社長のための資金調達・銀行対策の実務 70

 「劇的、財務改善

  

 企業の財務診断をしていると、大抵の企業では、いろいろな問題点と対策が出てくるものです。

 特に多くの中小企業の場合、依然として業績(売上)がよければそれでよいとした感がまだまだ根強く、何が起こるかわからない現状に併せ、様々な借入策でリスク分散をとる、金利を安する、助成金、補助金との組み合わせなど、様々な手で財務対策を取られておられないのが現状です。

 今回はその中でも、一番大変なケ−ス、借入金額が大きい、借入過多が続いている会社の財務改善をお話いたします。

 返済年数が30年以上かかるケ−スは、早急に特別な処理が必要ですが、実際、財務に問題を抱える企業の特徴をあげます。

●営業利益+減価償却費での有利子負債の返済は、現状で15年〜20年程度で債務が比較的重い。

● 短期借入金の割合が長期借入金より大きい。

●支払利息等の改善が必要

●短期借入金を返済し、また調達を行うという繰り返しがずっと続く為、実務的にも大変多忙。

●債務超過の企業の短期借入金は、いったん返済という金融庁の指導のため、一旦返すが、新たな金融機関への短期借入金を繰り返している。付き合い方は、短期借入のみである。

●結果、長・短借入金の合計は、毎年(毎期)あまり変化していない。

全てが当てはまるわけではないですが、大体こういったイメ−ジの会社です。

 私は、このような企業に対しては、長期の借入金のうち、本来の設備資金として調達している分は、分けて考えて下さいと言っております。

業種・業態により、どうしても多額の借入金による設備投資が必要のケ−スが多々あるからです。

そして残った運転資金をどうするかということを考るのです。

金利は、企業ごとのリスク(格付け)による金利取引にすっかり変わりましたので、業績が良好で、利益も十分確保されています企業を除き、金利交渉は、なかなか進みません。

どの程度の運転資金の長短バランスがとれれば、現状の資金繰りからは大きく改善されるのかを考えて下さい。

そして、企業格付けをどうすれば少しでも上げることが出来るのかを考えてください。

バランスの改善( その2 )

 実際にはどのような実務手続きにより、運転資金の借入金問題を解決しているのでしょうか?

裏ワザを含めてご紹介いたします。

最も利用されていますのは、平成15年2月から始まった保証協会付(いわゆる○保付)の既存借入金の借り換えや、一本化を可能とした「資金繰り円滑化借換保証の制度」の利用です。

この制度の利用は、この1年でどんどん増えており、新聞報道によると平成15年2月から平成16年3月末までの約14ヶ月で約40万件、約6兆円の実積ということです。

私からすれば、要注意先以下の債務者区分で金融機関取引のメイン行がしっかりしていれば、まずメイン行に相談のうえ進めるべきです。

ですから、相談に乗ってくれる取引金融機関があるか否かが、大きなポイントとなります。その利用の際には、追加的に新たな融資の債務保証も行われますので、これも併せて検討し利用することが大きなポイントです。

相談に、乗ってくれないメイン行であれば、新たな取引行を開拓すべきです。

さて、裏ワザ的に利用できるケ−スが増えてきていますのが、地元の金融機関「信用金庫」による企業支援取引事例としての取組です。

極端な話運転資金を、最長15年程度に引き直して下さるケ−スが増えてきています。

そのポイントは、

●有担保(特に不動産)を所有しており、1番の担保権を他行からの譲渡を含めて、その信用金庫へ移すことが可能。

●その企業の新しい技術や、新しいサ−ビス等今後期待出来る「新対応期待のビジネスモデル」があること

●事業計画書(事業発展計画書・事業改善計画書等)があること。今後の返済等の計画があること等です。

先般も大手行の1番根抵当権の極度額の全額を信用金庫へ譲渡していただきました。

大手行の課長が「信用金庫への譲渡はプライドが許さないが、15年もの運転資金を出すことは、プロパ−融資では当行では対応できないもの……」という言葉が印象的でした。

  

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