社長のための銀行対策の実務 272号

借入金と資金繰り・最近の事例 2
〜売上減少

 全国を歩いていますと、特に日本海側の地方都市・業種では、建設・土木関係での厳しさを直に感じます。

 どのような業種でも、売上が減れば資金繰りが悪化するのは必然なことです。特に現金商売の業種では、売上が減れば支払資金に不足を生じ、即、資金繰りが悪化します。

 土木関係を営んでいるB社の例です。公共事業の請負を業としているB社は、「公共事業投資の毎年の減少化」「地方経済の悪化による受注減」……とにかく厳しい経営環境下、どちらかというと事業の縮小均衡化で乗り切ってきましたが、有利子負債(借入金)額も膨れて大変重い状況が続いています。

 国の対策として、「不況業種指定」による支援策が出ていますが、最も利用されている施策は「緊急貸付制度(一部補給)」です。

 しかしながら、この業種はここ数年間ずっと厳しい状況下にあります。特に地方経済と共に歩んでいるような業種のため、金融機関もその対応には苦慮しているケースも多々見受けられます。

 有利子負債である借入金を新たに増加させるだけでは、苦しくなるばかりです。
 やはり、受注売上増が見込めませんと返済原資が出て参りません。実は金融機関、とりわけ地域金融機関は、一方で、地域の中小企業という観点から与信取引先の再生支援の協力も行っています。

 ですから、「経営改善計画書」に基づいて、今後の経営を見通せるのであれば、メイン取引行を中心に支援協力は得られる可能性は高いものが見込めます。

 先般、北陸地方のある地銀の支店長が話された言葉が印象的でした。
 「われわれ金融機関も、地域の取引先中小企業に対しては、できるだけの支援をして協力している。ずっと経営環境が厳しい状況が続いているので、なかなか改善の抜本策が見つからない。メイン行である当行としても、できるだけB社を支えていこうとしているが、どうか、現在取引している他の与信行も、足並みをそろえて、一団となってB社への支援を続けてほしい……」

 苦しい状況下、与信取引行の数を減らさない説明・支援継続の努力も、厳しい業種には必要です。

                            資金コンサルタント 大久保直之


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