社長のための “価値づくり” 112

         顧客の期待値が低い市場の商品こそ、
       ブランド力を発揮できる



●期待値が低い商品

 
「そんなの安いのでいいじゃない」
 「どれでも同じよ」
 「こんなところでお金を使わないで節約しましょう」
 これは私たちの普段の会話によく出てくる言葉です。もしあなたの企業がつくっている商品に対して、お客さんからこんな言葉が出るようなら、間違いなく価格だけで選ばれてしまっているはずです。

 私たちがモノを買う時、必要性は高いのにできるだけお金を掛けたくない商品があります。
 生活必需品はその名の通り必ず需要がある市場ですが、ともすればどの企業の商品も違いがないように見えるため、価格だけが判断基準になるデメリットがあります(これをコモディティ商品と呼びます)。
 衣料品なら下着や靴下、食品なら塩や醤油、サラダ油や卵。住居関連なら洗剤や掃除用品など、消費財の多くがコモディティ化の影響を受けています。

 コモディティ化は消費財に限らず、最近では耐久消費財にもその流れが及んでいます。
 かつてクルマは、社会人になると男性なら必ず持ちたくなる商品でしたが、現在大都市に暮らす20代から30代の男性ではクルマの所有意欲が後退しています。
 国内の自動車市場が毎年減少しているのは、少子高齢化という理由だけでは説明がつきません。
 また洗濯機や冷蔵庫、エアコンや電子レンジなどの家電製品も、買い替えサイクルがあるものの価格志向が強まっています。


●スタイル商品になるための2つの視点

 
業界がコモディティ化しているからといって、諦める必要はありません。
 また顧客の期待値が低い業界の商品ほど、実は独自にブランド力を高めスタイル商品にすることが可能です。
 価値で選んでもらうには、2つの視点に基づいてマーケティングを行います。

 1つ目は、商品機能とデザイン(ファッション性)の高度化を同時に図ることです。
 商品機能を高めることと並行して、商品やパッケージなどのデザインを洗練させ、顧客にオシャレな商品だと認識してもらえばスタイル商品になります
 例えばワコールの下着です。ワコールの下着は単に実用性だけでなく、機能性とファッション性を兼ね備えているから、コモディティ商品にはなっていません。

 2つ目は、ユーザーイメージを高めることです。
 生活に追われている人を想起させる顧客イメージでは、価値は生まれません。広告や通販サイト、そしてチラシ(本当にスタイル商品になれば、チラシを使う必要はなくなります)に至るまで、価値を重視する顧客の商品だというイメージを創造します。
 一時は注目されたものの、現在では売上げを落としている通販会社と、スタイル化に成功したディノスやオットーのカタログと通販サイトを比較してみてください。
 同じ商品を買うなら、どちらが楽しく選べ、またセンスがいいか。その違いは、男性にもすぐにわかるはずです。

経営者の価値作り・・・価格でなく価値を売るスタイル企業は、商品機能の高度化に終わらず、デザイン性やファッション性も同時に高度化し、自社商品のユーザーイメージも高める工夫を行っている。




酒井光雄




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