経営者なら誰でも、自社が大きく繁栄すること、そして、その繁栄が永遠に続くことを切に願っているに違いない。
大きな収益、事業の夢や願望の実現、社員の幸福も、全ては事業の繁栄がもたらす産物である。
そもそも、事業の繁栄とは、究極には次の2つからしかもたらされない。
それは“顧客開拓”と“顧客維持”である。
新しいお客様を獲得し続け、更に、そのお客様に繰り返し、繰り返し、買ってもらう。これ以外に、繁栄の道はない。
新しいお客様を開拓しないことには、事業は立ちゆかない。
しかし、どんなに新規開拓が上手であっても、お客様に「二度とあそこでは買わない」と思われたり、悪評を立てられてしまえば、どんな大企業でも、生き長らえることはできない。
新規とリピート、この両輪がセットになってこそ、会社は必要とされ、発展し、繁栄することができるのだ。
しかし、そのことに気づいていない経営者は意外に多い。
いかにしてお客を増やすかだけが至上命題であり、リピート受注は二の次、三の次。
全く考えたことがない、という経営者もいるのではなかろうか。
今までは、それでも問題がなかった。
それだけ、お客が溢れていたからだ。世にごまんとある販促戦略でも、常に顧客開拓、新規を狙うものばかりだ。
しかし、時代は変わってきている。
人口減少により、これからお客の数は確実に減っていく。
その上、アジア勢を中心とした海外企業が、次々、日本国内へ進出してくる。インターネットは商圏の概念すら、壊してしまった。
お客は減り続け、ライバルは増え続ける。
それが企業を取り巻く現状なのだ。
いくら新規開拓をしても、その顧客が、次から次へと離れていったらどうだろうか。
一度、購入してくれたが、それっきり二度と購入してくれなかったらどうなるか。
まるで、穴が開いた風呂桶に水を入れるような行為だ。
一瞬、水が入ったと喜んでも、それはぬか喜びに終わるだけ。入れても、入れても、貯まらない。
そして、いつしか水は枯渇する。
顧客を貯めることだ。
顧客を貯める戦略を持つことが繁盛への道である。
つまり、リピートがなければ、事業の繁栄はあり得ないことを肝に銘じなくてはならない時期に入っているのだ。
逆にいえば、“リピート”こそ、繁栄の大チャンスがある。
なぜなら、まだ多くの経営者が本格的にリピート対策に力を入れることに注目していないからだ。
今、身の回りの繁盛している企業を思い浮かべてみて欲しい。
多くのお客様、取引先が、何度も何度も利用し、買ってもらう工夫や仕組みが、そこに隠されているのだ。
一つの例だが、アルミ缶は、一からつくるのに比べ、リサイクルでつくるのにかかるエネルギーは、たったの3%で済むことをご存知だろうか。
経営の原理原則も実は同じである。
ゼロから1を生み出すのには、膨大なエネルギーとコストを要する。
しかし、リピートの仕組み・仕掛けがあれば、新規開拓に比べて、驚くほどの効率の良さ、かつ、お客様に喜ばれながら、半永久的に繁栄し続けることができる魔法的な経営手法なのである。
“顧客適応”“顧客対応”の戦略を持つ時代にあって、今、経営者が着手すべき最重要の戦略、戦術は何か。
それが、リピート対策である。
そうした仕組み・仕掛けで、リピートを上手に獲得している500余社をピックアップ。
その中から選りすぐりの105社に絞り、現場に出向いて足で取材した。
105社の中には、スタッフ2名の個人商店もある。30人のメーカーも、50人の商社も、20人の飲食店も、25人の工務店も、100人以上のサービス業もある。
多種多様な会社が試行錯誤を繰り返し、現場の最前線で生み出されたリピートの知恵とアイデア、ヒントと戦略が詰まっている。
本書をきっかけに、今いる顧客との半永久的な関係構築へ、また、これから出会い、獲得した新規客をリピート顧客として取り込むことを、切に願うものである。それを可能にするのが、本書である。
最後に、この本書の作成に当たって、取材協力を快諾していただいた105社の掲載企業をはじめ、膨大な取材先の中から取捨選択、取材に当たったリピート倍増研究会スタッフの努力のおかげで制作することができた。関係者に心より深く感謝する次第である。