿密な打ち合わせを重ね、さらに出席者の質問やセミナーでは触れきれなかったさまざまな実証研究の成果を加え、章立ての大幅な入れ替えをはじめ、わかりにくいところは徹底的に修正、加筆していった。

 結果として、表現が不十分であったり、逆に冗漫なところがあるが、重要な部分を省略することなく、わたしの実証研究を体系的にわかりやすくまとめることができたと思う。

 もし本書の一部について、さらに理論的に突っこんで考えたい方は、拙著『経営者能力論』『中堅・中小企業成長論』『大企業の活性化と経営者の役割』(いずれも千倉書房刊)をご参照いただきたい。また本書で引用させていただいた経営者の言行について詳しくお知りになりたい方は、「大変革期における経営者の洞察力と意思決定I??」(千倉書房刊)をご参照いただければ幸いである。

 本書の作成にあたっては、実に多くの方々にお世話になった。

 まず本書に登場する多くの社長の方々、また通産省経営力委員会の方々に厚く御礼申しあげたい。また繁雑な原稿の編集整理にあたってくれた本間氏、セミナーを担当いただいた作間信司氏、校正を担当いただいた北島純子さん、わたしの研究室秘書の奥田隆子さんに深く感謝します。

 

※本文中に登場する経営者の肩書は、わたしがインタビューした時点のものです。

1995年夏 北軽井沢にて、清水龍瑩
「社長業の鉄則」もくじ
大変革期の社長にとって、経営の「絶対条件」とは何か。
わが国における経営学の実証研究の第一人者が、3万社の成長実態と社長の言動をつぶさに調べ、これまでの経営常識を根本からくつがえす44の「経営の絶対条件」に集約。
「コンチクショーと悔しがると利益が捻り出される」「リストラより商品開発、原価より納期」「社長の決断とカシカリの論理」「先を読むための変化差の原理」などの異色の視点と、あくまで企業経営の現場をとおして一番重要なことだけをズバリと分かりやすく指摘。


   社長業の鉄則 もくじ

   まえがき

第一章 社長業の三大能力

  1 企業を発展させる社長の条件

    社長のもつ独特の体臭/人の上に立つ者の二つの特長/一流の社長の条件

  2 社長業の三大機能と必要能力

    社長の三大機能/会社の方向づけをする/成功するまでフォローする/企業家精

    神と管理者精神/本物のリーダーの条件/企業の成長段階と望ましい経営者能力

    /人間はアンバランスのときにいちばん伸びる/官僚主義と闘う期間/第二創業

    の期間/経営者機能と能力の関係

  3 企業家精神と社長業

    野心・信念・理想・ロマン/直感力・洞察力(1)/想像力・好奇心・問題意識/危

    機感・挑戦意欲/情報収集力(1)・決断力

  4 管理者精神と社長業

    知識・経験・洞察力(2)/人間尊重・相手の立場に立って考える能力/包容力・忍

    耐力/科学的態度・情報収集力(2)・システム思考/時間有効活用の能力・ 計数感

    覚

  5 リーダーシップ能力と社長業

    哲学・経営理念・高い視点と広い視野/健康・体力・リズムのある生活・持続力/

    運/倫理観・責任感・人間的魅力/品性・品格

    [社長業の鉄則―一]

第二章 企業成長と社長の役割

  1 企業発展の本筋

    なぜ成長しなければならないのか/明日は今日よりよくなる/企業が成長しない

    と国が滅びる/資本主義の敗者になる/変化を求める時期と安定を求める時期

  2 利益のみなもと

    会社の利益のみなもと/マニュアルシステムとヨロシクシステム/上も下も頭を

    使う/コンチクショーと悔しがることが創造性を生む

  3 方向づけを支配するもの

    先を読める人読めない人/変化差の原理/「今回は泣いてくれ」という信頼取引

    /家の論理/年功より能力が大事/社長は自分が明日弱者になる可能性を考える

    /企業は地球と比べて、その命の長さはほとんど意味がない

  4 情報化時代の社長業

    情報化の実相/経済の常識が変わる/情報をお金にかえる国/かけ離れた情報を

    結びつけるとお金になる/中小企業のカン違い/不定型情報は結びつきやすい/

    脱線話は記憶に残りやすい

  5 グローバル化と社長業

    まったなしの金融グローバル化/二つの価格破壊/「破壊される価格」と「破壊

    されない価格」/流通業は欧米型へ/いやおうなしのグローバル化

    [社長業の鉄則―2]

第三章 進むべき方向の決定と社長の役割

  1 将来構想のたて方

    二〇年後の会社のすがた/数字にできない変化を読むこと/一歩出ると霧が晴れ

    る/自信がつくと先が読める/使命感と問題意識がモト/ライバル意識の功罪/

    社長の個性が反映される/社長の体調や家庭環境も影響する

  2 経営理念の明確化

    何のために事業をやり、金儲けをするのか/経営理念のホンネとタテマエ/経営

    理念は時代によっても規模によっても異なる/経営理念の明確化三つの方法/天

    下り社長と社内昇格社長

  3 社長としての意思決定のやり方

    社長しか決定できる人はいない/正しいワンマン決定とは/新しいことをやるに

    は三割の賛成があればよい/中小企業はミニマックスの原理/急所を指摘しない

    /気を出す能力/カシカリの論理/海外では通じないカシカリの論理/カシカリ

    の論理のデメリット/二つの根回し/順番を間違えない/公式の決定

  4 執行・管理の要点

    世の社長は管理がお好き/余りものに値なしの時代/原価のわからないものがい

    い/動機づけの急所は人事評価/能力開発主義の時代

    [社長業の鉄則―3]

第四章 戦略の策定と社長の役割

  1 競争優位に立つ戦略の基本

    他社にまねられないもの/ハードよりソフトがまねされにくい/強みネットワー

    ク/「強み」はお客が決める/世帯の人数ではなく世帯の性格に合わせる

  2 業績向上四つの切り口

    経営戦略を策定するプロセス/経営目標の設定/シェアの不思議/商品のライフ

    サイクルと経営目標

  3 環境適応戦略と環境創造戦略

    四つの基本戦略/戦略別の社長の役割/アオリとシメ/発想転換戦略/創業期の

    会社の革新推進戦略/半島作戦と離島作戦/花王の全面転換戦略/任天堂の全面

    転換戦略/全面転換戦略を邪魔するもの/ヒトの壁を乗り越える二つの方法

  4 製品戦略の基本

    会社の外部と内部の接点/製品戦略四つの基本/花形商品と金のなる木/研究開

    発三つのパターン/社長にわかる言葉で説明させる/研究者をやる気にさせる/

    新製品開発のプロセス

  5 個性化―強みの深化・拡大

    まねられない強み/お客のムリ難題が強みをつくってくれる/お客が築いた高品

    質の伝統/経済に先行するもの/母親二番論/若者の軽薄性/ものごとを深く考

    えるクセ/センサー技術に目をつける

    [社長業の鉄則―4]

第五章 社長としての人の動かし方

  1 優れた会社の共通条件

    優れた会社の二大条件/マンション経営者とスーパー経営者/モラールの中身/

    市場の支配力は二八%以上を目指す/強みネットワークとの共振/インタンジブ

    ル・アセッツ/信頼できる人間のネットワーク

  2 組織への手の打ち方

    組織をみる三つのポイント/中間管理者が組織硬直化のモト/社員の意識改革四

    つのやり方/単純なことばで中の人間の共鳴を起こす/「歩く経営」で共鳴させ

    る/スピードアップ/複眼人間の養成/新しい能力を開発させる/インパクトと

    しての中途採用/新規事業部門をつくる

  3 動機づけと人事評価

    ほめる哲学/公正な人事評価が動機づけの決め手/評価の底にあるもの(1)―個と

    集団/評価の底にあるもの(2)―勤勉と控えめ/万古不易の人事評価はない/人事

    評価の流れ/何もしないでうまくいったらC/社長自身の人事評価/中間管理者

    の人事評価/停滞会社はネアカ幹部/敗者復活の哲学/人生の再設計/研究開発

    者の人事評価/研究者の三つの基本能力/研究マネージャーの能力/研究者の人

    事評価基準

  4 第二創業と後継者の育て方

    社長自身の人生設計/第二創業と企業家精神/社長の嗅覚をどう継承するか/同

    族経営の望ましいあり方/同族を情報源として活かす/同族会社の社長の自制心

    [社長業の鉄則―5]

    あとがきにかえて

    キイーワード索引                             

    総合索引

    会社名索引

    著者紹介                                 

著者/清水龍瑩氏について
 氏はまさに異色の経営学者である。世界の経営理論に精通しながら、「理屈で経営はできない。経営に実際に役に立たない理屈は意味がない」と、実学を提唱。経営の現場に足を運び、社長の生の声を聞き、何が本物で何が偽物かを徹底的に実証研究。
 そこから生まれた仮説を、3万余社の調査で裏付け、独自の「清水経営学」を確立。それは従来の経営学の常識をくつがえす画期的な体系であった。 
 20歳の時にリュウマチにかかり10年間車椅子生活をよぎなくされ、通信教育で大学卒業の体験から、氏の説く経営学は、人間味あふれ血の通った理論と定評がある。 

 慶応大学商学部長、図書館長を歴任。現在、慶応大学名誉教授、東京国際大学教授。1928年生まれ。

 主要著書に「企業行動と成長要因の分析」「経営者能力論」「現代企業評価論」「大企業の活性化と経営者の役割」「能力開発のための人事評価」


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