社長のための銀行対策の実務 273号

借入金と資金繰り・最近の事例 3
〜優良会社の借入過多と資金使途

 今回は信じがたいかもしれませんが、多発している事例ですので、参考にして下さい。

 中小企業の貸付に対しては、二極分化が進んだことは、このコーナーでも何回もお話しさせていただいているところです。

 「実績の良い法人への短期(1年以内)の貸付は1%台の低金利、無担保で3〜5億円程度まで出すのがメガバンクの共通点です。それをみて地方銀行も1億円ぐらいは、追随して貸付実行します。資金使途も運転資金で、あまりとやかく言いません。」

 言い方を変えますと、この方法で10億円ぐらいは、企業の規模にもよりますが、簡単に1〜2回くらいは借り入れられます。問題は資金使途です。本業の事業資金に向けられるものであれば、後になってあまり問題になることもないのですが、必ず問題となるケースが多発していますので注意して下さい。

 もちろん、期日までに返済できれば問題化しませんが、このところの経済状況の激変でそうならないケースが増加しています。

 問題となったケースです。

 1.取引先を助けるために、ほとんどの資金を取引先に貸し付けたが、返済され
   ない。
 2.仮払金として出金しているが、社長が何に使用したか不明。
 3.あまりに余資があったので、運用する意味で有価証券を大量に取得したが、
   銘柄を集中しすぎて失敗、大きく値が下がった。
 4.関連会社貸付としたが、最終的には、どこへ資金が回ったかは社長しか知ら
   ない。
 5.海外へ送金されている。

 以上のような実例がございます。レアケースと思われるかもしれませんが、正常先、優良中小企業でよく起こるケースです。

 返済が期日にできないと、大変な騒ぎになります。幸い、収益力のある企業であるため、中長期での返済は可能ですが、取引金融機関は急に態度を硬化します。

 やはり、借入総額の目途は必要です。昔から短期借入金も含めて、総借入額は売上総額まで……と申します。

 いろいろと取引金融機関との駆け引きがあることは十分理解いたしますが、少なくとも決算月末には、適正借入額に着地できることを確認して下さい。 

                            資金コンサルタント 大久保直之


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