「社長の新ビジネス開発塾」06号

開発するもののあるべき姿(ゴール)を描くことが、開発を成功させる鍵。
その後は、ゴールへの粗筋を書きながら前に進む。

 第1回目から第5回目まで、新ビジネスや新商品開発をする際のテーマの設定や取り組み姿勢についてお話をしてきました。

 今回は、こうして掲げたテーマをどのように具体的に進めて行くべきかについてお話をしたいと思います。

 この結論をいうと、「ゴールを描く」ことです。偉業を成し遂げた科学者や技術者の中には、成功するまで大風呂敷とかホラ吹きといわれた人がいます。

 なぜ、彼らはホラ吹きといわれるのか。それは研究や開発当初からそれが成功した姿を描き、それらがあたかも世の中に存在しているかのように公言してしまうので、端で話を聞いていると大風呂敷を広げているような感じをうけてしまうわけです。

 しかも、目標が高ければ高い程、ハッタリ度が大きくなってしまうわけです。しかし、開発者にとって最も重要なポイントはこうした“ハッタリ屋”になることなのです。

 一般的にゴールを描くことを「コンセプトを決める」といった表現をしますが、開発の初期段階では、夢を描く感覚で構想レベルのゴールの姿を想像することが大切なのです。

 私の知り合いの社長で「光束制御技術」という新しい分野の原理開発から取り組んだ方がいます。

 そもそもこの技術の開発のきっかけは、たまたま入ったそば屋にあった、そばづくりについて書かれた版画がガラスの額の中に入っていて、反射して見えなかった。そこで「ガラスは透明なのに反射して見えなくなる。この反射をなくすことができないだろうか」という単純な疑問が発端でした。そして、その疑問が光の原理開発と応用製品の開発へとつながっていきました。

 開発された技術を簡単に説明すると、懐中電灯で一点を照らすと中心が最も明るく、外側へ行く程暗くなります。これを光の束の密度といいますが、この懐中電灯が照らす部分を均一の明るさにする技術を開発したのです。

  この技術はOAフィルター(OAモニターの表面の映り込みを掃するフィルター)、近距離から大画面に照射でき、しかも斜めからも歪みの無い映像をつくり出すプロジェクター、昼間太陽光の下でも見えるスクリーンなどさまざま分野で応用され、今までにはなかった製品を作り出しました。

 私が社長からこのお話をうかがったのは10数年前ですが、その時の社長は製品が既に出来上がったように熱く語っていたのを憶えています。

 しかし、こうした開発ができるかどうかは、常に問題意識を持たなくてはなりません。そして、開発者が強いこだわりを持ち、それがどのような結果(ゴール)になるかを明確に打ち出すことが必要です。

 といってもその結果が、単にその商品やサービスがヒットして売り上げが上がるというのではなく、その商品やサービスがお客様にどのように喜ばれるか、どのように広がるかというビジョンが必要です。そうしなければ、周囲の理解や協力を得ることはできません。

 次回は、ゴールを描く効能とゴールを描くための準備作業(開発の仕方)についてお話しを進めようと思っています。

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