社長のための銀行対策の実務 150号

「銀行に理解してもらえた新事業への説明 1」

 金融機関に新事業としての取り組みとして、多額な設備投資資金やそれらに伴う運転資金の調達をお願いする際、当然、「事業発展計画書」(「経営計画書」) の提出を求められることは必須です。

 今回からは、その数字(「利益計画書」等) はさておき、基本的ないわゆる「新しいビジネスモデル」・「新事業モデル」の説明と、理解してもらい易かったケ− スを取り上げてみます。

 中小企業の場合、現在行っている事業と全く別な業種の新事業を行う場合は、別会社で行った方がリスクも小さくて済むケースが多いため、別法人等での取り組みを進めるケースが多いのが現実です。しかしながら最も多いのは「いわゆる本業」との関連性のある新事業取り組みが多いのが現実です。

 金融機関は、融資先(与信先) の中小企業の売上げや利益に対しては大変興味をもってみています。余談ですが、あるメガバンクは、中堅製薬会社の一番の売れ筋のAという商品だけの出荷や在庫状況・販売額を毎日専任の担当者をつけてみている(分析している)というケ− スもある程です。

 ですから本業に関連する事業として、事業(製造やサービス) を改良・改善するいうだけでも大きな新事業として十分成り立つものです。

 金融機関は、いわゆる本業で高収益があげられている事業の改善や改良には、とても早く理解していただけるものです。

 メガバンクに限らず地域金融機関における本部・審査部の審査も細かい質問はでるものの、結局は稟議決裁されるものです。

 長野県の金属加工メーカーS社は、いわゆる上場会社からの下請けとOEMだけで今日に至ってきました。今般その製品力・技術力等が認められて、全く取引のなかった大手上場会社からの発注の打診を受けました。

 現在の工場のキャパシティや機械装置の能力からは、なかなか受注できません。S社の社長は、大手企業の下請けではあるが「大手企業との複数化取引の推進と機械装置の高度化」と題して、工場増設を含む事業拡大で金融機関と協議しました。金融機関は、新しく取引される上場企業との取引成立の確度が中心の話で、S社の希望通りの調達が可能となりました。

 ビジネスのモデルそのものは、そうたいして変化しておりません。(「下請け」・「OEM」のみという意味では) 取引先の多様化と機械新装置によるサービス力アップにより、順調に経営されています。

資金コンサルタント 大久保直之


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