社長のための “価値づくり” 115

ブランドとネーミングは違う



●新商品に名前をつけるけれど・・

 
新しい商品を開発すれば、どの企業でも名前をつけます。
 新商品が売れないと、すぐに次の新商品を生み出し、名前をつけて市場に投入することを繰り返す企業がたくさんあります。
 商品とその名前を見ると、その企業がブランドとネーミングの違いを認識しているかどうかは、瞬時にわかります。

 「ナイシトール」「熱さまシート」のように語呂合わせのネーミングは、今でも多くの商品で行われています。この方法は、ネーミングの典型例です。
  “覚えやすさ”を主眼に置いて考えられたことは誰にもわかります。
 しかしそこにはいくつかの課題を内包しています。
 それは、

1.個別商品を販売するには良いのですが、商品カテゴリーとして強みを発揮したい場合に、個別商品のネーミングでは拡張性がないこと

2.語呂合わせのネーミングでは、商品品質や企業品質をアピールしにくいこと

3.その商品カテゴリーに別の商品を投入しようとすると、新たに別のネーミングが必要になり、生活者に名前を覚えてもらう手間がかかること

4.広告や販促を展開する際、個別商品名をアピールするので、個別にコストがかかること

5.企業のブランド力を発揮しにくいこと

 といった課題です。
 売れる商品をいかにたくさんつくるかだけを考えている企業には、この問題が永遠について回ります。


●企業に最適なブランド体系

 ヨーロッパの企業では、企業名を最大のブランド資源と捉え、事業展開する企業が数多くあります。フェラガモ、ルイ・ヴィトン、ポルシェ、BMW、メルセデス・ベンツなどが代表的です。
 これらの企業は、企業ブランド名をブランドの中核に位置づけ、個別商品名はその後にぶら下げるブランド体系です。

 この方法だと、顧客が覚えやすく、事業展開する領域で強みを発揮でき、その上事業を拡張する際にも応用が利きます。
 ここで面白いことに気付くのですが、欧米のブランド企業には創業者の名前を企業名に冠して、ブランド資源にしていることです。人の名前は固有名詞ですし、横文字のメリットが世界に通用します。

 では、日本の企業名はどうでしょうか。
 山田一郎商店では、何だか零細企業のように見えてしまいますし、漢字の企業名は英文表をする際に工夫が必要になります。

 企業名が企業ブランドとして活用できるかどうか。これも企業がブランド戦略を構築する際には、とても重要な要素になります。
 一時期、CI(コーポレート・アイデンティティ)に各社が取り組み、社名を変更する企業が数多く現れた時期がありました。

 既存事業を見直し、新たな事業領域に取り組むためのシナリオを考え、そのシナリオに相応しい企業名にしたわけです。CIの先には、企業ブランドの構築という視点もありました。
 松下電器がパナソニックに社名を変更した理由を、是非この機会に考えてみてください。

経営者の価値作り・・・ブランドとネーミングの違いを理解して事業を展開しないと、企業のブランド力は永遠に高まることはない。




酒井光雄




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