うえじゅんの「自腹で試した流行りモノ」 09号

黙って吉方位に向いて丸かじり…
福を呼ぶ節分の新イベント


「恵方巻(えほうまき)

 さて、2月3日は節分でしたが、皆さんは「恵方巻」をお召しあがりになられたでしょうか?

 この恵方巻とは、「節分の日に恵方(吉方角のことで2005年は西南西)を向って、丸のまんまの巻き寿司を無言でかぶりつくと福を呼び込める」という風習だ。うちの実家だけの奇妙な慣わしかと思っていたが、関西発祥の風習らしい。

 関西発の風習だと教えてくれたのは、祖母でも母でもなく、セブン-イレブンのポスターだ。同社では、毎年、年が明けたころには、店頭のポスターやチラシでこの恵方巻を大々的に告知する。

 セブン-イレブンが恵方巻を商品化した歴史は結構古く、1989年までさかのぼる。広島県内のお店のある店長から、「広島地方で節分の日に食べる巻き寿司を、店でも売ってはどうか」という提案があがったという。それを受け、広島市の一部で販売してみたところ反応は上々。

 そこで、97年には西日本で、98年にはついに全国販売に。この全国販売の際には、恵方巻の存在を知らなかった関東エリア、東北エリアの店長らは、自ら近所にPRに周ったのだとか。

 さらには、「幸せのおすそ分け」と店頭で試食を実施。全国各店で「福を呼ぶイベント」を盛り上げてきた。その結果、98年当初は売り上げ総数約50万本だったのが、昨年は約250万本と大ヒット商品に。

 「毎年20%から30%づつ売り上げを伸ばしていることから、今年は300万本を用意しましたが、予想以上に反響が大きく300万本を完売しました」とは、セブン-イレブン広報室の伊藤真由美さん。

 近くのセブン-イレブンに買いに行くと、この恵方巻、ものすごい人気で「午前中、あっという間に完売しちゃいました」という。残念がる私を見て、店長さんが「じゃあ、私の分をお分けしますよ」と、ご自分の福を分けてくださった! ありがたい!!

セブンイレブンの店長さんに分けていただいた恵方巻。380円。

2月3日だけで300万本完売だとか。おにぎり同様パリパリの手巻き。幅4.5センチの食べきりサイズのミニタイプも今年から新登場。


 具はタマゴ、おぼろ、かんぴょう、しいたけ、ゴボウ、穴子。実はこの具。地域によって異なると知った。私が買った具は愛知県よりも東のバージョン。

 西はゴボウの代わりにきゅうりと高野豆腐(こうやどうふ)が。新潟地域は、くるみとひじきが入っているらしい。戦国時代に上杉謙信が陣中食として食べたといわれる郷土料理「笹寿司」をヒントにしているのだ。

 お寿司は日本の風土が強く反映されるため、地域の味にこだわったからだそうだ。すごいなあ〜。

 はてさて、「恵方巻」ブームを作ったセブン-イレブンだが、他のお寿司屋さんはどうだろうとチェックしてみた。

 さっそく新宿の大手デパート地下一階のS寿司店に。680円という通常の巻き寿司よりも2割程度お買い得な「恵方巻」が山積みになっている。

 実は食べ物で苦手なモノが多いこの私。「アナゴとおぼろ、この2つ抜いてもらえませんか。値段は言い値で買いますからお願いします!」と交渉してみた。

 ところが「材料全部巻いちゃったんでできません」とあっさり断られてしまった。いなり寿司が人気のS店でも同様の回答。結構悲しい。ちなみにこのS寿司店では、閉店間際、3割引にしても山のような在庫はさばけていませんでしたが…。

 そりゃ私が苦手なモノ多いのが悪いんだけど、う〜〜ん、どこかに私のわがままを聞いてくれる奇特なお寿司屋さんはないものだろうか…と、モンモンとしながら新宿の地下街をえんえんと10分ほど歩いて、南口の駅ビル「ミロード」にたどりついた。

 ここのレストラン街には、人気の「下高井戸旭鮨総本店」が入っている。イートインのみだが、この日だけは「恵方巻」の持ち帰りを行っていた。店頭のポスターには「ご予約承っております」とある。

 そこで、女性店員さんに「予約していないんですけど、お願いできますか?」と聞いてみた。すると「大丈夫です」と即答が…!

 さらに「言い値で買いますから、おぼろとでんぶを抜いてもらうことできませんか?」ともお願いしてみた。すると、その店員さんは板前さんに相談して、好きな具を入れてくれるように交渉してくれた。

 「少しお時間いただいていいですか?」と聞かれ、待っている間、カウンターの席を空け、おしぼりと温かいお茶まで出してくれた。

 タマゴ、かんぴょう、きゅうり、山ごぼう…私好みの精進巻きを喜んで作ってくださった。値段は恵方巻と同じまま。恐縮していると「また、ぜひ来てくださいね。今日の巻き寿司もいつでも承りますから」とイケメンの若い板前さん、店員さんともにすげーさわやかな笑顔だ。

下高井戸旭鮨総本店「恵方巻」
630円。

私のワガママを聞いて下さって、おぼろとでんぶ抜きで作ってもらったスペシャル版。

旭鮨総本店「恵方巻」の包装紙。なんと丸かぶりのしかたまで解説してある。

500名に恵方巻を持った鬼のストラップがもらえるキャンペーンも掲載。


 なるほど、繁盛するのもうなづける。「新宿でお寿司を食べたいという人がいたら、ぜったいに旭鮨総本店にお連れするぞ〜」と決めた。(笑)

 ご満悦で帰路につく私うえじゅんだったが、さて2月3日の節分といえば、従来の風習?!の「豆まき」も気になるところ。実はこの日、煎り豆で一悶着あった。

 あるデパ地下の食品売り場で「炒り豆」を買おうとした。周囲にも同様の人がたくさんいた。グルグル売り場を回っても豆はない。

 店員さんに聞くと、数分またされた挙句に「午前中で売り切れました」とあっけらかんと言う。オイオイなんで、「売り切れました」ってPOP出しとかないかなあ〜とカチンと来た。

 それでも、売場の方がメガホンで「東京にお住まいの方は、今年の恵方、西南西は富士山の方向を向いてください」というアナウンスにはすっごい助かった。確かに「西南西」っていわれてもどっちを向いていいやらわかりませんから(笑)

 気を取り直して、そういえばこの同じ食品売り場のフロアに、こだわりの自然食品の店が入っていたことを思い出した。もしやと思い、そこに行くと味付けされた煎り豆が残っていた。「ほら、あるじゃん! 連携が悪いなあ〜」と思いつつ、そのデカイ袋を見て再びブルーに。

 「豆まくったって今どき大量に撒きちらす訳じゃないんだから、縁起担ぎにちょこっとあれば十分なのに…。いったいこの豆、何年分あんのよぉ〜。小分けの売ろうよ。小分けを!」と思いつつ、まあしょうがないので一袋購入した。

 まあいいか。旭鮨さんの“スペシャル恵方巻”が私にはあるし(笑)。帰宅途中、「恵方巻」を売るとき、「1本につき60粒ほどの一人分の豆を福を呼ぶおまけとしてつければ、もっと縁起物になっていいのになぁ〜!」と、ふっと歩きながら思った。

 そんなこんなで家に帰り着いて、さあ旭鮨さんの恵方巻をたべるぞー!と袋を開けてみて、その心憎いプレゼントを目にすることに。なんと一人分のちっちゃい煎り豆が同封されていたのだ! すごいぞ旭鮨さん!

下高井戸旭鮨総本店の恵方巻についていたおまけの豆

パソコンでプリントアウトし、はさみで切った手作りだ。数えてみたら33粒入だった。もらってうれしいおまけ。


 当たり前と言えば当たり前なのだが、季節もイベントも環境もチャンスも同じなのに、「売れている店はやはり違う」。節分の日。セブン-イレブン、下高井戸旭鮨総本店から学ばせていただいた。




※下高井戸旭鮨総本店 新宿ミロード7F店

東京都新宿区西新宿1-1-3 新宿ミロード7階
TEL.03-3349-5812
http://www.asahizushi.com/



■今回の自腹■

・セブンイレブンの恵方巻は380円でしたが、あくまでも店長さん個人からご好意で譲っていただいたので、自腹には含めないことにします。
・下高井戸旭鮨総本店の恵方巻 630円 

 合計630円チーン!。







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