「地方企業の成長策」 05号

自社の「売りモノ」「強み」を生かす発想法。
-- 地方企業再生への道 --


●「取り組み」の心得

 「自社の売りモノを改めて見直してみよう、なんてのんびりした事を言っている場合じゃない。“もっと深刻だ?”」と、お叱リを受けそうです。

 事実、統計によると全国で600万社ある事業所(法人、個人事業所を含む)のうち、およそ年間35万社が廃業ないしは、清算している実態があります。新規に開業する27万社を加味しても、年間およそ8万社ずつ減っている計算になります。

 更に、地方企業は格差といった問題を抱える所も多く、厳しい現実の中で、急ぎ自社の再生、更なる成長を目指して、これから先の作業に取り組んで行く必要に迫られている訳です。

 その際、くどいようですが、次の事を心して真剣に取り組む事を約束して下さい。生半可では、途中で挫折するか、失敗に終わります。

再生に挑むことは,苦しいことである

挑戦しない者は、更に苦しみが多いと知るべし





自社の「売りモノ」の絞り込みと、「生かし方」を発想する。

 自社の「売りモノ」に対し、社長が使命感,天職意識をもって、本当に打ち込む自信があるかを検証するために。先に上げてもらった自社の「売りモノ」ベスト3について、下記の確認作業をして下さい。



【作業…その(3)】

◆自社の「売りモノ」が、現在どのような状況にあるか整理する。
 以下のポイントでチェックして、実態、要素、原因,理由等を箇条書きにする。

・自社の「売りモノ」がどの程度、現業に生かされているか。

・本来の「売りモノ」が色褪せてしまっていないか、或は、市場環境、売りモノを増やしてきた影響で価値が下がってしまっていないか。

・「売りモノ」に、更に磨きをかけられる要素が残されているか。

・他の売りモノを削ってでも、打ち込むだけの価値がある「売りモノ」か。


◆この作業を通して、社長自身が本気で取り組んでいける自社の「売りモノ」を再度吟味し、絞り込んで下さい。(今後の作業の中で更に本当に打ち込める「売りモノ」か、を検証する機会がありますので、仮でも良いので、核となる「売りモノ」を決めて下さい)



●知恵と工夫で、どんなに限られた「売りモノ」でも生かせるし、発想いかんで「弱み」も「強み」に変えられる。

 自分の手掛けた事業の話で恐縮ですが、私が創業した日本で初めての飲食店向けのデザート専門企画/製造販売会社は、ほとんど資源らしい経営資源を持たない状況で、企画し起業しました。

 人材は、コンサルタントという立場の人間一人と秘書役の女性一人、その他の資源(モノ、カネ、情報)はほとんど持ち合わせていませんでした。強いて上げれば、自社の「企画力」と顧問先と,コンサルティング業務を通じて築いてきたネットワークくらいでした。

 そんな、ほとんど資源を持たない状況で事業を興そうなどと考えたのは、仲間の飲食専門のコンサルタントと居酒屋で一杯やっていた時、“飲食店がデザートで困っているんだよ”という一言を耳にしたのがきっかけでした。

 その時とっさに、顧問先の菓子店が頭に浮かび、そうだ、売り上げ拡大を図りたい菓子店とデザートで困っている飲食店を結びつけられたら、両者にとって願ってもないことだ、顧問先にも大いに貢献できるぞと思ったのです。

 そこから戦いが始まったのですが、全国の飲食店を対象に何も持たない会社がデザートの企画,製造,販売までを、自社の「売りモノ」=「企画力」だけを頼りに実現し、多くのマスコミに取り上げられ、短期間のうちに全国で1,000店舗以上の飲食店との取引が始まりました。

 どのようにしたら、そんな嘘みたいな話が実現できたのか、また「売りモノ」をどのように生かしたのか、具体的な内容を次回以降にご紹介しますが、今から思うと売りモノは「企画力」だけでなく、「持たざる強み」があったからこそ成功したのだと思います。

 今後ご紹介する企業再生に成功した多くの地方企業も、また、十分な資源を持たず、むしろ“ナイナイづくし”の中で、経営者のこだわり、信念と知恵で自社の「売りモノ」を生かして成功を収めています。

 発想の転換,知恵を使えば限られた資源、「売りモノ」であっても,それを生かし再生する事も、更に事業を成長させることも可能です。先ずは,我が社では難しいだろうと諦めずに,自社の「売りモノ」を整理してみて下さい。

 次号から、「売りモノ」の生かし方、「弱み」の分析、解消法を具体的な事例をご紹介しながら解説します。

 直ぐに、参考にして取りかかれるよう、「売りモノ」の整理に専念して、準備しておいてください。

内海悟


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