社長のための資金調達・銀行対策の実務 55

平成16年度・中小企業の資金調達の方法と銀行対策の実務

 今回から3回連載にて恒例の今年の中小企業の資金調達の方法と銀行対策10のポイントを解説していきます。実際に、銀行で使われている中小企業の資金融資を判断する資料も公開して行きます。

その1.銀行からの経営実態調査について

 地域金融機関が「リレ-ションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」を平成15年8月金融庁に対して提出して以降、その進捗状況についてのチェックも含め、金融機関側からアンケ−トいう形での経営実態(現状)を再把握する方法が具体化しています。

 「金融機関と中小企業の認識を統一する効果」が最も重要な目的の一つですが「中小企業(自社)の強み・弱みの再点検と再認識の効果」にも、もちいられています。

 その内容について説明します。

  1.企業理念又は経営理念

  2.経営ビジョン、経営目標

※特に経営目標は、売上高・粗利益率・経常利益・減価償却費・自己資本      比率・従業員数・(顧客満足度)等

  3.環境分析(外部要因)

「当面のビジネスチャンスと問題点」と「2〜3年後のビジネスチャンスと問題点」 

  4.自社能力(強み)分析

 5.問題点(弱み)分析

 4でのA〜Hについての各々の分析 

 「中期経営改善計画シ−ト」として地域金融機関が現に使用している、診断シ−トの現物(PDFファイル)を 開示しますので活用してみて下さい。

 ※PDFファイルを見るにはAcrobatReader(現AdobeReader)が必要です。   お持ちでない方は、こちらでダウンロード(無料)   

   

 
その2.事業(発展)計画書や事業改善計画書について

  2〜3年前より私は、「右手に決算書(実績)」と「左手には事業計画書(近未来)」ということを何回もお話ししております。

 これからの中小企業金融を考えた場合、不動産担保偏重からの脱却という差し迫った問題があり、新しい貸付商品や新しい公的制度も充実されつつあります。

 この場合の基本的な考え方は、「決算書」と「計画」のセットということが特徴でもあります。

 決算書は、借入を上手に行なおうととするならば決算書を上手に組むことです。(詳細は別な回にご案内します)また、必ず事業(発展)計画書があることが、これからの条件にもなります。

 特に業績が伸び悩んだり、一時的に数値が落ち込むような場合、また、自社が「要注意先」以下の債務者区分であります中小企業は、事業改善計画書は必須となります。

 ところが、中小企業経営者の多くが最も「イヤ」がり「不得手」とするのもこの事業改善計画書であります。

 その根本原因をつきつめていきますと、結局「今後の市場や自社の近未来が掴めない」という姿にぶっかります。

 本当に業種や地域によって、中小企業の現場は大変厳しい状態がずっと続いております。

 何時になったら売上減少が止まるか、またその先はどうなるのか、事業のモデルの柱はどうなっていくのか、収支見込みはどうか……

経営者がイメ−ジできるか、明瞭に描けるかが最大のポイントです。 私が申し上げます、頭の整理方法としていつも次のような順序で説明しますと、分かっていただけるケ−スも多いのです。

 第一段階として、「自社のこれまでの歩み」を整理してみる。(「文字」や「表」にしてみる。)※特に大きな事業は落とさないように (工場新設、新商品、営業展開、別法人……)

 第二段階として「今後の事業展開を考える」(大まかに描く)

 第三段階として「補足的に分野項目ごとに掘り下げてみる。」

 第四段階として「数値に置き換えてみる」

積み上げ方式(分野別、商品別等)にしてみるとよく分かります。(組織図に人員を入れたり、現実的に見直してください。)

 ※なお、5期間(5年間)の過去の実績として売上高……をグラフ化し、特記としてメモを入れておくと過去の状況が一目で分かります。(金融機関側にも説明しやすい添付資料となります。)

その3.ペイオフ完全解禁と与信取引の見直し


 金融庁は平成17年4月のペイオフ全面解禁までに「金融システムの安定・強化を図るため」特に地域金融機関の合併促進を今年は集中的に行うことになります。

 金融機関組織再編成得別措置法は

 1.健全行と不健全行の合併

 2.営業の一部譲渡

 3.地域金融機関の大銀行(主要行)との合併

 4.単体の金融機関

 等、幅広く利用できる公的システムとなっていることから、「足利銀行」の次が形を変えて起こることは、十分予測できます。

 貴社(自社)の取引行がどのような内容であるかは、地方にいても週刊誌のレベルでもあれやこれや記載されますので、色々と耳に入っていることと思います。

 また、日銀も平成17年4月の全面解禁を再度引き延ばす考えもなく、中小企業側は完全解禁されるものと解すべきです。

 さて、足利銀行、りそな銀行事件の時に、常に原因として登場して来ましたのが「繰延税金資産」です。これを計上すると、自己資本のうち利益剰余金を底上げできることから流行っていますが、今では「利益底上げ」という市場の厳しい目にさらされている状態です。

 自己資本に占める構成比率が50%以上の地域金融機関は、要注意でしょう。そして金融庁より「業務改善」の指導を受けている地域金融機関との取引は、本年6月ぐらいを目途に今一度見直すこともお勧めします。

 見直しポイント (特に与信取引)

 、5,000万円までの運転資金(期間は中期)は、他金融機関(都市銀行があれば、都銀のビジネスロ−ン、勿論無担保)を活用すること。

 、公的制度等を利用すること

 最も利用しやすいのは「資金繰円滑化借換保証制度」の利用による。極力セ−フティネット保証を利用して長期(10年以内)に切り換え返済負担を軽くしておくこと。

 、政府系金融機関の直接貸付の内「特別貸付制度」(特殊貸付制度)の新しいものを利用すること。

(長期資金=政府系金融機関の利用)

 ニ、地域の他業態の内、不安の少ない取引銀行との取引は、早めに開始しておくこと。

 次回は、その4からその6までを公開いたします。

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