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柿内幸夫の「社長の現場改善」94

「“見える”ことの大切さ (その1)

 今回は「見える」ことの大切さについてお話します。

 私は毎日違う会社にお伺いして、その会社の改善のお手伝いをしています。それが私の仕事です。そのため、毎晩翌日指導する会社付近のホテルに移動して、次の日の仕事に備えます。

 先日朝の出勤前のこと、あるホテルでトイレを使った時の話です(少々品がなくてすみません)。そのトイレは、今はもう、半分標準装備になった感のある「ウォッシュレット付き」でした。

 使おうと思ってスイッチを入れたのですが、お湯が出ません。何回か押す動作を繰り返したのですがダメ。かすかにモーター音がするので期待するのですが、やはり出ません。とうとう諦めて立ち上がったところ…出ました。それもすごい勢いで! 

 その結果、出かける直前なのに全身びしょびしょになってしまいました。私にとってはとても大変なことでした。ただその時の状況が、我ながらおかしくて、一人で腹を抱えて大笑いしたので、もう怒る気になれず、ホテルのフロントに怒鳴り込むようなことはしませんでした。

 しかし、次の人もきっと同じ目に遭うと思いましたので、「すぐ直して下さい」と静かにお願いして、そのホテルを出ました。

 しかし移動中のタクシーでは、直前に起きた大事件(?)のことが頭から離れず、ずっと思い出し笑いをしていましたので、運転手さんはさぞかし気持ちが悪かったと思います。

 なぜこんなことになったか!? もちろん設備の故障が原因です。しかし、もうひとつ原因を思い付きました。

 それは下半身に目が付いていなくて(当たり前か…)、ウォッシュレットから突然にお湯が出始める様子が、見えなかったからです。見えていたらあんなに濡れませんでした。

 あまり良い例ではないですね…。ではもう一例。

 私はこれまで、仕事で講演する時は、A4サイズのフィルムに光を透過して、画面をスクリーンに映し出す「OHP(オーバーヘッドプロジェクター)」を使うようにしていました。

 ところが最近では、そのOHPの機械がないところが増えてきています。パソコンにつないで使う「プロジェクター」の方が、ずっとポピュラーです。

 そこで最近は、OHPの写真をスキャナーで読み込んで、パソコンのパワーポイントに入れて、会場に用意されたプロジェクターにつなぎ、スクリーンに映すようにしています。

 もちろん、プロジェクターの方が機械としては最新鋭ですから、明るいし解像度も高く非常に良いのですが、実際に使ってみると、不便なことも多いと気付きました。

 それは、フィルムを「見ながら」選ぶことができないという点です。フィルムの束をガサッとつかんで、何ページも先にあるフィルムを一枚抜き出して…といった芸当ができないのです。

 というのも、講演会では聞い下さっている方々の反応を見ながら、話の展開を微妙に調整したりするのですが、OHPだと簡単な変更が、パワーポイントではとても難しい作業になります。何故なら、ひと目で、先にある複数のフィルムを「見る」ことができないからです。

 またOHPですと、今使っているフィルムの次に映し出すフィルムが何かを、一連の動作の中で確認できるので、次の画面を頭において話ができて、話の流れが途切れません。

 しかしパソコンですと、その作業は難しく、自分の感覚だと少々話し方がぎこちなくなっているような気がします。

 二つの事例を通じて言いたいことは、「見える」ということの大切さです。

 私は最近、以前にも増して、現場の仕事の中で「見える」ということがとても大切だということに気づき始めました。“何をいまさら言い始めるんだ、当たり前じゃないか!”と思っておられるでしょうね。しかし本当です。

 これから数回にわたって「見える」ことについて、お話をしたいと思います。

 朝晩の冷え込みが気になる季節になりました。皆様どうぞお元気で。

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