社長ための“会社の真の姿”発見 22

株式会社不二家

〜不祥事発生の遠因〜

 今回は不二家の分析を見てみましょう。

 総合評価は黄信号領域にドップリとはまっています。こういうケースは、なんとかしなければと言う思いがあるものの、どうにもならない鬱積した思いが社内に充満していることが多くあります。

 内部告発から事件が発覚したことでも、社内の状況を予測することができますね。これはゴーン氏が来られる前の日産自動車とほぼ同様の状態です。

 不二家は、2006年10月と11月の計8回にわたって、埼玉県新座市の同社埼玉工場でシュークリームを製造する際に、消費期限が切れた牛乳を使っていたことが発覚しました。

 このことは、同11月までに社内プロジェクトチームの調査によって判明していましたが、不二家では「マスコミに知られたら雪印乳業の二の舞になることは避けられない」と隠蔽を指示する内部文書を配布するなどして、自らは公表しませんでした。

 結局このことは洋菓子需要の繁忙期であるクリスマス商戦を乗り切った後の2007年1月10日に、内部告発を受けた報道機関の手により公になりました。




【総合評価】
【営業効率】
【資本効率】
【生産効率】
【資産効率】
【流動性】
【成長性】
【安全性】


 営業効率、資本効率、生産効率、流動性が赤信号領域に入っています。また、悪化成り行き倍率が、2003年に2年、2006年に3年改善成り行き倍率が、2004年に2年、2005年に6年がついています。このことから不二家の経営は、ダッチロール状態に入っていたことが理解できます。


2001年12月
2002年12月
2003年12月
2004年12月
2005年12月
【企業力総合評価】
(60以下は倒産)
83.64
75.74
86.70
88.73
79.28
増加総合評価 (1)
******
△7.90
10.96
2.03
△9.45
改善か悪化か
******
悪化
改善
改善
悪化
総合評価−60 (2)
23.64
15.74
26.70
28.73
19.28
悪化成り行き倍率
 (2)÷(1)
******
2
******
******
3
100−総合評価
16.36
24.26
13.30
11.27
20.72
改善成り行き倍率
******
******
2
6
******


 次に、不二家の売上高増加率、営業効率の一覧表をみてみましょう。


売上高増加率  売上総利益率  売上高経常利益率  売上高当期利益率


 売上高総利益率がジリジリ下がっています。強い企業はジリジリ上がります。
 5年間に経常損失を2度出しています。
 2006年の有価証券報告書の記述は以下のようになっています。


 当連結会計年度の売上高は848億43百万円でした。利益面は原材料の高騰に伴う材料費のアップ等により売上原価率が悪化し、また販売促進費の実質的な増加(建値変更前基準)により特に菓子事業及び外食事業の収益が悪化し、営業損失は2億3百万円(前期比11億69百万円の悪化)、経常損失は1億47百万円(前期比9億87百万円の悪化)となりました。

 特別損益としては、投資有価証券売却益3億76百万円、固定資産の減損による損失7億89百万円、固定資産の廃棄損3億28百万円等の損失等があり、法人税等、法人税等調整額を差し引き、当期純損失は17億97百万円(前期比31億12百万円の悪化)となりました。



 以上の記述を見る限り、「貧すれば鈍する。」ということが今回の事件の遠因になっているように思います。ただし、安全性の指標は5期連続して青信号領域をキープしていました。




 青信号領域にあった総合評価があっと言う間に赤信号領域に突っ込み、みるみるうちに蓄えを吐き出し安全性も赤信号領域に突っ込んでいった雪印乳業の例は記憶に新しい方も多いと思います。有頂天になっている時にこそ危機感を、が真実味をもってきます。

経営コンサルタント 山本一博

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