社長ための“会社の真の姿”発見 19

吉野家ディー・アンド・シー(2)

〜主力商品がなくても回復できる底力〜

 吉野家ディー・アンド・シー連結会社群には、成長過程の段階にある企業が多く、現時点では同社グループのコア企業である(株)吉野家ディー・アンド・シーを中心とした牛丼関連事業の連結業績に占める売上高、利益の割合が高くなっています。従って、牛丼関連事業の業績の如何により、グループ全体の業績に大きな影響を与えることになります。

 2003年12月より継続していた米国産牛肉の輸入禁止措置は解除されましたが、その後も、吉野家ディー・アンド・シーの牛丼関連事業の業績に大きな影響を与えているはずです。にもかかわらず、吉野家ディー・アンド・シーの業績が回復しています。ここのところが安部社長のすごさです。

 現金預金比率、自己資本比率をご覧下さい。『素晴らしい』の一語につきます。

2002年2月
2003年2月
2004年2月
2005年2月
2006年2月
現金預金比率
285.56
297.34
199.97
385.23
325.31
自己資本比率
83.37
87.71
85.27
84.11
89.75

 2005年には、営業効率が赤信号領域にはまっていますが、2006年には、青信号領域に戻しています。

【総合評価】
【営業効率】
【資本効率】
【生産効率】
【資産効率】
【流動性】
【安全性】
【成長性】



 危険ゾーンまでの年数を示す、悪化成り行き倍率は、100年13年2年と加速していましたが、2006年に反転しました。

2002年2月
2003年2月
2004年2月
2005年2月
2006年2月
【企業力総合評価】
(60以下は倒産)
173.65
173.23
164.73
126.39
147.76
増加総合評価 (1)
******
△0.43
△8.50
△38.34
21.37
改善か悪化か
******
悪化
悪化
悪化
改善
総合評価−60 (2)
113.65
113.23
104.73
66.39
87.76
悪化成り行き倍率
 (2)÷(1)
******
100
13
2
******


 吉野家ディー・アンド・シーのグラフを見て、どこかで見覚えのある感じをお持ちではありませんか。

 以前登場した森精機工作所にそっくりでしょう。森精機工作所は、企業は取り巻く環境の中にあり、先手を打ち、市場のパイが縮小する局面においても持続可能な利益を得ることのできるように、固定費の削減を推進して、強い企業体質の構築に努めていく方針を打ち出していました。

 吉野家ディー・アンド・シーは、外食産業全体のマーケット規模が縮小するなか、大手外食チェーンは年々店舗数を増加させており、競争が一層熾烈化すること、さらに、少子高齢化の進行により、中核である牛丼関連事業が従来コアターゲットとしていた顧客層(18〜35歳の男性)は減少傾向にあり、今後、既存の牛丼店舗の出店ポテンシャル(出店可能店舗数)は年々縮小することを見込んでいます。

 吉野家ディー・アンド・シーでは、連結会社群の成長、牛丼事業での新フォーマットの開発、海外への積極的な展開等により、売上高を向上させる取り組みを積極的に推進していく戦略を取ろうとしていますが、過去の推移と比較して、グループの売上高成長率が鈍化する可能性を見越しています。

 現在時点での、吉野家ディー・アンド・シーの営業効率は以下のとおりです。

2002年2月
2003年2月
2004年2月
2005年2月
2006年2月
売上高合計(100万円)
87,960
86,513
86,338
63,201
65,773
売上高総利益率
61.03
60.56
59.07
55.40
59.06
売上高営業利益率
17.87
16.78
13.88
△2.89
2.23
売上高経常利益率
18.66
17.65
14.42
△2.00
2.87
売上高当期利益率
6.51
6.42
5.80
△4.63
1.10


 財務分析目的は、企業の成長のために示唆のある事柄を捕捉するためにありますが、自社の分析をしていただけでは何も見えてきません。競合他社、仕入先、得意先、業界全体、すべての会社を分析出来なければ、自社の本当の姿は見えてきません。

経営コンサルタント 山本一博

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