社長のための「売れる高級品」開発塾 11号

3500円もする豆腐が、10年を越すロングセラーヒット商品に。

−「高級ざる豆腐」有限会社川島豆腐店-

 女性ホルモンに似た作用をし、女性の健康維持、美白効果や高血圧予防、中性脂肪除去などに効果があることで巷で話題沸騰中の大豆イソフラボン。

 そのイソフラボンを含む食品として普段の食生活の中で摂ることの出来る豆腐や納豆が改めて見直されています。

 ヘルシーな食品として特別に取り上げるまでも無く、日本人の大好きな豆腐。全国には沢山の有名な豆腐がありますが、一時全国的にブームになったのが笊に入ったざる豆腐です。

 このざる豆腐の元祖でもある豆腐を作っているのが川島豆腐(佐賀県唐津市)の店主川島義政さん(八代目)。

 川島さんは20年近く前に昔し五島列島にあったとされる、ざる豆腐を甦らせた張本人です。

 豆腐は、豆乳に苦汁を加えて固め、出来上がった豆腐を水に放つのが一般的ですが、ざる豆腐は大豆の旨みを生かすため、水に哂さずに固まった豆腐を笊にそのまま掬います。こうしてつくったざる豆腐は大豆のもち味がそのまま生きていて、醤油も邪魔になるような、素朴な味わいのある豆腐です。

 価格はなんと3500円(普通の豆腐の約八丁分)。全国へ宅急便で配送しています。長い年月をかけて開発した“ざる豆腐”でしたが、発売当初は全く売れず、しばらくは苦労の連続でした。

 売り出してから数年後、ある著名人が唐津を訪問した際、川島豆腐の噂を耳にし、食べたのがきっかけとなりその後、口コミで広がり、雑誌等で紹介されるようになりました。

 今でも宣伝、広告は一切しておりませんが、口コミだけで何と年間3億円にまでなりました。しかも店は、唐津駅の近くの古い商店街の一角で5坪くらいの小さな店です。

 旨い豆腐作りの秘訣は、ずばり“素材”と本人は言い切ります。大豆の味が一番で、近隣の農家に奨励金を払ってまで、旨い大豆を確保しています。水も理想に近い水にするため、自ら開発した機械で水作りまでし、こだわりの苦汁を使って、毎朝三時に起きて豆腐作りに専念しています。

 それにしても豆腐で3500円は高いと思われる方が多いと思いますが、食べてみると納得する味です。

 何故3500円の価格設定をしたかと伺いますと、“良い食材を使い手間隙かけて作った豆腐(原価が高い)なので単純に高く売ろうと考えただけです。お客様が価値を認めてくれなければ、売れないと思うが、多くのファンがいて10年以上も売れ続けているので、適当な値段かなとも思います”と淡々と語ってくれました。(需要重視型値付け)

 川島さんの作る“ざる豆腐”は特殊なもので自分たちが扱っているのものとは違うと見る方が多いかと思いますが、定番中の定番の豆腐(たった3つの素材の組合せでつくるもの)であっても差別化をはかり、地方にあるたった5坪の店が発信基地となり、壊れ易い豆腐を全国へ販売。10年以上も売上を伸ばし続け、年商3億円を達成しています。

 業界の常識を打ち破り、旨い豆腐を作れば必ず売れるとの一念で、開発から販売にいたるまで独自の考えで貫いた川島さんから、沢山のことを学ぶことが出来ます。

 特に業界の常識で自縛している方々は是非参考にして、新しい付加価値作りに挑戦してみては如何でしょうか。

内海悟



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