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西嶋和夫の「社長のための坐禅入門」 5号

「坐禅のやり方(その1)

[1]坐禅をおこなう場所

 坐禅の場所は、屋内であることが望ましい。仏道に類似した流派の中には、戸外で坐禅をすることを認める例もあるようでだが、道元禅師がかかれた普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)では、「静室よろしく」と規定されており、戸外での坐禅は認められていない。

 坐禅の場所は、昼も夜も明るくなければならない。最近の諸寺院では、むしろ薄暗い部屋で坐禅をすることが一般的であるが、これは誤りである。

 坐禅の場所は、冬は暖かく、夏は涼しくなければならない。坐禅を一種の苦行のように考えて、夏は暑く、冬は寒いような環境を誇張する考え方は、はなはだしい誤解である。

 坐禅の場所は、静かである事が望ましい。しかし、あまり神経質に考える必要はない。

 坐禅の場所は、必ずしも広い必要はない。道元禅師も「人間の身体が、入りさえすればよい」と言われている。

 坐禅の場所は、必ずしも山村がよくて、都会は不向きであるという事もない。

 

[2]坐蒲(ざふ)

 坐禅をするに当っては、丸くて黒い坐蒲(ざふ)を使う。

 普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)の中では、「蒲団(ふとん)」という言葉が使われているけれども、「団」という字は、本来「丸い」という意味の字であるから、今日一般に使われている「布団(ふとん)」という長方形の寝具も、この蒲団(ふとん)という言葉から出た言葉ではなかろうかと考えている。

 この道元禅師の時代に使われた「蒲団(ふとん)」という言葉は、今日では一般に、「坐蒲(ざふ)」と呼ばれている。

 坐蒲(ざふ)は、直径36センチ程の丸いクツションである。中には、カポツクと呼ばれる植物繊維を充分に詰め、人間の体重を載せて腰を下ろしても、15センチから20センチ程度の高さが維持できるようにしてある。

 中に、例えば、木綿のような繊維を詰めると、木綿が固く固まり、弾力性を失って、長い間には、使う事ができなくなる恐れがある。

 ちなみに最近は、インターネットの検索サイトで「坐蒲」と入力すると、通信販売で購入できるようである。

 もしも、坐蒲(ざふ)が手に入らない場合には、毛布などを何回もたたみ、15センチから20センチ程度の高さにして、じゅうぶん坐蒲(ざふ)の代役をつとめさせることができる 

 あるいは、普通の座布団を3〜4枚重ね、その角を使つて坐蒲(ざふ)の代用とすることもできる。 

 家庭で坐蒲(ざふ)を作る場合は、布はすべりにくい材料を使う必要がある。高価なものである必要はないけれども、丈夫でしかも縫いやすいものがよい。

 畳敷きの部屋を使う場合でも、個々に座布団を使えば、足の痛むのを和らげることができるし、板敷きの部屋の場合は、足が痛くない程度のカーペツトその他が必要であり、重ねて座布団を使用することも、足の痛みを和らげる点で役に立つ。

 また坐禅をおこなうときの服装は、僧侶や尼僧でないかぎり、お袈裟(けさ)を掛けていれば充分であり、お袈裟を調達するまでの期間は、平服を使って坐禅をしても、いっこうに差し支えない。 

 しかし、私としては、経営者であれば、お袈裟(けさ)はそう高過ぎる値段でもないので、道元禅師が期待されていたように、僧侶だけでなしに一般の人々もお袈裟(けさ)をかける習慣を広めたいと考えている。

 あるいは、一部の流派では、坐蒲(ざふ)の代わりに、小さな長方形の座布団に似た形のものを使用し、坐禅をしている例があるけれども、その場合には腰が低すぎるために、腰骨(こしぼね)を垂直に立てることができず、自律神経をバランスさせる事ができないので、注意してほしい。

                                       (次号へ続く)

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