デフレ新時代に対応する、活力を生む「給料と肩書き」

処遇の革新

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著者 賃金管理研究所編
形態 A5判(15CmX21Cm)本文526ページ
発行 2001年5月19日  ISBN4-89101-019-3
内容 目次と項目   本書のまえがき
   
  いま各社に緊急の「活力を生む処遇革新策」。実力社員にふさわしい肩書きと給料、ぶら下がり社員の役割責任追求、業績を伸ばすフラット組織、悪平等処遇の排除…、デフレ新時代に対応する「給料と肩書」の抜本的見直し方。

姉妹編全面改訂版「給料の革新」

   
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日本経営合理化協会 出版局 TEL:03-3293-0041 






「処遇の革新」まえがき
 
 2001年になって、政府はついに日本経済のデフレ状況を認めざるを得なくなった。長くつづいてきた右肩上がりの経済成長が一転したということだ。

 それと前後して企業における「人の処遇」のあり方も、大きな転換期に達している。

 近年、年功序列にもとずいた賃金や人事処遇の限界が叫ばれ、どの会社でもこれまでの制度の抜本的な見直しを迫られてきた。しかし、ことが「ナマ身の人間」に関することだけに、多くの企業で旧来の考え方や手法をすぐには刷新できず、結局は人員のリストラ策という一番悪手とされてきた外科手術で急場をしのいでいるのが実態だ。

 私ども賃金管理研究所はすでに今日を予測して、1998年、年功序列の処遇から方向転換する実務ノウハウを「給料の革新」として出版したところ、同書は想像をはるかに超える大きな反響を頂き、さまざまな規模と業種の企業からご相談、指導依頼を頂いた。

 そして急増した改善指導に追われる中で、つくずく考えさせられたことは、年功処遇がいつの間にか各企業の体力を徐々に、しかし確実にむしばんでいて、各社の「人の処遇のあり方」を早急に革新しなければ、今日の市場の変化スピードに、企業自体が対応できない状況にあるということだ。

               *

 企業経営における「処遇」という言葉には、「賃金」と「地位・肩書き」のふたつの意味がある。かつて処遇の要諦として「功あるものには碌(カネ)を与え、徳あるものには地位を与えよ」ということがいわれてきたが、長くつづいた右肩上がり成長によって、いつの間にか「功も徳もなくても年功ある者には碌も地位も与える」となってしまったから問題なのだ。

 企業の内部は役職者で溢れているが、指揮命令の流れが混乱し、企業収益を握っている市場やお客さまの要望の変化に、迅速に対応できる態勢とはほど遠くなるばかりである。

 ズバリ言えば「給料をいくらにするか」以前に、「これまでの肩書きや地位」を一刻も早く見直さなければ、デフレの世の中で、組織は収益獲得の活力を失い、給料を増やすどころではなくなるということである。これからの難しい時代にも堅実に事業を伸ばしていくためには、「給料の革新」と同時に「処遇の革新」を急がなければならないのである。

 そのためには、旧来の年功中心の処遇を廃し、「本人の仕事力」による「責任等級制度」を確立して活力を生む処遇に革新することだ。本書は、前著「給料の革新」の続編として、「人の処遇」の革新策を、「カネと地位」の両方から実務として明らかにするものである。

 私は、実務家であるから、企業経営に役に立たない評論的な空論を申しあげるつもりは一切ない。本書で展開される革新策の数々は、六千社を超える指導経験から生まれた、すべてその効果を実証済みの手法である。業績の停滞や不振にあえいでいた企業が、処遇の革新によって様変わりし、一気に活力のある会社に甦るケースを何度も目の当たりにしている。もちろん業績急回復の要因のすべてが、私どもの指導によるものとは思ってもいない。あくまでも経営者の優れた経営感覚と指導力、的確な戦略展開があってのことだ。

 しかし、事業は人が推進するものであり、「処遇革新」によって人心に活力が生まれ、その企業の優れた戦略や商品力や技術力やサービス力を一段と発揮する起爆剤となったことは確かである。

               *

 本書の執筆にあたっては、私(弥富拓海)の主幹のもとに、賃金管理研究所の主力スタッフが分担してあたったが、各人がもつさまざまなコンサルティング事例を共有化し、何度も打ち合わせを重ねながら、あたかも一人の著者がまとめたように、一貫した表現と流れになるよう留意した。

 各章の執筆者は巻末の著者紹介欄に明記させていただいたが、いずれの章にも全員のノウハウが集約されており、スタッフ全員が一体となって書き上げたといってよい。また読者にできるだけ具体的にご理解いただくため最新の事例をまじえ、むずかしい表現がないように何度も書き換えた。そのため毎日のコンサルティング業務に忙しいスタッフ諸君には、ずいぶん無理な注文もしたが、よく応えてくれ当初の目論見を大きく超える実務書になったと自負している。かくなるうえは、一社でも多くの企業に本書の革新策を実践していただき、新たな時代にも万全の、活力溢れる態勢を整えていただきたいと望むばかりである。

 なお本書は、日本経営合理化協会常務理事の本間登美雄氏の熱心なアドバイスと出版局北島純子さんの献身的な原稿整理に負うところが多い。特に記して感謝申しあげたい。

  

2001年4月
 賃金管理研究所所長 弥富拓海
   
「処遇の革新」もくじ
 
第1章 人の処遇を刷新する

 1 処遇革新2つのキーワード
リストラして平均年齢が上昇する不思議/労使共ぬるま湯処遇に慣れきって/Y社の食中毒事件はあなたの会社でも発生する

 2 人事革新キーワード1.「スピード経営と組織のフラット化」
究極のフラット組織/課長職一級、二級、三級の不思議/根強い「ムラ社会」の意識

 3 処遇革新キーワード2.「悪平等を断つ」
まかり通る平等主義と悪平等/給料は生活給か余裕生活給か/仕事の責任が重いと給料が高い/人事処遇を革新する3つの設計図

 4 革新の設計図1.=「責任等級制」と執行役員
仕事の責任の重さが一番軽い人はだれか/あくまで「仕事」が先で「人」が後/T社の試み/執行役員制の基本設計

 5 革新の設計図2.=実力主義の「賃金処遇」
仕事の責任が増すと給料も高くなる/差をつけすぎる不安/責任等級別基本給表の仕組み/賞与配分から年功要素を排除する/管理職年俸制という鬼っ子/年俸制導入の裏にあるもの/高年齢社員の処遇の見直し

 6 革新の設計図3.=悪平等を断つ「新しい評価制度」
会社は「仕事集団」である/これからの評価対象は「仕事力」である/管理職の評価/執行役員の評価

 7 社長の固い決意
すべてをご破算にして生まれ変わる/「仕事の責任の重さ」で全員を格付けし直し、再雇用する/トップの危機感こそキメ手

第2章 処遇革新の具体的な進め方

 1 何を、いつまでに変えるかを決めよ
2つの実行策=ソフトランディングとハードランディング/[実践キーワード1]まず目標の70点を目指せ/[実践キーワード2]拙速は巧遅に優る

 2 処遇革新の実際
処遇革新の実務手順/自社に合った責任等級の設け方/責任等級による全従業員の格付けと実際の処遇の決め方/処遇肩書きの統廃合の実際

 3 ケース別=自社の実情に合った処遇革新の進め方
A社の事例/B社の事例/C社の事例/D社の事例/量販店E社の例/F社の事例

 4 執行役員制の活用実務
執行役員はこれまでの役員とどこが違うか/執行役員導入の3つのメリット/執行役員制導入の実務ポイント/執行役員規程の決め方/執行役員の基本給体系/執行役員登用の条件/任期満了時における執行役員の評価ポイント/不再任の場合の処遇ポイント/これまでの兼務役員の扱い方

第3章 活力を生む賃金決定

 1 今なぜ昇給制度が必要なのか
定期昇給廃止は正しいのか/年功型の定期昇給は即時廃止せよ/ベースアップとベースダウン/威嚇や恐怖から活力は生まれない

 2 実力昇給ができる本給表の仕組み
責任等級制による本給表/Aモデル人の設定/金額をどのように設定するか/本給月額表に込められている重要ルール/本給表に見る「実力主義」の仕組み/標準昇給図表と凸凹調整/中途採用者の昇給の注意点/これからの競争原理/ご都合で昇給号数を変えてはいけない

 3 能力の低下と昇給抑制の仕組み
調整年齢制度=仕事と基本給のアンバランス防止策/昇給抑制の根拠/第三次調整年齢の設定と注意点/降格降職したときの賃金処遇の決め方/60歳以上の社員の処遇はトリプルインカムで

 4 貢献度賞与の決め方
基本給中心の賞与配分は間違いである/貢献度賞与の配分式/賞与の刺激給要素を強める/成績格差を広げる/出勤係数の取り扱い方

第4章 活力を引き出す評価制度

 1 個々の仕事の成績をどう測るか
メリハリのある人事処遇を実現するために/評価はすべて相対的である/人を評価することは「人を育てること」でもある/評価が必要な3つの場面/成績評価制度づくり7つの限定/評価の対象は「仕事に発揮された能力」だけに限定する/評価される従業員は「同じ等級」だけに限定する/評価期間は「過去6カ月間」だけに限定する/評価者は「直属上司一人」だけに限定する/評価者の評価は「成績の順位と相対的な間隔」だけに限定する/部署間の調整は「間接の上司」だけに限定する/成績評語(A、B、C)の決定者は「人事担当責任者」だけに限定する

 2 成績評価基準書の作り方
成績評価のモデル書式/成績評価基準書の2つの要素/管理・監督職の成績評価要素/評価点の設定/部署業績・重点課題シートの活用/一般職(非監督職)の成績評価基準書

 3 成績評価の正しい進め方
成績評価の実施/粗点の求め方/成績評価の誤差傾向/成績調整の正しい進め方/甘・辛・部門間格差調整を検証してみる/二次あるいは全社調整の仕方/成績評語決定の仕方/成績評価のフィードバックの仕方

 4 成績評価の質疑応答
〈問1〉成績評価でも、やはり主観的評価から脱却できないのではないか/〈問2〉現在のように年功的幹部の下では、正しい評価はできないのではないか/〈問3〉評価者から部下の評価結果について報告があったが、調整者(執行役員)として、どうしても納得がいかない。評価の順位を変えてもよいか/〈問5〉評価の10点に相当するのはどの程度かを、具体的な数値で明示できないか/〈問6〉評価者が評価期間の途中で人事異動した場合、評価者は誰となるのか/〈問7〉調整者(執行役員)が信任間もないため対人比較ができないときは、どのようにして調整すればよいか/〈問8〉一度C評価となるとどんなに努力しても、良い成績をとれないのではないか/〈問9〉業績が絶好調であり、全員A評価としてよいか/〈問10〉従業員の成績評語は、全社的に決めなければならないか

 5 昇給時の能力評価
間違いだらけの昇給評価制度/正しい昇給評価の仕組み/過去2回の成績評語が異なる場合/各昇給評語の比率

第5章 新・成果目標管理プログラム

1 企業目標と社員個々の成果目標のつながり
 より具体的な「貢献度」評価を/導入3つの制約/目標の妥当性 他

2 成果に対する責任を明確にするには
 管理職に求められる成果責任/成果責任を体系化する 他

3 目標を設定する
 目標の連鎖は会社目標から/目標管理シートの使い方/目標難易度の設定/6つのポイント 他

4 成果目標の評価方法
 達成度評価の考え方/自己評価の基準/達成度評価の実務手順/プロセス評価のやり方 他 

第6章 昇格昇進の新ルール

 1 昇格昇進と幹部社員入れ替えのやり方
組織の骨格づくりは社長の仕事/昇格昇進させる根拠は何か/昇格基準線の引き方/昇格基準線を越えた社員の昇格判定の実務

 2 初級職から中級職・上級職への適性をチェックする
職種適性をチェックする/適性報告書と自己申告書

 3 管理職・監督職の適性をチェックする
管理職・監督職として誰を選ぶか/管理職適性調査書/箇所長登用基準書と執行役員登用基準書/執行役員評価のための総合評価基準書/大抜擢は失敗のもと

 4 上級幹部の降格降職と処遇の実務
上に行くほど厳しくなる証明/執行役員不再任の場合の人事処遇/降格は諸刃の剣である/人事の改革を軌道に乗せるのは社長の仕事である/役職定年制・役職任期制の是非

第7章 年俸制の新たな仕組み

 1 日本的年俸制とは
年俸制とは何か/「純血主義」崩壊の時代には「単年度決済」のほうが合理的/要求される能力が変化する時代には、年俸制のほうが対応しやすい/もはや年齢に配慮すべき賃金水準ではない

 2 年俸制の設計
年俸制をどの層に適用するか/制度の概要/?基礎年俸の決め方/?貢献年俸の決め方/?加給年俸の決め方/作成例=年俸表をつくってみる/年俸制と賞与/年俸制と諸手当

 3 年俸制運用の実務ポイント
賃金制度はシンプルなほうがよい/重役の報酬をも上回る年俸制=ハイリスク・ハイリターン型/月給から年俸への移行/年俸制と評価制度/相対交渉は必要ない/処遇職をどう評価するか/スカウト採用と年俸制/年俸制社員の定年と退職金/年俸制でなぜ退職金制度を温存するのか

巻末資料集

 【巻末資料1】執行役員モデル規程

 【巻末資料2】標準昇給図表

 【巻末資料3】成績評価報告規程

 【巻末資料4】成績評価基準書・報告書モデル

編著者/賃金管理研究所について
 
 
賃金管理研究所
 いま最も注目を集めている賃金コンサルタント集団。「本格的な能力主義賃金制度の確立」を標榜して1960年現会長弥富賢之氏が創設。
 本田技研工業、冨士ゼロックス、松下精工、ワコールなどに次々に導入、成長企業の基盤づくりに大きく貢献。導入企業は、あらゆる業種業態の6000余社、まさに日本を代表する賃金実務の指導機関。
 近年、デフレ傾向の中でさらにその指導の真価を発揮し、ユニクロ、マツモトキヨシ、エイベックスなどの注目企業が導入、新たな成長段階を築いている。
 本書は、弥富拓海所長の主幹のもとに、丸金康紀副所長はじめ蒔田照幸、川本明良、神田靖美、大槻幸雄の6人の主力サルタントが総力を結集して、実践ノウハウを集大成。

弥富 拓海(やとみたくみ) 全体総括および第1章

 賃金管理研究所所長。昭和44年武蔵大学卒。ティアック等を経て平成4年賃金管理研究所入所。主な指導先に、大倉工業、日東光器、不二精機、荒川化学、アムコ、山田化成、東西産業貿易、兼松KGK、ダイゴー、日本テレコムクリエイト他多数。

 主な著書に、「強い会社をつくる賃金の決め方」、共著に「給料の革新」「賃金管理データブック」他。

丸金 康紀(まるかねやすのり) 第2章

 賃金管理研究所副所長。昭和43年東北大卒。住友銀行を経て、昭和49年賃金管理研究所に入所、現在に至る。主な指導先に、すかいらーく、フクダ電子、大塚製靴、エイベックス、中央住宅、ケーヨー、でん六、明治神宮はじめ約700社。

 主な著書に「能力主義を活かす賃金の基本」、共著に「給料の革新」はじめ「賃金決定の実務」・人事評価実践マニュアル・・賃金管理データブック・「改正・労働基準法ハンドブック」他。

蒔田 照幸(まきたてるゆき) 第3章および第6章

 賃金管理研究所取締役主任研究員。昭和48年京都府立大学卒。ジャスコ、賃金コンサルタント会社等を経て平成元年入所。主な指導先に、ユニクロ(ファーストリテイリング)、ジーンズメイト、京都きもの友禅、メトロポリタンホテル、マルコメ、タイガースポリマー、四国化工機、ミルボン、紀ノ国屋、針生ヶ丘病院など400社。東京商工会議所人事賃金専門委員会委員。

 主な著書に、「100人以下の会社の新給料決定マニュアル」「経営を合理化する賃金の決め方」、共著に「給料の革新」「賃金管理データブック」他。

川本 明良(かわもとあきよし) 第4章

 賃金管理研究所主任研究員。昭和49年慶応大学卒。山崎製パンを経て平成2年入所。主な指導先に、アルケア、ハイウェイトールシステム、ショウエイ、松本徽章工業、フジゲン、フジカラー販売、近江屋写真用品、キャラメル・ママ、タマス、ホテル銀水荘など約300社。

 主な著書に「〈能力主義〉賃金・賞与の決め方」、共著「給料の革新」・賃金管理データブック」。

大槻 幸雄(おおつきゆきお) 第5章

 賃金管理研究所主任研究員。昭和62年千葉大学卒。平成7年東京大学大学院修士課程修了。大手証券を経て平成10年賃金管理研究所入所。主な指導先に、東武ホテルマネジメント、YECソリューションズ、マルシンフーズ、ケープ、創味食品工業、タイホー等。

 共著に「賃金管理データブック」他。

神田 靖美(かんだやすみ) 第7章

 賃金管理研究所主任研究員。昭和61年上智大学卒業、平成5年青山学院大学大学院修士課程修了。ナショナル経済研究所アナリストを経て、平成9年賃金管理研究所入所。主な指導先にはコスモバイオ、シーズラボ、シチズン電子、セイノーロジックス等約200社。

 共著に「給料の革新」・賃金管理データブック・他。


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