●あえて制約をつくるブランド
SUVのカイエンだけは例外ですが、ポルシェが販売している車種は全てスポーツカーです。
2人乗りのスポーツカーを利用できるユーザーは、家族が2人か、セダンなど別のクルマをもう1台所有している人に限られます。
オーナーになるには制約があるので、ユーザーが限定されてしまいます。
また、ポルシェにはボクスターという入門モデル的な車種がありますが、これも500万円以上する価格で、誰にでも手が出せるメーカーではありません。
ポルシェの価値を守るために、導入モデルの価格設定も戦略的に行われていることがわかります。
もうひとつ、2輪車の分野で制約があるブランドがあります。ハーレーです。
このバイクは通勤や通学、バイク便やお蕎麦屋さんの出前用などに使われることはなく、ユーザーはレジャーで使用する人がほとんどです。
レジャーの時にしか使えないバイクとは、ある意味でとても贅沢です。
用途が限られていることをわかった上で、ユーザーはハーレーを選択しているわけです。
ここ10年以上国内の2輪車市場は縮小を続けていますが、その中で唯一ハーレーだけが、販売台数を増やしています。
制約があるにもかかわらず、ここまでファンを魅了する力を発揮するのはたいしたものです。
●弱みを、強みに変える
商品開発を進める場合、一般的には用途を広くし、また誰にでも使いやすいように考えるのが定石ですが、この2つのブランドに関しては常識の逆を行っています。
自分たちの強みを生かせる方法を考え、また自社のブランド力を向上させるために、あえてニッチな市場に絞込んだことがわかります。
もしこの2つの企業がフルラインで商品を品揃えしていたら、恐らく現在のような成功はなかったと思います。
何でも器用にできるけれど、特別に秀でている分野を持たない企業ではなく、「これしかできない」分野で圧倒的な強みを発揮する企業の方が、顧客には魅力的に見えるものです。
マクドナルドはハンバーガーを、ケンタッキー・フライドチキンはフライドチキンを極めたから現在があります。
しかし、ファミリーレストランには、ここでしか食べられない独自のメニューが 存在していません。
何でもあるけれど、魅了される一品がなければ、利用する頻度は低下します。一芸に秀でることは、ブランド経営でも欠かせない視点なのです。
経営者の価値作り・・・自社の資源を弱みと見るか、強みと見るかは、経営者の判断次第だ。競合他社や大企業と比較するのではなく、独自の路線を貫くことがブランドを創造する。