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「ガケ」 |
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| レンジャーが崖をロープを使って昇り降りする訓練って、知ってますよね。 あれ、昼間だから、まだいいんです。 ヤバイのは夜の訓練。暗いところは基本的にヤバイ…。 それも、昼間でも普通の人は絶対に入り込まないような、うっそうとした山。 夜にもなると、何も見えない。足元はおろか、自分の足も見えない。仲間の隊員も見えない。本当に真っ暗…。 すぐ隣で一緒に行動していた同僚が、突如、崖から転落して、大ケガしてしまったことも、実際にありました。本当に何も見えないんです。 皆さん、本当の暗闇を経験したことあります? あー、いつも暗闇かぁ(笑) ある日、いつも通り、深夜の山中を移動をしていた時のことです。 たまにあるのですが、コンパス(方位磁石)が、全く効かない地帯に突入してしまった。磁場の関係なんでしょうけど、日本でも、結構コンパス効かない地帯ってあるんですよ。 レンジャーはマラソンでも、地図なんかありません。コンパスが常に命綱なんです。 困った。でも、任務を遂行するため、皆で声を掛け合いながら移動を続けていたんです。 しばらくして、突如、号令! 「1歩も動くな!! 絶対に!!。」 瞬間で空気が変わったよね。マジで…。 日頃から命令には絶対服従のレンジャー隊員たちは、文字通り、1歩も動かない。ピタリと完全に静止したまま、じーっと潜んでいる。かなり直感でヤバイと思った。 確かに、ナニかイヤな予感が… そのうち、だんだん、夜が明け、空が白んでくる。 すると目の前に、想像以上の信じられない光景が… 部隊は、100メートルはあろうかという、崖の直前だったんです! その崖の先端に倒れた木があり、自分の足はまさにその上… 文字通り、死の一歩手前。死に片足突っ込んだ状況…。 もう、一生の思い出…。今でもアリアリと思い出す。 落ちてたら、どうなったんだろ? オー、コワー! 危機管理って、よく聞きますよね。最近では大企業の不祥事とか、テロとかのニュースとかでも。危機管理が出来ていない。危機管理マニュアルに不備がある、とか… 危機って、本来、想定できないことが起きたから危機なんです。 マニュアルで対応できる範囲は、「計画通り」なんです。 何も見えない中での、最後のドタンバでの瞬間的な判断とか、カンっていうのは、人間の本能なんです。直感です。 しかも、色んな多くの修羅場くぐるほど、危機に対応する本能が発達するんですよ。だから、我々には分かったんです。 それに、任務を遂行する、という責任感だと思う。ボーっとしてたら、絶対に察知できなかったと思う。それと、集中力のおかげだね。 人間、チャンスに気付いて掴み取るのも、前向きに努力している人間だけにある本能。 危機を察知するのも、修羅場を経験した人間が、責任を背負っている時に目覚める本能なんですよ。 まあ、運が強いからね。 マネ、しないでね。(笑) |
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村冨 譲二 |
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