うえじゅんの「自腹で試した流行りモノ」 11号

“子連れ限定”で大繁盛!
1ヶ月先まで予約待ちの
イタリアン・カフェ。


「SKIP KIDS(スキップ キッズ)

大人か子供。どちらかが我慢しなければならない場所しかない!!

 ターゲットを「子連れ限定」に絞って大成功を収めているカフェがある。それが東京・江戸川区にある「スキップキッズ」だ。

 「スキップキッズ」のオーナー藤代聡さん(38)は、15年間リクルート・フロムエーで求人広告の営業を経験。その後、新規事業の立ち上げに携わった。ビジネスマン時代から「いすれ独立」と思っていた方だ。

 藤代さん自身も小学校4年生を筆頭に男女3人のお子さんを持つよきパパだ。平日は激務をこなす一方、土日は家族サービスに徹した。

 「ところが、ディズニーランドなど、親も子も満足できるレジャー施設はとても高くて頻繁に利用できない。一方、ファストフードやファミリーレストランは安いが、他の客に煙たがられてゆっくりできない。『中間の施設がない!』と思っていたんです」と藤代さんはいう。

 さらに、ある日、藤代さんは子供にねだられてある施設に出かけた。大型ショッピングセンターに設けられたテレビアニメで人気のキャラクターを使ったアミューズメント施設だ。

 ところがここは子供の入場料が400円、小学生以上の同伴者には200円がかかる。さらに入園から30分以降は15分延長するごとにそれぞれ200円、100円が加算される。

 この施設にはボールプールなど幼い子供が好きな施設があるのだが、親がつきっきりで見ていなければならない。「せめて、本でも読んでいられれば、大人がこんなに我慢しないですむのに。大人も子供も満足できる場所はないものか」。

 同様のことを友人たちも痛感していた。これがきっかけで日本中の施設をリサーチした。しかし、どこにもなかった。

 そこで「子供が思いきり遊べて、子供を見てくれる人がいる飲食店。せめて月に一回は利用できるくらいの価格帯。メニューは大人も子供も満足できるもの。これならきっといけるはず」と藤代さんは決意し退社。昨年6月に「スキップキッズ」をオープンしたのだ。



そんな店なら、車で30分かけてでも行きたい!

 では、なぜ、江戸川区を選んだのか。それは都内で5歳以下の人口が多いエリアだったからだ。

 オープン前、数字的な裏づけを得るために、一都三県200名の主婦に事前調査を行った。「スキップキッズのような店があったら利用するか」を問うと、「積極的に利用したい」「利用したい」を合わせると90.5%にものぼった。しかも、30.1%もの人が「そういう施設なら、車で30分かけてでも行く」と回答。ニーズが非常に多いことがわかった。


マンションの一階に構える「スキップキッズ」。江戸川区立スポーツセンター、ダイエーが隣接する。店舗の前には常に補助席をつけたママチャリがずらりと並んでいる。


 約180平米の店舗の三分の一は子供が遊べるスペースだ。この遊具スペースの利用料金は幼児一人あたり一時間250円(7歳未満のみが利用可)。親と7歳以上の児童は飲食料金のみでいい。

「スキップキッズ」の店内。約180平米の店舗の三分の一を子供が遊べるスペースにあてている。

幼児用の椅子はもちろん、赤ちゃん用のベッド兼用の椅子も常備されている。「すっごい、ありがたいです!!」と大好評。ママたちはセルフサービスで持ち出したり、元の場所に片付けてくれる。



 遊具コーナーには保育士の資格を持つ女性スタッフを2名設置。スタッフの手が空いているときは、おもちゃを「キレイキレイ」を使ってふきあげていた! すごすぎです!

 カウンター席には電源も設けられ、無料で貸し出してくれるノートパソコンでネットサーフィンもできる。店内には子供用の絵本はもちろん、大人のための雑誌、書籍、マンガも用意されている。いずれも無料だ。壁面には伝言板も設けられ、「売ります、買います情報」や教室の案内が表示されている。

 トイレにはベビーベットを設置されておりオムツ替えができる。スーパーなどでは持ち帰ることが基本。しかし、スキップキッズではオムツを捨てていくことができる。新しい紙オムツは一個50円で購入することも可。トイレには幼児用の便座も用意されている。

 「スキップキッズ」は一見カジュアルなカフェ風の作りだが、厨房には本場イタリアで腕を磨いてきたシェフを招いていて、舌の肥えた大人も大満足な本格的なイタリアンが楽しめる。

 ちなみに店内には本格ピザ釜も設置されている。ピサは粉から手作りだ。パスタは生麺でモチモチ感がたまらない。昼間もビールやワイン、カクテルが飲めるのもうれしい!! しかもアルコールの値段は居酒屋価格! 「昼間のビールは最高の贅沢です!!」と答えてくださったママたちもいた。

一流のイタリアンレストランにひけをとらないピザ(780円〜)とパスタ(780円)とキッズプレート(500円)。安いものよりもウニを使ったパスタなど、3割ほど高くても付加価値の高いメニューがよく出るのだとか。

店内にあるピザ釜

おいしさにこだわって本格的なピザ釜を導入。もちろんピザの生地は粉から手作り。

パスタはモチモチ感がたまらない生パスタを使用。予約制で子供が手作りピザを体験することもできる。



 このような工夫が絶大な評価を受け、宣伝は一切していないにも関わらず口コミだけでお客様が集まり、オープン2週目から連日満席。1ヶ月先まで予約でいっぱいという状況が続いている。

 しかも、車で30分どころか、今では、隣県の千葉県や東京・杉並区や世田谷区からも訪れるのだという。かくして月間の来場者は平均5000人。客単価は事前調査で見込んでいた1客あたり1000円以下を大きく上回り2500円をゆうに超えるのだそうだ!! すごいです!

 「子連れママ」といえば、「せいぜいランチかお茶」。夕食の準備もあるから、夜はガラガラかと思いきや、お客様にうかがってみると、「夫の帰宅はいつも終電に近いから、夜もよく来ます」という。そのため、夜も混雑が続く。

 「オープン当初は21時閉店にしていたんですが、それでも入店を望むお客様が多いため、金曜日と土曜日は22時まで延長しました」と藤代さん。

子供たちに大人気のボールプール。保育士の資格を持つ女性スタッフが常時2人で子供たちを見てくれるから、親は安心してゆっくりと自分の時間を楽しめる。通行人からガラス越しに見えるボールプールがすんごい集客のツールとなっている。




もうひとつのびっくりBtoB裏メニュー

 さて、ここまでなら、「今まで思いつかなかった穴のマーケットのカフェ」に過ぎない。藤代さんのすごいところは、さらにすごい裏メニューが用意されていることだ!

 藤代さんは、このスキップキッズを企業に「マーケティングの場」として提供しているのだ。実はこちらも、藤代さんの苦い実体験に基づいている。

 藤代さんがビジネスマン時代、新規事業を立ち上げる際、事前調査を行っていた。ところが、乳幼児を抱える主婦たちだけは、いつも集めるのに苦労していた。

 「同じ悩みを抱いている企業は多いに違いない」と、店舗設計の段階から、グループインタビューができるように想定。一番奥の20人程度が座れるパーティースペースでグループインタビューを行えるように、隣接する小部屋の壁にマジックミラーを設置した。


BtoBの裏メニュー用のグループインタビュースペース。正面に見える鏡はマジックミラーだ。発注企業の方がグルインの様子を眺めることができる。



 新聞でスキップキッズがとりあげられたとたん、こちらのビジネスも大繁盛。一切、営業をかけていないにもかかわらず、企業からの注文が次々と入ってきているのだとか。すごいです!! さらには、全国から「ぜひ、フランチャイズ展開をさせてくれ」というひきもすごいそうだ。参りました!!

 いまやファミレスや公園は乳幼児を抱えるママにとって怖い場所とも聞いた。「ここがなかったら、きっと私、アルコール中毒になっていたと思います」というママもいた。笑顔でおしゃべりするママやご夫婦。幸せそうに走り回る子供たち。

 企業側は今まで探すことが大変だったモニターを容易に集められ、ママたちは小遣い稼ぎができる。スキップキッズの店内でおいしいピザとパスタとビールをいただきながら、こういうのを本当のWIN-WINというのだなあとつくづく思った。




SKIP KIDS(スキップ キッズ)

 江戸川区西葛西4-2-14 SKガーデン1階
 TEL&FAX  03-5667-6816
 http://www.skipkids.net 
 E-mail info@skipkids.net 




■今回の自腹■

 ナスとベーコンのシチリア風 880円
 マルゲリータのピザ 780円
 キッズプレート 500円
 ビール 580円

 合計2,740円チーン!。







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