社長のための資金調達・銀行対策の実務 56

平成16年度・中小企業の資金調達の方法と銀行対策の実務

 恒例の今年の中小企業の資金調達の方法と銀行対策10のポイントを解説していきます。実際に、銀行で使われている中小企業の資金融資を判断する資料も公開して行きます。

その.4 中小企業での「MBO」について

 MBOという言葉を中小企業でも耳にする機会が急激に増えて参りました。一般的にマネジメント・バイ・アウト(MANAGEMENT BY OUT)は経営陣による企業の買取、買収という意味です。  

 日本国内では、大企業が事業の見直しのなか、収益性の悪い事業を切り離したり、事業の集中化(コア事業化)のため、最近は一般的に行われているものです。

 この手法で中小企業の場合も考えますと、大変おもしろいケ−スや、実質的に生き残る為にやむを得ないで使うケ−スなど、検討する機会が増えています。

 たとえMBOできても(MBOをするための資金調達も大変ですが……)MBO後も事業資金の調達に限らず、従来のブランド力や営業力、開発力が通用しなくなるケ−スも多く総じて新経営陣のリスクも大きく厳しくなります。地方の中堅・中小企業で、業種的に不況業種であったり、市場も小さくなる方向で小粒でも、長期的にはやり方次第では、化ける可能性がある場合の一つの選択肢にはなり得ます。

 従来の事業の譲渡(営業譲渡)とは別の考え方で検討することもおすすめします。

 現実的に私の体験からのポイントを述べます。

1.

特に地方での古い企業で債務者区分「要管理先」以下にランクされてしまっている企業で、地域金融機関の支援先企業としてノミネ−トされている企業での検討(現実性のある経営陣の入れかえによる格付け、債務者区分のアップ)

2.

 MBOの資金の調達に関して、ベンチャ−キャピタル会社からの調達がしゃすくなってきていること。取引銀行系列のベンチャ−キャピタル会社も含めて銀行も相談にのるケ−スが増えている。)

  

 3.

事業の切り離しによる中小企業の再生化策としての検討…等ですが、「地域経済の維持発展」を考えた場合の「起業モデル」の一つとなって前向きにとらえていきたいものです。

 その.5「5つの利益」の中で「営業利益」を最重要視

損益計算書(P/L、PROFIT&LOSS STATEMEENT)の利益は、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期利益」「当期利益」の5つがあります。

 もちろん「当期利益」が分配できます利益として株主などの出資者への源泉になりますし、最終の利益実力といえるのですが、中小企業の特に資金調達面から考えた場合、何がなんでも プラスにしてほしい利益があります。それが営業利益です。本来の商売からの、もうけを示す利益だからです。

 私が、「営業利益に的を絞り決算書を組む」ということを声を大にして言っておりますのも、営業利益が赤字(本業が赤字)ですと、一時期だけの特例な事情がある場合を除いて、特に金融機関等外部への説明に、労力と時間がかかってしまい、まいってしまう経営者が多いと言うことです。資金調達までの時間が6ヶ月以上かかってしまうケ−スもあります。「なぜ6ヶ月も?」ということですが、決算期の翌期の月次試算表の収支(営業収支)を精査しながらの審査となってしまうからです。

 また、「金融マニアル」の信用格付や債務者区分での使用数字としても良くもちいられるからです。

 一方で中小企業の多くは、「経営改善計画策定」企業にも該当します。その際、営業利益が右上がりか否かで、全てが変わってきてしまう可能性が多くあります。

 「営業活動キャッシュフロ−」等のキャッシュフロ−計算書の考え方からしても、その基礎となる営業利益を確保できなていないと、「営業キャッシュフロ−」がマイナスになることも十分考えられます。

(キャッシュフロ−計算書の利益数値は「税引前当期利益」を使用)

私の関与先でも安易に営業利益をマイナスにしてしまった為、結果的に次の決算期終了まで、様子ながめの「当該期間返済額内での融資額」に絞られた企業があり、ほとんどの取引金融機関が横並びとなってしまいました。

〔多くの場合、新規取引行での新ビジネスロ−ン型商品(無担保・保証協会なし)で救われています。〕

その.6「進む政府系金融機関」と地域金融機関との業務提携」

 いわゆる地域金融機関のリレ−ションバンキングの機能強化計画実施の一環として各地方銀行が中小企業金融公庫等の政府系金融機関と業務提携の覚書を結ぶケ−スが次々と行われています。

 中でも「当該中小企業に対する情報交換」をするということで、取引企業の代表者の承諾を取った上で中小公庫側が地方銀行の取引店を訪ねるというケ−スが増えています。

 従来でも、基本的に政府系金融機関は中長期資金の供給者であったため、短期資金や運転資金は主要の民間取引金融機関で調達という基本的な考え方があり、特にメイン銀行の取引行に対する「支援姿勢」等を照会・確認することは多々ありましたが、「リレ−ションバンキングの機能強化策」策定後の平成15年度下期から急活発化しています。

 とても良いことだとは思いますが、「情報は間違いなく一元化」の方向に進んでまいます。

 くれぐれも、中小企業の社長が取引の民間金融機関と政府金融機関とにお話ししている事の辻褄が合わなくなるようなことだけにはならないようにしてください。

 そういう意味からも事業計画書(事業改善計画書)の数値等の一元管理化をお願いいたします。

 なお、日本政策投資銀行は新たに信用金庫と提携・連携して「新株引受権付融資」等の新しいスキ−ムの新商品で、特に地域のベンチャ−型企業を支援したりすることもすでに行われるようになってきました。

次回は、その7〜中小企業には「減損会計」適用せずをお送りいたします。

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