「地方企業の成長策」 04号

社長の「こだわり」と明確な「売りモノ」が成長の源


 どうですか。自社の「売りモノ」「強み」を箇条書きにすることができましたか。
 事業も長い間続けているうちに、

◆ 自社の「売りモノ」が明確でなくなった。

◆「売りモノ」と思っていたものが。評価されなくなった。

◆ 業界そのものが衰退している為に「売りモノ」だったものが、「売りモノ」 と云えなくなった。

など、現在、何が「売りモノ」なのか、曖昧になってしまい、箇条書きにするのも苦労していませんか。

 この時点では、「売りモノ」の品定めはしないでおいて構いません。自社、社長自身、あるいは地域の本来の「売りモノ」「強み」が何かを、原点に帰って、改めて自問自答してみて下さい。また、社長が、どのような「こだわり」を持って事業に取り組んでいるか、「こだわり」要素も箇条書きにしてみて下さい。

 現状を改善し、将来の成長を実現する最も重要な作業です。時間をかけてでも真剣に取り組んで下さい。


<作業…その2>

⇒「こだわり順位」(優先順位)を付ける。


 次に、書き上げた、自社の「売りモノ」「強み」に社長の「こだわり」で最も重要と思うものから順番を付け、上位3つの、自社の「売りモノ」を挙げて下さい。

 本当は一つに絞ってもよいのですが、この時点で一つに絞るのはかえって難しいですし、この後の作業での発想を柔軟に行う為にあえて3つにします。

<「売りモノ」の参考例>

・代々受け継いできた伝統家具づくりの匠の技がある

・地元に全国に誇れる農産物がある

・長年鋳造メーカー一筋で、今日まできた

・天然木材を使った独自のパネル工法を開発した

・昔から陶器の村として知られていて、分業の組織がある

・クリーニング店を長年営んでいて、独自の水洗いの技術を持っている

・定年退職した金属加工技術者が地元に沢山いる

・紳士服のメーカーとして、いろいろな要望に応えられるノウハウがある

・地元の大学と共同研究できる環境にある

・地元に観光資源が豊富にある

・特殊な素材を製造する技術を持っている

・地場の海産物を使った独自のメニューが人気

          ・

          ・

          ・

地方企業の成功例をみてみると、必ず核となる「売りモノ」と取り組む人の「こだわりが」介在しています。



自社の「売りモノ」を生かす、選択

選ぶべき、「環境適応」の方法。

 さて、「売りモノ」が明確になった所で、次に、「売りモノ」をどのように生かすかを考えなければなりません。

 大きな変化の中、変わりつつある環境に適応しなければなりませんが、大手企業は、「M&A」や、「スクラップ&ビルト」などが可能で、自社の『売りモノを変える』ことも出来ますが、中小企業の場合は、現実的ではありません。むしろ、自社の『売りモノを変える』のではなく、自社の売りモノの『生かし方を変える』選択をすべきです。

 自社の「強み」を生かす際には、もちろん地域資源や立地条件等も、多いに考慮して下さい。

 そして、とことん知恵を絞って、自社の「売りモノの生かし方」を見つけ出すことで、環境の変化に適応して行きます。


● 自社の役割、位置づけ(ポジショニング)を明確化して、生かす。

 「箱根山、駕籠に乗る人かつぐ人、してまた、その草鞋をつくる人」と詠われているように、いろいろな役割の人がいて、それぞれが重要な役割を演じ、そしてはじめて、一つのものが成立しているのです。

 マスコミで紹介される成功事例をみると、野球で云えば、4番バッターばかりがクローズアップされている感が強いのですが、実は、縁の下の力持ちがいるからこそ成り立っているのです。

 そこで、自社の「売りモノ」を生かす際に、先ず自社の資源、性格、体質を把握し、自社が一番力を発揮できる「役割」が何かを明確にして、その中で新しい挑戦に挑む事をお勧めします。


  「売りモノ」「強み」--------|

  「こだわり」     --------|----⇒  一連の選択作業

  「役割」「ポジショニング」---|


 ただし、どれをとっても、重要で、いろいろな可能性、問題点、課題を含み、いろいろな事が頭をかすめ、考えれば、考える程、決めかねて、この時点で諦めてしまう人も多いので、とりあえず、思いついた答えを書き上げていって下さい。

 心配しなくても、これから先の作業の中で、検証をし、試行錯誤を繰り返しながら、最終的に自分の信念にまで高められるように取り組んで行きます。あまり考え込まずに、気楽に作業してみて下さい。

 次回より、いよいよ地方企業が抱える諸問題に触れながら、より具体的な取り組み事例や、作業内容を解説します。


内海悟



出版局トップにもどる
日本経営合理化協会 出版局 TEL:03-3293-0041