社長のための “価値づくり”100話 83

もう一人の大切な顧客



●取り残された顧客

 
世の中の企業は、これまでどこも同じ顧客を追いかけて来ました。それは女性です。デパートなら25歳から35歳を中心にした働く女性ですし、量販店やスーパーは主婦、外食産業やホテルも女性顧客にはレディースプランという優遇制度や優待料金を用意しています。

 消費財の世界では、女性が商品を購入する率が高く、男性が買い物をする機会は限られているので、女性を顧客にするのが当たり前になっていました。また女性が増えると男性顧客も増えるという論理で、女性を厚遇するという背景もあります。

 しかし安定して売上げを伸ばし、成長している企業の中には、「顧客は女性だ」という世間の常識を間に受けない企業があります。典型的な企業はホビー業界であり、街なら秋葉原です。そう、男性顧客を相手にしている企業や街です。


● 皮膚感覚を持ったビジネス展開

 男性を相手にビジネスする業界として、クルマ(自動車の販売から、カー用品まで)や高額時計、ファッション、ゴルフなどがありましたが、今後有望な顧客として一部の企業から男性が注目され始めました。

 趣味の世界に限らず、男性に人気が出ているカテゴリーには、鉄道模型や高級自転車、料理(食べることと作ること)、音楽(聞くことと演奏すること)、旅行、蕎麦(特に蕎麦を打つこと)やワインなど、男性の関心領域が拡大しています。男性は女性と違い、一度気に入ると永く愛用してくれ、ブランドスイッチしない傾向がある上に、好きになると大金を注ぎ込む傾向があります。

 モノ消費に走る男性は、同じ嗜好の仲間と出会えるコミュニティを求めています。女性には理解してもらえない、男性特有の世界があるからです。また妻や恋人がいる男性なら、外食やレジャーなどのコト消費が旺盛ですが、金銭を支払う男性を優遇する企業はとても限られています。

 女性を顧客にする企業がブランド力を持とうとしても、競合企業が多いので大変ですが、男性市場ならまだ大きな可能性があります。ヒトと同じ発想では、ブランドはつくれず、またその力も強くなりません。

 ヒトが考えない市場と顧客を考えてこそ、ブランドを創造する楽しみがあり、リターンも大きいと思います。またどうしてもその気持ちが理解できない女性を追いかけるより、経営者自身の中に答えがある男性市場の方が、皮膚感覚が発揮でき、また決断力も容易なのではないでしょうか?



経営者の価値作り・・・有能な経営者は、他社が相手にしない顧客を大切にして自社のブランド力を強化する。


酒井光雄




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