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柿内幸夫の「社長の現場改善」80

「段取り短縮の第1ステップ

 突然ですが、私の毎日の生活についてお話します。あまり興味はないと思いますが、ちょっとだけお付き合い下さい。

 私は毎日、違う場所の違う工場にいます。たとえば先週の仕事先を振り返ってみると、月曜日:伊賀市(三重県)、火曜日:沼津市(静岡県)、水曜日:春日井市(愛知県)、木曜日:天童市(山形県)、金曜日:大阪市(大阪府)という具合で動き回りました。

 自宅が町田市(東京都)ですから、仕事前日の日曜日から最終金曜日の夜まで移動のしっぱなしです。

 試しに「駅すぱあと」で合計の移動距離を調べてみたら、自分でも驚いたのですが3022kmでした。これを毎週繰り返しています。

 移動の経路を見ると、東京を基点に行ったり来たりしているわけで、「もっと合理的な移動日程を組んだ方が良い」と、多くの方があきれてアドバイスをして下さいます。

 しかし、私はあえてそれをやらないと決めています。

 もちろん移動先を選択できるのなら、楽な方を選ぶのですが、なかなかうまくは行かないものです。

 私は「個人」ですが、相手の会社は「組織」です。私の都合を押し込もうとした場合、組織で日程の調整をするのはとても大変で時間もかかります。

 問題は移動距離ですが、その時間は電車の中ですから、自分でその時間を活用する工夫をすればムダになりません。

 そこで「ムダは最小限で1ヵ所に集めるのが良い」という私自身の主張に従って、私が動き回っているわけです。

 しかも移動が多いと、けっこう楽しみもあります。

 例えば先週の日曜日は三重県伊賀市にいたのですが、「伊賀上野NINJA(忍者)フェスタ2006」という催しをやっていました(5月7日まで)。

 暇なのでブラブラしたのですが、これが大変におもしろかったのです。

 忍者変身処というのがあって、忍者の貸衣装を借りて変身できるのですが、ペットの犬を連れたファミリー全員が忍者の服装でヒタヒタと散歩をしています。犬もしっかり覆面をして、刀をさしているではありませんか。とても楽しそう。

 そしてもう1つおもしろかったのが、町中のいろいろなところに忍者が潜んでいたことです。みんな歩きながら、それを「見つけたー!」と言って、楽しんでいました。私は1人でしたが、それでも楽しかったです。何より現場・現物が持つリアルな感触が楽しさを増すのです。

         【くの一忍者】               【看板に潜む忍者】
    
【物陰に潜む忍者】
         【ここにも忍者】              【歩行者を見守る忍者】
    

 このごろ各所でいろいろな催しがあり、かなり楽しめます。そして最近それらの内容が以前よりずっとおもしろくなっている気がします。きっとそれぞれの場所で町興しを頑張っている人がいるのだと想像しています。モノづくりの心に通じるものを感じます。

 長い前置きでごめんなさい。先回の続きの「段取り替え短縮」の話を始めます。

 段取り短縮の第一ステップは、生産を止める時間を減らす「外段取り化」です。

 段取りは「内段取り」と「外段取り」の2つがあり、生産を止めて行うのが「内段取り」、止めずに生産の最中に同時に行うのが「外段取り」です。

 この2つの段取りの違いを、駅で切符を買う時の動作を例にしてご説明いたします。

 切符を買うために券売機の前に並んでいる人はみんな早く電車に乗りたいのでせかせかしています。ほとんどの人は並んでいる間に自分の行き先の電車賃がいくらかを確認して、それを買うのに必要な小銭や紙幣を用意して順番が来るのを待っています。

 そして自分の番が来たら、直ちにてきぱきと切符を購入します。

 ところが、中にはこのような準備を全くしないで、自分の番が来てから慌てて行き先の電車賃を探して、次に財布を取り出して…と、後ろに並んでいる人をイライラさせている人がいますね。

 この2種類のタイプの人は全く違うような気がしますが、実はやっている動作は同じです。

 すなわち、行き先を探して運賃を確認し、財布から必要なお金を取り出して切符を買っている。

 2人の間で違うのはタイミングだけです。しかしたった1つのこの違いが、大きな違いとなって現れるのです。

 そしてこの違いが、「外段取り」と「内段取り」なのです。

 ひんしゅくを買った人はすべての作業を他人を待たせながら行いました。すなわちすべて「内段取り」です。

 一方、てきぱき買った人は、他の人を待たせないでお金の準備までを行い、最後のお金の投入と切符の取り出しの時間だけ人を待たせました。これは「外段取り」と「内段取り」を組み合わせて作業を行なったということです。

 まずは、今行なっている段取り替えをじっくりと観察して、前もって準備しておく「外段取り化」の余地がないかをチェックして見て下さい。

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