うえじゅんの「自腹で試した流行りモノ」 10号

ありそうでなかった
日常生活を豊かにしてくれる
オシャレな花屋さん


「青山フラワーマーケット

行列の絶えない花屋さん

 3月3日はお雛祭りでしたが、どんな風にお過ごしになられましたでしょうか?
 私、うえじゅんは桃の花を飾り、桃のゼリーを堪能。桃の花束を購入したのは、渋谷の東急東横店の店頭にある「青山フラワーマーケット」だ。このお店、行列が途切れることがない超人気の花屋さん。

 実は私、「花を買うなら青山フラワーマーケット」と決めている。その理由は、「センスがよくて、安くて、新鮮(つまり長持ちする)。そのうえ店員さんが気持ちいい」からだ。

 この「青山フラワーマーケット」は北海道に7店舗、関東に28店舗、大阪に2店舗、福岡に1店舗、全国で38店舗展開、年商は24億円で、いま急成長している花屋さんだ。

 「花屋なんてどこもみんな同じでしょ?」なんておもってらっしゃる方、「青山フラワーマーケット」は、見た目からして特徴があるんです。

 一般に冷蔵庫は花屋にはつきものだが、青山フラワーマーケットには冷蔵庫がない。実は花というのは、冷蔵庫に入っている間は持つが、出したとたん、急速に鮮度が落ちるのだ!

 しかも冷蔵庫に入っている花は見た目にも楽しむことができないし、香りを直接楽しむことができない。


「青山フラワーマーケット」の店舗。

冷蔵ケースはなく、ブリキの筒型のバケツに入れたバラ売りの花とブーケ、ワイン木箱を模したケースにいれられた小さなブーケで構成された店舗。従来の「花屋」とは明らかに一線を画した店構え。
同社の井上社長自らパリの花市場を訪れ考えられたものだ。

 冷蔵庫の無い青山フラワーマーケットでは、すべて、季節の花の香りを直接楽しむことができる。段々の棚にアルミバケツに入れられた色とりどりの花々は、まるでパリの市場のようで、見た目からしてイケてる花屋さんなのだ。

 ちなみに今、全国の花屋の店頭で500円程度の小さな花束が当たり前のように売られているが、このブーケの先駆者が「青山フラワーマーケット」だ。

 一般の花屋で花束を頼むと、できあがるまで完成形がわからない上、時間もかかる。しかし、青山フラワーマーケットでは、グラスブーケ、キッチンブーケ、ダイニングブーケ、エントランスブーケ、リビングブーケ、すでに花束になっているため、すぐに購入して帰れるのもうれしい。

「青山フラワーマーケット」で売られているミニブーケ。センスのいい出来合い、しかも手ごろな値段なので気軽に買えちゃう!



みんなの「こういうのいいなぁ〜」を形に

 「青山フラワーマーケット」の初出店は1992年。それまで、日本では、花のマーケットといえば、法人の贈答が主で、あとは結婚式やブティックや飲食店などのディスプレイ用。個人需要はせいぜい仏花といったところだったか。

 いや。女性誌では、頻繁に「花のある暮らし」を提案していたし、「生け花」ではなく「フラワーアレンジメント」は常に人気の習い事だった。若い女性が好むカフェ「アフターヌーンティー」などでは、テーブルの上に小さな花が活けられていて、「こんな風に食卓にいつも花があると気持ちがいいなあ」ということをお客様側は知っていた。

 しかし、そんな風に個人が日常的に生活を楽しむための花を売る花屋がなかったのだ。それを具現化したのが「青山フラワーマーケット」だ。

 同社のコンセプトは、「Living  With Flowers Everyday」。ワインの木箱を模したディスプレイ棚には、気軽にお花を飾ってほしいという想いから作られた5つのタイプのブーケが並ぶ。いずれも季節感を大切にした花材を組み合わせた超ステキな商品だ。とにかくセンスのよさは他店と一線を画する。

 しかも日常的に楽しんでもらいたい、とあってお値段も手ごろだ。パソコンの横や小さなテーブルの上にちょうどいい大きさの8×15cm程度のグラスブーケは368円。台所仕事が楽しくなりそうなキッチンブーケは12×17cmで525円。15×20cmのダイニングブーケは788円。エントランスブーケは25×50cmで1050円。リビングブーケは長さが80cm以上もあって1575円。

グラスブーケ 368円

たったこれだけの花と葉っぱなのに、センスよく組み合わせるのは実は結構難しい。そのうえ、ものすごいコスト高。他店なら1000円はする。それで大人気。


 会社帰りのOLが列をなして購入しているのは、368円のグラスブーケや525円のキッチンブーケだ。これらはいずれも小さなグラスに活けてちょうどいい小ぶりなサイズだ。



花に無縁の元公認会計士が…

 これらの小さなブーケは「青山フラワーマーケット」を運営する「パークコーポレーション」の社長、井上英明氏は「日本では花瓶を持っていない家庭が多い」ということに着目して開発したという。

 現在41歳の井上英明氏は、花き業界とは全く無縁の出身。早稲田大学政経学部卒。「世界を股にかけるビジネスマンに憧れ」、ニューヨークで公認会計士をやっていたというイケメンだ。

 ところが、会計監査とは前年のカネ勘定が間違っていないかチェックするという仕事。「そんな終わっちゃったものどうしようもないじゃん。自分には向いてないわ」と1年で退職し、帰国。

 すぐに会社を立ち上げ、「何をしようか」と考える。「自分は何をやっているときが楽しいか」と考えた末、「友人たちと遊んでいるときが一番」と、イベント企画や結婚式の企画・演出の会社を興す。

 会社を作って一年後。ある経営の本に「会社経営には日銭があると非常に強い」ということを目にする。当時1990年。大阪・鶴見で「国際花と緑の博覧会」が開かれていた。「これからは花の時代だ」「花はいい」としきりといわれていたため、知り合いの花屋に頼んで、花市場に連れていってもらったという。

 すると、そこいら辺の花屋で1本700〜800円しているバラが、市場ではなんと一本150円で売れられていることに大きなショックを受ける。

 それで「俺もやるかあ」で、その場で持っていた2万円で仕入れ、花屋を始めたそうだ。すごいっす!

 最初は無店舗で完全予約制で、知り合いの代議士に販売。2年後の1992年には、青山ラミアビルの地下の階段の踊り場に初出店! 観葉植物が置いてあった場所を「僕らにやらせてもらえば、観葉植物のリース代がいらなくなるうえに、家賃が入ります」と交渉なさったのだとか。ひえー!

数年前から、花の生産者からの直接買い付けを開始。
青山フラワーマーケットが直接買い取ることで、花の生産者は珍しい花や価格の高い花を作るリスクが避けられる。
消費者は珍しい花を格安で手にいれることができる。


 店舗はパリ風でオシャレ。従業員のユニホームは制服はない。けれども、全部自前で花が映える黒に統一している。パリにはアパートがあって、がんばっているスタッフはアルバイトでも研修旅行に行ける。だから、ホスピタリティーがあって、センスのいいスタッフが集まる。

 この相乗効果で自分たちで一切営業せずとも、ビルオーナーのほうから、「出店してくれ」とお誘いが来るのだそうだ

 2003年には、「フラワースクール Hana-kichi」というフラワーアレンジメントの学校も開始。

 「花びんがない家庭でも花を楽しめるように」とグラスブーケや525円のキッチンブーケを始めた「青山フラワーマーケット」だが。花がある暮らしが定着した今、オリジナルの花バサミや花瓶が売れに売れているのだとか。一型7万個!!も売れている花瓶もあるらしい。

 「花は必ず枯れ、散っていく。それでもお客様はお金を払う。つまり、お客様は花屋から花を買うのではなく、花のある時間と空間を買いに来てくださるのだ」という井上社長。今後は、花を売らずに「花のある空間だけを楽しむ店舗を展開していく」という噂も聞いた。今後の展開がますます楽しみだ。





■今回の自腹■

 桃の花束 787円

 合計787円チーン!。







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