社長のための “価値づくり”100話 94

魅力的なブランドは、顧客の心に残る



●文字を読みたくさせる

 
多余程の活字好きならともかく、一般に顧客は文字による文章を読もうとはしません。読む必要があっても、読まない人がいるほどです。毎日山のように届く企業のDMを見ても、思わず読んでしまうものはほとんどありません。

 また企業が制作しているリーフレットやパンフレット類、あるいはポスターを見ても同様です。配布方法を検討せず、昔から制作しているという理由だけで、活用されない印刷物をつくり続ける企業があるのはもったいないと思います。

 もし印刷物をつくるのなら、読み手が引き込まれる内容にしない限り、その効果は期待できません。ブランド力がある企業はこの点を吟味し、必要とする人にだけに配布する仕組みや、読ませる情報力があります。
企業が発信する文字情報を顧客に読んでもらう最良の方法とは、顧客にとって読む価値がある情報にすることです。

 「知って良かった」「なるほどね〜」「そんな苦労をして、商品を作っているんだ」「いい話だね〜」「他の人にも自慢できるな」といった印象を、顧客に残すことです。ブランド力の高い企業には、「伝説」や「神話」があります。こうした内容の大部分は、顧客と共に生まれた物語です。企業の自己都合や、勝手な思い込みとは違います。


● 意外に活用されていないブランド価値の向上策

 ブランドをアピールする際、文字や映像は誰でも想起するのですが、それ以外にも他社が活用していないブランド価値づくりとそのアピール方法があります。

 女性たちに人気のあるシャネル、カルバン・クライン、ブルガリ、G・アルマーニ、クリスチャン・ディオールなどには共通するアイテムが存在します。それは香水やオード・トワレという香りの商品です。ファッションブランドの付加価値を高め、また誰にも手が出しやすい香りという商品によって、人間の嗅覚からブランド価値をアピールしているわけです。

 これはファッションに限りません。スターバックス・コーヒーの前を通ると、芳しい香りが漂ってきます。また青山フラワー・マーケットも同様に、花の香りが女性の購入を刺激し、嗅覚と視覚を上手く活用しています。

 また視覚と好奇心をくすぐる方法もあります。クリスピー・クリーム・ドーナツでは、目の前でドーナツをつくる工程を顧客に見せ、購入するために並んで待つ顧客のためには、売り物のドーナツをサンプルとして提供し、視覚と味覚の両面で顧客に自社の価値をアピールしています。築地銀だこを始め、顧客の目の前で調理する姿を見せるのは、よくある方法です。

 また聴覚を活用する方法もあります。インテル、J−WAVE、SONYといった企業は、サウンド・ロゴという方法で、自社名をアピールしています。どの企業のサウンド・ロゴもすぐに想起できると思います。

 ブランドとは、顧客の心に刻み込まれる好ましいイメージの数と量で、その価値が向上します。あなたの企業だけができる顧客の五感に訴える方法を、是非検討し、導入してみてください。



経営者の価値作り・・・ブランド価値を高める経営者は、自社の価値を人間の五感を使ってアピールする方法を知っている。




酒井光雄




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