「地方企業の成長策」 03号

行き詰まった時は、「原点に帰る」。


 さあ、いよいよ「覚悟」も決め、「挑戦」しよう、と心に決めたものの、いざ具体的に行動を起こそうとすると「何を」「どのように」取り組んでいったら良いか、分からないというのが本音ではないでしょうか。

 また、地方企業の成功事例などに刺激を受けて、同じように取り組んでみようとしても、自社で抱えている問題、取り囲む環境、資源(ヒト、モノ、カネ、情報、等)、その他諸事情がまったく違うので、参考にはなっても、“自社では同じようには出来ない” 、“実際に取り組んでみたがうまく行かなかった。どうしたら良いのだろう”、と「答え」を求めてさまよってはいませんか。

 ここで一つ覚えておいて欲しいことがあります。それは、あらゆる世界で、プロと呼ばれる人達は、口を揃えて「基本」の大切さを主張します。事業でも、迷ったとき、行き詰まった時には、「原点」に帰る事が一番です。では、ビジネスにおける「原点」とは何でしょうか。

 人も、企業も、この世の中で、それぞれ「役割」を持って存在しています。そして、「生かされている」のです。厳しいようですが、その存在価値を認められなくなったら、もしくは、必要とされなくなったら、消え去るのみです。

 ですから、「原点」に帰って、自社がどんな「役割」を果たしているのか、今一度、見つめ直してみる事が問題解決の第一歩です。

 いま直面している問題は前述の通り、これまでとは違って大きな構造変化への対応です。単なる「繕い仕事」(対症療法)では解決できません。新たに事業を興すつもり(起業家精神)で、「原因療法」に取り組みましょう。



 先ずは、自社の「売リモノ」の再確認から

 「継続は力なり」といいますが、一方で、長年同じ事を繰り返し行っていると、気が付かないうちにマンネリ化してしまいます。また、積み上げてきた経験も、変化に対応する際に、かえって足かせになる事もよくあります。

 そこで、先ず、自社の「売りモノ」、「強み」(存在意義をなす核となるモノ)を、再確認してみる事から始めましょう。



【 作業…その1】

● 自社の「売りモノ」、「強み」を列挙し、箇条書きにする。

※ 地場産業の場合、地場の「売りモノ」

※ 取り囲む環境における優位性等も、「売りモノ」

<作業上の留意点>

→ 思い付いたモノを、すべて書き出す
→ 自社を他人の目で眺める(客観的に評価する)
→ この時点で、「売りモノ」の評価はしない


「売リモノ」が分からないときは、

(1) 一度、自社の存在を全面否定してみる。
 “自社はこの世に無くても良い存在である”。(仮説)

 でも、ちょっと待てよ。今でも、多くのお客様が自社製品(サービス)を購入してくれている。何を評価してくれているのだろうと、自問自答を繰り返してみる。

(2) 創業より今に至るまで、自社は何を行って来たか、自社の歴史をひも解いてみる。

(3) 自社の事を良く知っている第三者に聞いてみる。または、信頼のおけるコンサルタント等の専門家に診断、評価をしてもらう。



 この作業を行う際に、同時に思い付いた自社の「弱み」も列挙しておいて下さい。(後で、「弱み」の解消法を伝授致します。)、「弱み」にばかり捕われて、悲観的にならないように注意して下さい。

 この作業を、東北のある自動車ボディーメーカーさんで実施してもらいました。
 同社は「脱下請け」を目指して新事業開発に取り組んでいたのですが、担当していた専務に自社の「売リモノ」を書き上げて下さいと宿題を出したところ、“改めて「売りモノ」といわれてもこれといったものはないですよ“、と困り果てた様子でした。

 そこで、社長も交えて、会社のお話を伺っていたのですが、話をしている内に何気なく、”うちは、昭和初期から、ディーラーからのあらゆる要望に応えてボディー作り一筋に続けてきただけなので…“という言葉が聞こえてきました。

 思わず、『それが貴社の「売りモノ」じゃないですか!』、と言って、経験と技術力を生かして「特装車部門」を新たに設け、独自に営業が出来るような体質に変えてゆく事を提案しました。そして、つり専門誌の出版社とタイアップして「バスフィッシング専用車」を開発し、「特装車のメーカー」としての存在をアピールする事に成功したのです。

 なかなか自社の事を改めて見つめ直す機会もなく、また、自らの良さを分析するのは難しい作業ですが、変化に対応して自社を成長させて行く為の最も大切な作業です。まず第一ステップとして、真剣に取り組んでみて下さい。

内海悟



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