社長のための銀行対策の実務 138号

「資金調達力」の回復

 

 今回からは、資金調達力を回復させ、一転して資金難から借りてくれアプロ−チがすごくなったという中小企業の成功例をいくつかご紹介していきます。

 私の指導先の鉄骨加工等を主力としている千葉県T社は、4〜5年前までは収益が低迷し、借入金比率もかなり高く、本当に資金繰りに窮している状態でした。

 このT社の地域ですが、地元金融機関、大手メガバンク含めた金融機関の数は比較的多い地域です。ですが、T社自体の格付けが、「要注意先」だったこともあり、どこの金融機関も融資に対しては積極的ではないといった対応でした。

 当時の格付けは、10段階格付の7段階ギリギリの所だったと振り返ります。

 そこで、私のところへ相談に見えたころから経営改革に取りかかり、借入金も徐々に減って参りました。ようやく2年前から、本業の売上と収益力が回復してきたのです。

 予断ですが中小企業の経営改革の特徴は、社長が本気で取り組めば2年程で成果が出るようです。逆に言えば、2年で成果を出す改革をしなければなりません。

 このT社ですが、外部環境要因の変化にも助けられ、収益力回復、特に本業の営業利益が回復したのを契機に古くなっていた設備を一新する目的で借入を申し入れました。

 ところが、メイン取引の地方銀行は、相変わらず、慎重姿勢をくずさず、保証協会付での融資止まり。設備の改善・改良すら出来ない額でした。

 そんな時、千葉市から大手メガバンクの法人担当者が訪ねてきました。「最近の業況をお聞かせ願えれば… 」というお話からでした。このメガバンクとは、普通預金程度のお取引しかなく、全く与信取引はありませんでした。

 メガバンクの担当者は、本業の収益力の回復に大変注目をしておりました。なかなかだと思います。もちろんメイン取引の地方銀行が、永年に亘り面倒をみていることは十分承知の上です。

 結局、この会社に対しての入口商品としてメガバンクは売上増が着実なのを見抜き、新型の当座貸越商品( コベナンツ特約付・枠1 0 0 百万円) を組みました。現在では、早くもメイン行並みの取引となっている状況です。

 本業の収益力(営業利益)が回復になり、増加傾向になった時、素早い銀行は動き出す時代が到来しています。

 

大久保直之


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