社長のための “価値づくり”100話 92

人々に関心の薄い業界の方が、ブランドをつくれる



●キッザニアというテーマパーク

 
キッザニアとは1999年にメキシコで誕生した仕事をテーマにしたテーマパークで、子供たちが好きな仕事にチャレンジし、遊びながら社会の仕組みを知ることができる場所です。日本では、ららぽーと豊洲に誕生しました。

 キッザニアのアクティビティは、4歳から12歳までを対象にしており、参加できるのは子供だけです。
 混雑を避けるため1部と2部の完全入れ替え制を取り、誘拐などの防犯対策上から入場時のグループ全員が揃っていないと、退場することはできない仕組みにしています。

 仕事のパビリオンとしては、飛行機(航空会社)、食品開発センター(食品メーカー)、火災現場(消防)、カーディーラー(自動車・カー用品)、銀行、病院など45のパビリオンに企業が協賛し、レストランなどのショップが併設されています。
 平日にもかかわらず、私が訪れた時にも大勢の母親と子供たちが列をなしていました。


● 仕事を面白くするのが、企業のブランド力

 大人たちと違い、子供たちが関心を持つ仕事は、実際の業務では地味に見えるパビリオンです。ここで気付いたことがあります。
 大手企業によりその業界のイメージが形成されているところと違い、多くの人が詳しく知らない業界や関心の薄い業界でなら、企業のブランド力は高め易いという点です。

 例えばオフィスビルの清掃やメンテナンスを行う業界、大工さんが活躍する工務店業界、セメント業界、バイク便業界などは、人々に馴染みがあるのですが、業界に対する関心はあまり高くありません。
 こうした業界にあって、独自の価値を生み出し、広く社会に知られるように工夫すれば、恐らく業界でNO.1の評価を獲得することができます。

 競合他社がブランドとは縁がないと思い込んでいる業界ほど、ブランド力を発揮することが可能です。かつて喫茶店という業態では、ブランドどころか人材採用にも困る時代がありました。
 ところがスターバックスなら働きたい若者は大勢います。TOTOやINAXと聞いて、便器をつくっている企業だと想起する人は少なくなりました。下着の業界で、ワコールは世界にその名が知られています。

 業界のしきたりや商慣習、既存のビジネスモデルや商品開発、そして販路まで、従来通りの方法では、生活者は関心を持ってはくれません。

しかし

○ここまで顧客のことを考えて、仕事をするのか!

○子供たちのためにこんな催しをするんだ!

○シャレてるね!

○よそとは社員の質が違うね!

○品質を守るために、そこまでするんだ!

といった視点で、既存事業を見直せ、必ずブランドの力はついていきます。


経営者の価値作り・・・生活者に関心が薄い業界ほど、企業はブランド価値を向上させることができる。経営者とは、固定観念を打破できる人のことだ。




酒井光雄




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