「地方企業の成長策」 08号

「将来ビジョン」を描くことが、窮状回避にもつながる


 前回まで、自社の再生もしくは,更なる成長を実現するための基本姿勢や、自社の「売りモノ」を生かすための発想法などを解説してきましたが、ヒントを得たからといって,早速取り組める経営者はほんの一握りかと推察します。

 更に厳しさが増す中で、日々の売上げ確保,資金繰り等で東奔西走し、じっくりと自社の「売りモノ」を見直したり、生かし方のアイデアを考えたりなど、とても手に付かないというのが本音ではないでしょうか。

 しかし、自らの経験からしても,そのような状況にあるうちはまだ余裕があるように思います。もっと切羽詰まって来ると,精神的にも追い込まれ,不安が募り、冷静にモノが見られなくなり、相談できる人も少なくなって孤独感が募るようになり、最悪の状況に至ってしまいます。

 このような窮状を避けるためにも,先ずやらなければならない事は,「現状をさらけ出す」こと、将来に向けての「ビジョンを描く」ことです。



「今まで」と「これから」を線引きする。

 今直面している状況は,「今まで」にやってきた結果と割り切ること。過去からの実績を含め,今までの社内事情,外部環境,経営者の方針,取り組みの結果であったので、反省を含め実態を明らかにする事です。

 とかく、社長は資金の問題など,ある程度把握しているのだが直視するのを出来るだけ避けて,がんばれば何とかなるという気持ちが強くて、社長自身も実態を正しく把握していない事が多いものです。(自分だけがそうであったからかもしれません)

 ともかく,早急に専門家の力を借りてでも、実態を明確にする事です。

 実体を正しく把握する事により、問題解決に当たっては,専門機関や専門家に相談した際に正しい判断が出来,解決策を得ることにつながります。

 いずれにしても,多少の犠牲を払っても一度清算する覚悟をして取り組むことです。

 そして、「今まで」を一度整理しておけば過去を引きずる事無く、一度区切りを付けて、「これから」に向かって目標も明確になり、積極的に取り組めるようになります。

<添付図「今まで、これから」を挿入>






■ 自分の夢(ビジョン)を熱く語れ!

 「今まで」は今まで,これからは新しい挑戦目標に向かって取り組むのだ,と割り切って新たな目標「これから」を熱く語れるようであれば、現状の問題解決と同時に、新しい挑戦目標に対していろいろな支援(資金調達,人材、ネットワークの活用,専門家の協力、その他)も得られる可能性が生まれてきます。

 現状も明確に把握できていなく、将来に向けての考えがまとまっていない経営者に対して,いくら大変だからといっても,資金を出す所は無いはずです。

先ずは、自分の夢のラフスケッチ,あら筋でも構わないので、本心で熱く語れる将来に向けての「ビジョン」を掲げる事です。



■ 社長の『元気』『やる気』,変える『勇気』があれば,再生は可能になる。

 社長は目標を失った時に先ず,「元気」がなくなります。そして精神的にマイナス思考に陥り,「やる気」が出なくなります。そして,過去の成功体験やプライド、メンツが邪魔して、状況が変わっても、簡単に自らを変えられないのが「社長の性」です。

 しかし、新しい挑戦目標ができれば,直ぐに「元気」も「やる気」も甦り、先を明るく見る事が出来るようになります。また自らを変えて行こうとする「勇気」も湧いてくるので、自ずとチャンスも広がり、支援してくれる人も増えます。


■一人で考え込むより,早く相談すること。

 社長というのは悲しいかな、いざとなるとなかなか本音で相談できる相手がいないもので、孤独になりがちです。そして,自分の知り得た範囲の情報で決裁しなければならない立場です。

 資金調達一つ取っても,自分では万策尽きたと思っても、いざ専門家に相談してみると、まだまだ沢山の選択肢,施策があることが分かったりします。(具体的な事例等は後々ご紹介します)

 “三人よれば文殊の知恵” 特に最近では,以前と比べると格段に中小企業,ベンチャー企業に対する支援体制が整いつつあり、また新しいルールや、再生に向けての選択肢が沢山得られるようになっています。

 従って、今や一人の専門家だけの知識や情報だけでは解決できないことも、各専門家の知恵と情報を組み合わせるといろいろな解決策を見いだすことも出来ます。

 先ずは、社長一人で考え込んでいるよりも、一日も早く専門家に相談することです。

 早ければ、それだけ選択肢も多くなります。特に、ジリ貧の状況が続いている企業は,まだ何とかなると思って、ぎりぎりまで新しい挑戦に取り組もうとしないために、事業としての魅力もなくなり,後継者にも見放されて廃業に至ると言ったケースが多く見かけますので、要注意です。


 次回から,再び『これから』の自社の姿を描くためのヒントとなる発想法,参考事例や、資金調達のいろいろな手段に関してもご紹介していきます。





内海悟


参考図書
 『日経で学ぶ「経営戦略の考え方」
(日本経済新聞社刊 1575円)


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