社長のための銀行対策の実務 207号

資金調達力格差始まる
〜銀行の合併等による支障〜

 昨年の新規取引行との貸出申込手続き等でネックになりました例で、意外に多かったのが「合併や統合による、一方の取引金融機関との過去の取引経緯等でのトラブルや取引解消にからむもの」です。

 A社はU銀行と融資取引をしていましたが、例の貸し渋りの時代に、U銀行とのトラブルで結局は何回かに分割の上、借入金は返済していました(借入残高は0)。A社の社長はU銀行を正直嫌っておりましたが、今般U銀行と合併したM銀行が融資をさせてほしいと来社されました。

 担当者の対応も良く、条件も整っていましたので、A社の社長は合併MU銀行に正式に借入申込をしました。

 このあとA社社長が予想もしていなかったことが起こりました。4日ほどたってMU銀行の担当と上司がA社を訪れて、「当行では貴社との過去の取引上における課題(問題)があり、現状では融資実行できません。申し訳ありませんがお預かりの書類等を一切ご返却させて下さい……」

というものでした。A社の社長は、U銀行取引時代にトラブルはあったにせよ、借入金は完済して、利息も全部支払って、取引は完了しているのに、何でまだそのことが尾を引くのかが納得いかないままの状態です。

 A社長は、驚いて相談に見えられて、幸い4000万円程度の借入申込でありましたので、別のメガバンクへ借入申込をし、時間はかかりましたが、無事、中期資金を借り入れできました。

 金融機関の統廃合に伴い、いずれかの取引金融機関に与信取引があって、トラブルがあったケースは、きちんと数年間はその内容等がチェックされる機能や、データが残っていると思って下さい。駄目もとでチャレンジしてみることも、ケースバイケースで必要とは存じますが、説明するまでもなく断られているケースが多いのも現実です。
 そして、「貸し渋り」時代に端を発している事柄が最も多いようです。

 当面は、そのようなケースでは縁がなかったと考えて、異なる取引行を選択したほうが、実務上は早いものですが……

                            資金コンサルタント 大久保直之


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