社長のための “価値づくり”100話 65

自分の存在意義に気付くとき

●ある夫婦の寝室

 「いびき」がうるさいからといって、夫婦の寝室を別にされた(!)友人がいます。

 彼ら夫婦には子供がいないので、当然の成り行きとして、犬を飼っています。彼はこの犬とベッドを共にしていて、夏は腕枕、冬は彼の股間で眠り、毎朝犬になめられて目覚めるそうです。

 私は「もし奥様がそうして朝起こしてくれたら、どう?」と尋ねると、「やっぱり、うるさいって怒るだろうな〜」と言っていました。この犬と散歩していると、犬好きそうな見知らぬマダムに出会うと必ず尻尾を振り、マダムに触られるのを愉しんでいるそうです。

 で、また私が「若い女性にはしないの?」と尋ねると、「えへへ、たまにはそうしたこともあるよ・・」とのことです。ちなみに彼の犬はメスです。

 最後に彼がポツリと呟きました。

 「やっぱり子供がいないと、寂しいね・・いいな〜酒井さんとこころは、息子さんが二人いて」。

 その言葉に、私は返す言葉が見つかりませんでした。


少子化に反比例する市場

 日本では少子化が進んでいますが、この人口動向に反比例する動きがあります。ペットの市場です。

 高齢化する中で、何故ヒトはペットを飼うのか? その生活者心理を理解すれば、新しい市場が見えてきます。子供がいる夫婦でも犬などを飼うヒトは多く、子供が巣立った高齢者世帯では特にこの傾向が見られます。

 猫マンマのような粗末な食事をペットに上げる人は減り、下手をすると夫よりも健康管理されたメニューで暮らす動物も増えています。ペットフードもおせち料理に始まり高額商品がデパートで売られ、ペット用の衣料や小物、動物病院から保険まで存在しています。

 人生のパートナーとして暮らす動物は、飼い主にとっては子供と同じなのでしょう。

 人は、誰かのために生きていると実感できる時に、自分の存在意義を見出すものだと思います。

 自分のことだけ考えて生きてきたら、ある年齢になったらどうしようもない寂しさに襲われる人は多い気がします。ポッカリと空いたヒトの心の隙間を満たしてくれるのは、動物だけではないはずです。



 経営者の価値作り・・・生活者の気持ちを理解できる経営者は、生活者の心の隙間を見つめ、それを満たせることを考える。


酒井光雄


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