●価値をつくる基準
フランスと聞くとファッションを想起する人が多いと思いますが、この国は農業製品としても優位性を発揮しており、重要な輸出産品になっています。
フランスの農業製品の価値を高めているノウハウがAOCと呼ばれる基準であり認証です。ワイン好きなら、すぐに想起する基準だと思います。
AOCとはアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ (Appellation d'Origine Controlee,)の略で原産地統制呼称、原産地呼称統制の意味です。
これはワインに限らず、チーズやバターなどフランスの農業製品に対して与えられる認証で、製造過程と品質評価で特定の条件を満たした産品にだけ付与される品質保証です。
フランスの法律では、AOCの基準を満たさないものは、AOCで規制された名称で製品を製造または販売することは違法です。
AOC製品は、ラベルや製品に印刷された証印によって識別され、不当表示を防止するため条件を満たさない製品には使用できない仕組みです。
例えばワインのAOC規定では、以下のような厳しい基準があります。
1. 生産地域:その産地内でできたブドウ100%で作られていること。
2. 品種:ブドウの品種に規定があり、それが守られていること。
3. 最低アルコール度数:収穫期のブドウの糖度が規定を満たしているこ。
4. 最大収穫量:生産量を増やしすぎて土地がやせ、ブドウの品質が落ちる ことを防ぐために1ha当たりの最大収穫量が規制されていること。
5. 栽培法:ブドウの樹齢が5年を経過していること。
6. 剪定法:ブドウの樹の種類を考慮していること。
7. 醸造法:産地によって異なりますが、ミュスカデ、ロゼワイン、シャンパーニュなどの発泡ワインには特別に規定があること。
8. 熟成法:ボジョレー・ヌーヴォーの発売日や、発泡ワインの熟成法は特に厳密に定められていること。
9. 試飲検査:全てのAOCワインは試飲検査を受けなければならないこと。
という内容です。
● ブランドとは、創造的な部分と保守的な部分の二面性がある
ブランドには二面性があり、一方は革新的で創造性をアピールする必要があります。衣料品やクツ、バッグ、化粧品といったファッション分野では特に必要です。
また古い慣習を引きずる業界で自社の存在をアピールしたい場合は、旧来の習慣や仕組みを打ち破る姿勢が、顧客の関心を呼び注目されることにつながります。
しかしその一方で、企業として「これだけは絶対に守る」「この製法は伝統的な方法を続ける」といった保守的な面も必要です。
AOCのように厳しい基準があるから、顧客はフランスの農業製品を安心して選ぶことができることを参考に、自社の製造基準をつくり、それを公表しておくことも、顧客から評価されることにつながります。
食品メーカーなら「保存料・着色料を使用しない」、住宅メーカーなら「引渡し前に、社外の診断士に耐震性など建築物の構造上に問題がないというお墨付きを出す」、小売店なら「顧客が満足しない場合には、返品・交換に応じる」など、その企業の姿勢を提示することで、企業への評価が高まります。
こうした対応は、他社がしているから追随するのではなく、「他社がしていない」「他社にできない」時こそ、その力を発揮します。自分が顧客の立場に立てば、企業に顧客はどうされたいのかは、経営者にも容易にわかると思います。
経営者の価値作り・・・ブランド価値を高める経営者は、自社にしかできない約束事を決め、それを公約にする。「いい買い物をしたい顧客」なら、安さだけを求めたりはしない。