社長のための銀行対策の実務 159号

「描いてください、今後の金融機関との取引構想
〜地域金融機関の統合と金融庁検査〜

 メガバンクの統廃合の完了、政府系金融機関の統合の見通しの決定も終え、金融機関の統合は一段落したと思われる中小企業の経営者の方も多いと思います。
 しかし実は、なお一段の統廃合が未だ残っておりますのが「地域金融機関」(地方銀行・第二地方銀行・信用金庫・信用組合等)であります。

 最近は、特に一地域や一地区に限らない広域での統合が行われるケースが多くなりましたし、隣接地域での金融機関の統合も増加しています。あと1〜2年は地域金融機関の統廃合は行われるものと解せます。

 さて、最近特に地方での中小企業の経営者からの相談の多かった事例を紹介してみましょう。

 A社は、地方銀行をメイン取引として、長い間さまざまな相談もしながら、与信取引も行っておりました。最近の3年間(3期)は、なんとか営業利益・経常利益も確保していますが、売上は減少している食品関係の業種です。

 このA社の金融機関に金融庁の検査が入りましたところ、検査期間が長引きました。また臨店検査もあったそうです。
 A社は数億円の借入がありましたが、短期借入金を借りては返済する方法で、この数年同じ方法を繰り返していました。
 例年の対応として、このA社の社長は短期借入金5000万円の申し込みを行いましたが、結局、この金融機関から今回の資金借入調達はできませんでした。
 「業況が良好で財務内容も特段の問題がない」のであれば、こういう結果にはなりませんでしたが…。(A社の場合「経営改善計画の状況」と「正常な運転資金」に問題ありとして、時間がかかっています。)

 さて、このA社は、例年通りの同じ原材料仕入資金であったので、まさか融資が出ないとは全くもって思わなかったそうです。

 一般論ですが、金融機関に監督庁の検査等が入りますと、その対応に追われることは事実です。特に地域金融機関への検査が入り、長期間に亘りますと、一時期融資取り組みが遅れたり、取り組みそのものの見直し等へ発展していく可能性があります。

 このケースでは、他の地域金融機関とも与信取引が永年あり、仕入資金であったため何とか今回は他行借入により乗り切りましたが、中期的な資金・財務改善対策が必要です。

 実務上は地域金融機関とも複数行与信取引をしておくことの重要性を改めて感じたケースでした。

資金コンサルタント 大久保直之


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