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8柿内幸夫の「社長の現場改善」87号 |
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「品質を守る“技能伝承”のやり方」 |
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| 残暑お見舞い申し上げます。 品質・安全にかかわる大きな事故が毎日のように新聞紙上をにぎわしています。 7月24日号の日経ビジネスでは「沈むなニッポン」という特集が組まれていますが、その中には何回も品質崩壊という文字が出てきます。 来年2007年度から、日本の高度成長を支え、貴重な経験を持っておられる団塊世代の方々の、大量退職が始まります。 今まであまり気にしていなかったけれど、退職された先輩が品質の確保において極めて重要な役割りを担っていたのだということが、実際にいなくなったとたんに分かりました、といった声もちらほら聞こえ始めています。 やはり、品質に関する大きな問題が間近に迫ってきていることは、疑いようのない事実です。 ではどうするか? 答はただ一つ、準備をすることです。 「最も強いものや最も賢いものが生き残るのではない。最も変化に敏感なものが生き残る」 (チャールズ・ダーウィン) 例えば、長年ベテランの方しかやってこなかった作業ってありますよね。気がついたら、あの方しか出来ないといった作業です。 これまでも何度か若手に覚えさせようとはしていたが、その度失敗して、結局ここまで来てしまった。このようなことは、どの会社にもあるのではないでしょうか。 今回は、そのような場合に実行して、うまく行った改善事例をご紹介します。
【K県U社の事例】 金属製品のひずみ取り作業において、「歪(ひずみ)の存在を発見して、それをハンマーで叩くことによって歪を取る作業」があった。 若手作業者が選抜され習得を試みたが、歪の様子は何とか目で見えるようになったものの、次のハンマリング作業は複雑でなかなかマスターできなかった。 先輩作業者も親切に教えてくれてはいるが、ハンマーの叩く方向や力の入れ方などは言葉では表現しきれず、その上、材料金属のロットによっても、性質がばらつくといったこともあった。 ●解決策 歪がしっかり取れていないと、次工程の切削加工において、しっかりクランプすることが出来ないということが分かり、その若手作業者と次工程作業者がペアーを組んでハンマリングの出来ばえを評価することにした。 すなわち、後工程の人が実際に機械にセットしてみて、どうセットしにくいかをセットのたびに直接伝えることにした。 どうセットしにくいかという説明は、必ずしもハンマリングの出来ばえを、直接に説明するものではなかったが、重要なヒントを分かりやすく説明できていた。 そしてその場でハンマリングで修正をして、再び機械にセットし再評価を受けるクイックフィードバックを繰り返し、かなりのレベルでのハンマリングが出来るようになった。 そしてレベルが向上するに従い、先輩の仕事のやり方と、その説明の言葉のニュアンスが一致するようになり、理解度が急速に向上し、ほぼ技能の伝承をすることが出来た。 「身体全体を使って商品を造形する複雑な組み立て作業」において、先輩作業者は自分では作業が出来るのだが、そのやり方を若手作業者にうまく説明できず、若手作業者が出来ないとイライラしてすぐに怒鳴ってしまい、結局は教えられないといったことを繰り返していた。 【解決策】 2人に別々に同じ仕事をしてもらい、それぞれの作業をビデオカメラを使って、同じアングルからアップで撮影した。そして、撮影した内容を2台のテレビを使い同時に並べて映して、それをその2人を含めた数人で見た。 製造現場だと、音がうるさく、落ち着いた会話が出来ないことが多いが、静かな部屋でお茶を飲みながら、みんなで真面目な雑談をする雰囲気で話しをした。 すると、これまでうまく説明が出来ないでいたベテラン作業者が、2つのビデオのアップの画面を指差しながら、2人の作業場の違いを実に上手に説明し始めた。 そして、その話を中心に周囲の人たちもビデオを見た上での意見を言い始め、若手作業者も何から始めれば良いのかを、具体的に考えられるようになった。 そこで今度は、若手作業者にそこでの気付きを織り込んだ作業をしてもらい、再びビデオ撮影をし、それを2台のテレビで見るということを繰り返した。 その結果、レベルの高い作業であったため、すぐに習熟することは出来なかったが、これまではまったく取り付く島のなかった基本の部分が理解でき、技能伝承の目処(めど)が立った。 …次回に続く。 |
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