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柿内幸夫の「社長の現場改善」70

なぜ運搬はムダか

 師走になりました。この時期になると毎年同じことを言ってしまうのですが、時間が経つのは本当にはやいものですね。

 さて今回は、7つのムダのうち3番目のムダである「運搬のムダ」についてお話しいたします。

 「なぜ運搬がムダなんだ、そう言うなら、お前が運搬をしないでモノをつくってみろ!!」

 コンサルタントになりたてであった15年前、物流担当の方がいる場で運搬がムダだと言ったとたんに、大きな声で怒られました。

 もちろん、モノをつくるということは材料を工程順に移動して完成品にすることですから、運搬なしでモノが作れるかといえば、答えはNoです。

 では、なぜ運搬をムダと考えるか? 

 運搬はとても大変な仕事なのですが、実際のところ、いくら一生懸命に運搬しても、材料が少しでも製品に近づくとか、品質が良くなるといった付加価値がつくわけではないからです。

 要は位置が変わるだけということです。

 例えば、北海道で取れた美味しいサケを九州の人に食べていただこうと考えれば、北海道と九州の間の運搬は絶対に必要です。運搬の方法はいろいろあると思いますが、この二点間の距離は変えられない前提です。

 しかし、工場の中を見てみると、工場内の運搬の前提はこの北海道と九州の場合とは違うのです。

 工場の中の運搬はなぜ発生するのでしょうか?

 例えば、第一工程の出口の位置が第二工程の入り口の位置と離れているから、運搬が発生しているのではありませんか。

 もし出口と入り口が隣通しでつながっていれば、運搬はいらないですね。

 あるいは、第一工程と第二工程の生産が同期していれば、一個ずつつながってモノが流れると思うのですが、第一工程が早目につくってしまっていると、いったんどこかにとっておいて、第二工程の手が空いた時に運搬して来て、改めて投入することになります。

 このように、工場内の運搬というのは、運搬しなければいけないレイアウトとか、運搬しなければいけない生産方法の結果による部分がかなりあるということです。

 すなわち、変えられるのです。

 しっかりと根が生えた大きな設備のレイアウトであれば、今日、運搬のムダを発見したからといって、明日中に変えることはできないかもしれません。しかし、もし運搬をムダと考えなければ、未来永劫そのままの状態であり続けるということにもなりかねません。

 何かのタイミングでレイアウト変更をするチャンスがあっても、やらずに過ごしてしまうかもしれません。

 そう考えると、運搬をあって当たり前のものと考えないで、ムダであると考えることが大切なのです。

 もう一つ、考え方の例をご紹介します。

 人手を使って運搬していたものが、コンベアーを導入したので運搬がなくなったと考えていませんか?

 コンベアーを使えば速く楽に運べるけれども、運搬はなくなっていませんよ。運搬は前と同じに存在しています。

 動作が人手から機械に変わっただけです。速く楽にと言いましたが、それはモノが移動する部分での話であって、その前後に発生する停滞や載せ換えは、増えているかもしれません。

 やはりムダはムダなのですから、手段を変えることも役に立ちますが、同時になくすことを考えてくださいね。

 例えば、前工程の出口と後工程の入り口を隣り合わせにして、コンベアーに乗せる作業の代わりに次の工程にセットする仕事にしてしまうということです。

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 何かと気ぜわしい時期になりました。皆様どうぞお風邪など召しませぬようお元気で頑張って下さい。

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