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「金儲け哲学」 糸山英太郎著/かんき出版刊 本体1600円 |
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| 実は、この「良書のすすめ」シリーズの第17回目に、全国高額納税者番付で常に5位以内だった斎藤一人氏の本を紹介したばかりである。
今度また、資産4150億で無借金という大金持ち、糸山英太郎氏の著書を紹介すると、安芸洋助はよほどお金持ちが好きなんだ、金の亡者か?などと思われるかもしれない。そんなことはないが、やはりお金はあればある程よく、ケタ違いのお金持ちには憧れのような気持ちが湧く。 日本経済新聞の日曜版だと思うが、毎週“私の貯金箱”というコラムのような欄がある。そこに老若男女の各界の有名人がお金とか、貯金などについての考え方を語っている。 そこで語られていることで、真偽のほどはよくわからないが、お金というものに対して、非常にいい加減というか、その価値をあまり重要視しないでこだわらないことが美徳のように考えている人が意外と多いのには驚いている。 やれ、自分はお金の計算が苦手で、すべて奥さん任せで、一定の小遣いをもらったら、あと家にいくら貯金があるかわからない、とか、家のローンや借金が多くて毎月家計は赤字だとか、お金は将来の自分への投資であり、そのため今は使ってしまって貯金はあまりない、といった類(たぐい)のものが多い。 中に一人くらいは、お金はとても大切で、うんと儲けて、毎月収入の3割は貯蓄や投資に廻して、10年後位までに、1億円くらいの資産を持ちたい、という人が居てもいいと思ったが、一人も居なかった。 ところが、今回紹介する糸山氏は、1億円どころか、還暦を迎えた今年で、実に4150億の資産を築いた人である。私は、氏のファンの一人である。普通、功成り、名遂げた人は、この「金儲け哲学」のようなテーマの本は出したがらないものである。 「徳」とか「正義」とか舌を噛みそうなキレイごとの本(現に出ている)を出して、過去は忘れて、これからは世間に良く思われて安泰に暮らしたいと思うのが常である。 氏の魅力は、本で“金を儲けて何が悪い”と書いているように、過去にやってきたことの良い面も、悪い面も、包み隠さずアッケラカンと発言しても、そこに憎めない、面白さに溢れた、味わい深い人柄が滲み出ているところにある。 糸山氏といえば、昔を知る人は、親の七光り(父親の佐々木真太郎氏は大資産家)で金持ちになるのは当たり前のように思う人がいるかも知れないが、本人は全然意に介さず、むしろ親の14光りとか、21光りとか広言してはばからない。(奥さんの実家や親類縁者も資産家)しかし、氏の境涯はそんなに恵まれたものではなかった。 シングルマザーの複雑な家庭事情、虚弱な身体、親から勘当されてのマイナスからの出発、など、その不遇を一歩一歩乗り越えてのものであり、今の大資産を築いた要因が決して親の21光りでできるものではなかった。 氏は、若い時から負けん気が強く、身の不遇をハネ返すために、毎日喧嘩、喧嘩に明け暮れ、何度も警察沙汰になるほどの不良だったが、その頃から誰にも負けない闘争心があったようである。 しかし、なんといっても氏の最大の魅力は、そのスケールの大きいところである。氏の資産は、「カネがカネを生む」方式で順調に増え続けた。30代で数十億円、40代で数百億、50代で数千億、しかも無借金、バブル崩壊に関係なく、今なお右肩上がりで伸びる極く少数の資産家の一人である。 現在は、合計270ホールのゴルフ場を運営する会社、レストラン、日本料理店などのオーナーであり、湘南工科大学の理事長・学長でもある。これが事業家としての顔である。 そして、氏にはもうひとつの顔がある。投資家としての顔である。本書を読む主眼はやはりこの点であろう。何しろ日本航空の筆頭株主であり、三菱重工の個人筆頭株主であり、新日鉄や、野村證券など、日本を代表する企業の大株主でもある。資産の大部分を株式、証券の運用にあてる「稀代の投資家」といわれている。 毎日“株”で動かしている金が数千億だという。株の上下動が1日に2〜3%あるとして、少なくみても、実に1日10億円の金が増えたり、減ったりしているのである。スゴイ、豪快である。私も株式投資をしているが、1日の上下動は数十万円、多くても200万くらいだろう。文字通り雲泥の差で、ケタはずれの投資額である。 これだけのお金を動かしていると、さぞかしいろいろな銘柄に手を出し、荒っぽい投資のやり方をしているのかと思うと、さにあらず。驚くほど堅実で、オーソドックスなのである。 以前は「仕手の糸山」といわれる位、大きな仕手戦に参加し、損得はもとより、勝負にこだわる喧嘩投資法で名を売った時期もあった。しかし、現在は、実にその勘どころを押さえ、しかも理にかなった独特の“糸山流投資の極意”で着実に成果を上げている。 その投資法については、本書を読んで頂ければわかることなのでここでは述べない。ただ、私も長年株式投資をしてきて、株で儲けるためのまさにこれだ、という急所が、糸山流極意とピタリ合ったところを2、3紹介させて頂く。 これほどの大資産家が、これほど単純で基礎的なことに忠実なことに驚いたが、一方だからこそ成功したのだなぁ、とうなずける。(私も大資産家になれる?) その一つは、証券会社の情報は一切聞くな、ということ。もう一つは、自分のよく知っている株(会社)を2〜3銘柄に絞って、その上下動の利巾を1.5〜2割取れば充分だと思って売買すること。そして逆張り戦術、100人中99人がコワイコワイと売っている時に買い、99人が買い始めたら売る。なぜかということは、本書を読んで頂きたい。 儲かる原則は単純かもしれないが、そのための勉強、研究への身の入れ方ははんぱではない。早朝からの世界各地の有力経済情報の収集、政界、産業界、学界、芸能界から、ヤーサンの世界まで、清濁併せのむ豊かな情報人脈、そして貧乏人とはつき合わないギブアンドテイクの絶対トクする糸山流人とのつき合い方など、やはりその度胸と努力は常人とは違う。 また私も同感であるが、ギャンブルはあくまでレジャーとして楽しむものであって、金儲けや株式投資は絶対ギャンブルであってはならないし、ビジネスとして取組むべきだ、という点である。 氏の処世はこれだけの資産家の割には意外と地味で、遊ぶ時は30億で買った自分の船で、徹底して豪華に遊ぶが、日常生活はできるだけムダを省き、早寝、早起きの健康的な生活を送られているようである。 そして、恋愛は仕事のエネルギーという章で、ありあまるお金を持った時、魅力的な女性とどうつき合うか、が書いてある。これはとても参考になるし、面白い。 終章で、笑いが止まらないほど儲かった金をどう使うか。糸山のカネ「大放出計画」と題して、次のように書いている。 「60才からの20年、私は儲けに儲けたカネを思い切り、自分がこれと思うことに存分に投資していくつもりだ。それが慈善事業の場合もあるだろうし、そのほかの場合もあるだろう。自分が今まで培ってきた感覚と経験で、今までどおり自分なりに精一杯、世の中にフィードバックしていければよいのではないかと考えている。結局カネは墓場まで持っていくことはできない上に、持っているだけでは意味のないものだ。生活に必要な金額などタカが知れている。持っているだけでは貯まる一方で、おもしろくも何ともないものなのである。私は「蓄積の勝負」に勝ったのならば、今度は「分配の勝負」にも勝つつもりでいる。」 面白い。期待している。 読者の中には、あまりにも金額のケタが大きすぎ、儲かった話ばかりで、自分には関係ないや、と反感を持つ人もおられるかもしれない。 しかしあえてこの本を紹介させて頂く理由は、最近の日本には氏のようなケタはずれの豪傑が非常に少なくなったからである。政・官・民を問わず、またいい意味でも悪い意味でも、日本人全体が小粒になったようである。何もお金がすべてではないが、糸山氏の若い時のように「俺は将来億万長者になるんだ」と広言するような若者がもっと居てもいいと思う。 デフレ大不況がなかなか立ち直らないのも、豪傑政治家が居なくなったせいでもある。個人金融資産1400兆円といわれるが、その3割が外貨預金とか外債などで海外へ逃げている。 これからもっと流出するだろう。しかし25兆円あれば、日経ダウは1,000円上がるのである。日経ダウを2万円まで上げれば、不良債権問題は片付くし、景気も大巾に上昇する。そのためには、思い切った豪腕の政策が必要であるがやる人が居ない。口さきだけの、結果を出せない評論家的政治家ばかりである。 話は脱線したが、要は、この不況を吹飛ばす勢いのスケールの大きい、しかも“金の匂い”のすることをいとわない、糸山氏のような人材を待望する意味で本書を推せんしたい。 なお、糸山氏と直接対面し、ナマの声に接したい人は、日本経営合理化協会主催の「糸山英太郎の金儲け哲学」への出席をお薦めしたい。 |
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安芸洋助
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