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柿内幸夫の「社長の現場改善」71

「改善発表会をやりましょう」

 今年最後の発信です。年末のあわただしい毎日をお過ごしかと思いますが、お互い頑張って、すてきなクリスマスとお正月を迎えようではありませんか。

 さて、暮からお正月にかけて、ゆっくりとリラックスした時間を使って来年の会社運営についての戦略を練られる方も多いと思います。

 そこで今回は、少し戦略にかかわるお話をしたいと思います。次回は再びムダの話をいたします。

 私は現場指導の一環で、改善報告会を開いていただくことがよくあります。形式は会社によっていろいろですが、社長と一緒に改善を実行した方々から直接に話を聞くようにしています。

 一人の発表時間は2分くらいの短いものですが、それでも発表する人にとってはかなり大変です。シンプルでいいですよとは言ってありますが、やはり多少の資料の準備は必要です。

 そして、社長や私を含むその他の多くの人の前で話すとなると、緊張してあがってしまうかもしれません。慣れていない方にとってはかなりのプレッシャーになるでしょう。

 それでも私は発表会の実行をお願いします。大きな成果が期待できるからです。
 まず一番目の成果は、経営者が改善発表を聞くことで経営にかかわる貴重な情報が得られることです。

 経営者は会社をより強く変えていくための戦略を立てます。そして、それを実行するための戦術に落とし込みます。この2つの仕事の大切さは多くの書籍に記述されています。

 しかし、いくら社長が戦略・戦術をしっかり打ち立てても製造業はそれでは終わりません。最後は全員で行う戦闘でしっかりと結論を出さなければなりません。

 製造業の戦闘は他人に頼めません。すべて自分たちが行います。そして改善は戦闘です。

 そうであるとすると、その戦闘の様子を発表会を通じて知るというのは大切なことです。もちろん現場を歩いていればそれらを見ることはできます。

 しかし、それらを作業者の方々にまとめてもらい静かな所でしっかり聞くことで、現場の状況を更にはっきりと把握できるし、実行者の努力をほめてあげられる良い機会でもあるのです。

 二番目はその発表の中から、実行者が思いもよらなかった経営レベルの改善のヒントが得られることが多いのです。

 これは今はやりのデーターマイニング(data mining)といえると思います。英語のマイン(mine)は鉱山という意味で、マイニング(mining)は発掘です。すなわちデーターから宝物を掘り出すということです。

 改善実行者は自分が困っていたからしょうがなくやった普通の作業改善と思っていたものが、実はその会社の本質的な問題点の改善に結びついたものであったということはしばしばあります。

 同様にそこの現場での作業改善のつもりが特許取得まで行き着いて、日本全体の作業改善になった例もたくさんあります。

 そして最後は、発表者自身が発表実行の過程で育つということです。人を育てるためにはまずは教えてあげることから始まりますが、その人が本当に育つ究極の教育は、教わったその人が実践を通じてそのことを体得し、今度はそれを別の人に教えてあげることだといわれています。

 改善発表をすることは自分がやった改善を社長を始め聞いている人たち全員にその内容を教えてあげることですね。すなわちその場を通じて発表者が一番育つということです。

 これからの厳しい時代を生き抜き、勝ち進むためにはやはり人が中心です。製造業はその道の専門家チームを集めれば結果が出てしまうような業界ではありません。コツコツとみんなが実践経験を通じて改善を積み上げていくことが基本の業界です。そして、改善発表会はそのためのかなり有効な手段であるということです。

今年一年のご愛読に心から感謝申し上げます。皆様どうぞ良いお年をお迎え下さい。そしてまた来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

  
    こうなってはいけません
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