社長のための “価値づくり”100話 62

リーダーが使う言葉

●講演していて気付くこと

 セミナーや講演をしていて気付くことがあります。酒井が直接お目に掛かるこうした場に参加される企業の経営者の皆さんは、全てといって良いほど自社の業績は好調です。

 マーケティングは守りではなく攻める経営手法なので、当然といえばそれまでですが、逆の見方もあります。業績が良いからこと対価を支払って知識やヒントを得て、さらに企業を成長させるのです。

 不況のせいにして、業績の悪さを嘆く経営者ほど、こうした研修やセミナーの場に出ることがほとんどありません。銀行や商工会議所などから講演の依頼を受けてお話することも多いのですが、不思議なことに参加費が無料の時には、参加する経営者の意識は低いのです。無料だから出席する人と、対価を支払って聞きに来る人では、知識やヒントの吸収量が決定的に違うのだと思います。



●リーダーが求めている言葉

 志が高く前向きに人生に取り組み、意欲的に仕事に取り組む経営者に、私がお話しする時、経営者の方々の目が輝くことが何度もあります。その内容とは、経営者が求めている心情であり、経営者への賛辞です。

 「私たち経営者は銀行に資金繰りに行くために、事業を起したわけではありません。お客様にお金を支払っていただいた上に、どうもありがとうと、言葉に出してもらえることこそ、私たち経営者の喜びではないでしょうか」

 「最愛の人に一番に使ってもらい、何より喜んでもらえる商品やサービスなら、どんな顧客をも感動させることができると思います。最愛の人とは、恋人であり妻であり、自分の子供です。この人たちに誇れる仕事を、しようじゃありませんか」

 「儲けることばかり考える経営者には、何故か利益はもとより人徳も増しません。ところが社会や人の役に立つ仕事をしようと考えて実践している経営者には、収益と共に本人社会的な評価まで受けています。社会や人の役に立つ仕事を、共にしようじゃありませんか」

 こうした言葉に、心ある経営者はうなずいてくれます。そして意を新たにしたように瞳に輝きが増します。

 人はどんなに他人からは成功して幸せそうに見えても、どこかに何か悩み事や苦しみ、あるいは悲しみをそっと抱いて生きています。大人にはこうした見えないものを見る目が備わるから、会話していて救われるのです。心が通じ合うから、琴線に響く会話がお互いにできるのだと思います。


●ブランドを作る言葉

 これを社員に置き換えてみると、やはり社員も経営者から発して欲しい言葉があります。「もっと売上げをあげろ」「死ぬ気で仕事をしろ」「何回言ったらわかるんだ」「馬鹿野郎」といわれて、あなたが社員ならどう思うでしょう。これで企業の価値は向上するでしょうか。

「お客様を感動させて、感動の涙に我々も浸ろう」

「自分の能力と持てる力を、まず誰よりも自分が信じよう」

「私たちの夢を実現するために、どうか皆さんの持てる力を発揮してください」

「最愛の妻と子供に、誇れる仕事を一緒にしようじゃないか」

 

 こうした言葉なら、経営者であるあなた自身にも元気がみなぎり、人にだけでなく自分自身にも言い聞かせていることに気付かれると思います。



経営者の価値作り・・・素晴らしい経営者とは、人に力を与える語彙を持ち、それを言葉にする。語りかけているのは、社員にだけではない。自分自身もその言葉の持つ意味と言葉の持つ力から、勇気をもらっている。ブランドとは、希望であり、勇気であり、あこがれだ。

 それを言葉に出す経営者こそ、ブランドを作り出せる力を持っている。

酒井光雄


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