社長のための “価値づくり”100話 74

自転車操業になる理由


●目先に追われ、先手が打てない

 私たちの仕事であるコンサルティング会社は典型的な労働集約型で、仕事量も平準化しません。忙しい時には仕事をこなせなくなるチャンスロスが起こり、端境期だと手が余る事態も起こります。俗人的であるため、プレーイングマネージャーになりがちで、ともすれば目先の仕事に追われます。

 企業規模が小さい企業は経費を節約するため、経営者自らが第一線の現場に出て働きます。設立当初はこれでもいいのですが、仕事が軌道に乗ると新たな問題が生まれます。プレーイングマネージャーですから、経営者がいないと仕事が進まず、いつまで経っても多忙を極め、明日の布石が打てないことです。また休暇もろくに取れず、体調を崩す事態も起こります。


●短期・中期・長期と経営の打ち手を考える     

 短期的な打ち手の代表的な施策が、人的な営業活動です。仕事を受注するために営業マンが戸別訪問するなどが典型例です。ところがこの営業活動を効率よく行うには、企業の知名度やブランド力が欠かせません。ここに中期的な打ち手が必要になってきます。

 また人的営業には優秀な人材が必要ですが、ここにもやはり企業の知名度やブランド力といった中期的打ち手に加え、経営理念や経営ビジョンという長期的打ち手が必要になることに気付くはずです。

 さらに場当たり的に事業を進めるのでなく、将来を見据えた研究開発や設備投資を行うには、中長期の事業計画が必要になります。

 こうしてみると、短期的な問題点は中期的視点から経営を見ていないことにあり、また中期的課題は、長期的経営視点が不足して起こることが理解できると思います。


●経営者と管理職、そして社員が行う仕事

 もうお分かりだと思いますが、経営者は長期的視野に立った仕事、管理職は中期的視野に立脚した仕事、そして社員は短期的視野の仕事を遂行するのが役割分担といえます。

 現在あなたの仕事は、どの視点に立って遂行しているでしょうか?

 また現在の課題は、本当に短期的な課題に起因しているでしょうか?

 多忙で時間が足りない経営者ほど、短期的問題解決に振り回され、中期から長期に掛けて取り組むべき課題をなおざりにしていないか。どうか今一度、振り返って欲しいと思います。


 経営者の価値作り・・・目先の問題だと思っていることの中には、中長期的課題に取り組んでいないから生じている事態ではないかと振り返ってみて欲しい。そこに経営者としての打ち手が見えてくるはずだ。

酒井光雄




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