社長のための “価値づくり”100話 68

集客できる仕事

●世界最大の産業

 従事する人口が2億4千万人といわれる世界で最大の産業は、観光業です。かつて名所旧跡といわれる観光地では、飲食店も土産物屋もこれといった努力をしなくても商売が成立していました。また移動手段が公共交通機関やバスを利用し、個人より団体で動く形態は、観光業には旨みがあったわけです。

 熱海や伊豆の修善寺に代表される関東近県の観光地を見ると、ここ15年ほどで様変わりし、旅行代理店に依存した旅館や観光ホテルは完全に淘汰されてしまいました。観光地そのものも様変わりし、地域として魅力がなければ集客できない構造になっています。

 その一方、大規模な商業施設が成功しているかといえばこれも微妙で、六本木ヒルズやお台場のビーナスフォートでは、開業一年目では大量動員が可能なのですが、その後物販では苦戦しています。物見遊山の観光客が幾ら沢山訪れても、お金を落としてはくれないからです。高額なテナント料と歩合制で出店した企業には、大きな負担になります。

 15年という長い景気の後退と構造変化で、生活者は知恵を使い、お金を遣わなくても時間を楽しむ方法を身に付け始めました。お花見や花火大会などには相当数の人が押し寄せますが、ここでもかつてのように無駄なお金は使わず、楽しむ術を持っています。


●本当

 ビジネスには二つの形態があります。顧客を座して待つスタイル、もう一方は顧客を集めてビジネスする形態です。前者は景気の動向や地域の魅力に動員数や売上げが大きく左右され、自力では対応できないように見えます。後者は知恵を使い、顧客が集まる仕組みと商品・サービスを開発し、ネットを用いた販路や顧客作りを自社の仕組みに上手に取り入れ、成功している企業も数多くあります。

 観光地に限らず、小売業は自社で顧客を集客できるノウハウを作らないと経営は成り立ちません。必需品を品揃えするなら商圏は狭くなり、こだわり消費やお土産など付加価値を求める商品なら商圏は広くなります。もう一度自社の品揃えから提供しているサービス、自社で集客できる仕組みについて、考えてみてください。座して顧客を待てるビジネスとは、企業のブランド力が強いところだけなのですから。


経営者の価値作り・・・集客できる企業には、他にはない工夫と知恵があります。郵送料を支払っても入手したい商品、遠方でも足を運ぶ価値のある店舗とサービスになっているかどうか、再点検してみて下さい。

酒井光雄




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