社長のための “価値づくり”100話 77

企業の顧客を見れば、全てがわかる


●ビートルズ、E・クラプトン、マイケル・ジャクソン

 1963年、北大路魯山人が作った「星が丘茶寮」の跡地に開業したホテルが、今年の11月30日に営業を終了し、2010年にホテル、オフィス、住居からなる複合ビルに生まれ変わります。

 このホテルは東急電鉄の当時の会長だった五島慶太氏が、世界の一流ホテルから経営を学んでこそ、日本のホテル産業の進歩があるとして契約を結び、日本初の外資系ホテルとして登場しました。

 顧客の目の前で、炎のショーを演出して提供するデザート「クレープシュゼット」やエスニック料理などという言葉がまだない頃からコーヒーショップで名物メニューとなった「ナシゴレン」など、ここにしかないメニューやサービスが存在していました。

 また客室から専用エレベーターで利用できる屋外プールが併設され、プールサイドではパーティーも開催できました。

1966年にビートルズが来日した折に利用したほか、E・クラプトンやマイケル・ジャクソンといった著名人が宿泊したことでも知られています。

 そのホテルの名は、東京ヒルトンホテル、契約終了後の名前はキャピタル東急ホテルです。


●企業のブランド価値の半分は顧客が作る

このホテルの場合は、日本で初めての米国系ホテルのオペレーションだったことから、欧米人が利用した面もあります。当時のヒルトンの評価は高かったからです。

 他業界に目を転じるとどうでしょうか? ファッションや化粧品、老舗の食品、ワイン、お酒、家具、自動車などには、必ず著名人や文化人のファンがいることに気付きます。こうした顧客が生まれるのは、偶然ではありません。意図してそうした顧客を作ろうと、努力しているのです。

 例えば新作や新製品の発表会を開催して彼らを招待し、あるいは商品をご自宅にお届けして商品をモニターしてもらうなどといった地道な活動をしています。大勢の方々に招待状を送っても、当初参加するのはごく一部の人に限られます。多忙な人たちですから当然です。ですが訪れる際には、彼らは一人では来ませんから、お友達のリストが入手でき、次第にセレブリティのリストが溜まっていきます。

 こうした地道な活動を行うのが、PR担当と呼ばれる部門の人たちです。広告と違い広報活動は経費が少なくて済む代わりに、知恵の勝負です。

あなたの企業を代表するお客様は誰ですか?

 その時、どんな顧客のお名前が言えるかで、御社の企業価値が形成されていく面もあるのです。


経営者の価値作り・・・企業価値の50%は、各界で活躍している名の知れた顧客が作ってくれる

酒井光雄




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