.

柿内幸夫の「社長の現場改善」73

「加工そのもののムダ

 今回は「加工そのもののムダ」についてお話します。

 「加工そのもののムダ」とは、今、おこなっている仕事そのものの中にあるムダを見つけることですから、かなり難しいムダといえるかもしれません。

 これまでにも、一生懸命にこの仕事をしてきて、かなりの改善もやってきた。だから、以前と較べると、能率も品質も抜群に良くなっているから、「もう改善なんかできないよ」という仕事があったとしても、もしその仕事そのものがムダであったとすれば、その意味で、その仕事は変えていかなければなりませんね。

 例えば、確かにその仕事は必要ではあるけれども、お客様にとって全く意味がない仕事であったらどうでしょうか。

 いい例が、バリ取りです。

 バリがいっぱいついている製品であれば、それはもちろん取らなければなりません。しかし、2つの会社が全く同じ製品を作っていたとしましょう。

 A社では、中間段階で大きなバリができてしまうので、時間をかけて取り去る仕事をしています。

 B社では、工程改善をして、バリが発生しないようになっているので、バリ取りの仕事はありません。

 もし、A社がお客様に製品を納めるときに、「わが社ではB社と違ってバリ取りの仕事が多く、コストも高いので値段を上げて欲しい」と言ったらどうでしょう。笑われちゃいますね、それとも怒られるかな? 

 当たり前です、お客様が欲しいのは使いやすいスベスベの製品であって、バリ取りをするかしないかは関係ないですからね。

copyright© saburo

 このように考えて、改めて仕事のやり方を見直してみると、けっこうムダが多いものです。

 例えば、一人の人が一回つかんだら放さないやり方で、運搬や取り置きをほとんどしないで、一気に製品を組み立ててしまうやり方ができるのに、それをしないで、昔ながらの工程分割のやり方で、たくさんの人が、たくさんの在庫を抱えて作っていたらどうでしょう。

 在庫も運搬も増えますし、生産を開始しても、なかなか完成品ができませんから、お客様に迷惑をかけるかもしれません。コストも上がります。

 あるいは、設計部門が同じような部品をそれぞれの製品ごとに設計していたらば、そのたびに金型をおこしたり、耐久試験をしたり、ものすごくお金がかかります。もちろん、在庫も増えます。

 しかし、もし最終製品は全く違うものになっているけれども、機能的に同じものは同じ部品やユニットで対応できればいいですね。最近の日本車には、そのような考え方がものすごくたくさん取り入れられています。

 このように、お客様の目を意識して、果たしてこの仕事は本当にほめていただけるのだろうかと現場で自問自答してみてください。

 「そんなこと言ったって無理だよ」と考えないで下さいね。もしそう考えてしまった方は、34話を開いて読んでみてください。

 発生型問題達成型問題について書いてありますが、これは達成型問題解決に近いといえるのではないでしょうか。

 問題がないということが問題だ! といった厳しいスタンスで現場改善に臨みましょう。頑張って下さい。

 ※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。
okada@jmca.net
   【柿内先生の最新刊】

現場のコトバ
シツケができる!ダンドリ上手になる!カイゼンが進む!

柿内 幸夫 (著)

価格: ¥1,155(税込み)
中経出版

出版局トップにもどる
日本経営合理化協会 出版局 TEL:03-3293-0041