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柿内幸夫の「社長の現場改善」66

「つくり過ぎのムダ」

 それでは今回からムダについてのお話を始めます。

 まず一番初めは「つくり過ぎのムダ」です。このムダをまず最初にご説明することには意味があります。

 7つのムダのすべてがムダであるのですから、どれもいけないことではあるのですが、実はこの「つくり過ぎのムダ」は別格であるといえます。

 一度つくり過ぎを許すと、アッという間に他のムダも発生します。

 例えば多くつくり過ぎをすれば、それと同時に在庫が増え、運搬が増え、その途中でぶつければ不良が増えます。

 在庫のムダと運搬のムダと不良をつくるムダも突然に同時に増えてしまうということです。

 逆につくり過ぎをやめてみると、その場でそれまで見えていなかったその他のムダが突然に顕在化します。

 不必要な(多すぎ、早すぎ)つくり過ぎをやめれば、その時にはつくる必要がないのですから、手待ちになりますよね。瞬時に手待ちのムダが顕在化するわけです。

 手待ちがあることが分かれば、この忙しい時期にはやってほしいことはいくらでもあるわけですから、どんどん改善が進みます。

 そして、そのつくり過ぎを止め、お客様が欲しいというものをちょうどいいタイミングでキチンを作れるようになると、私が「最強のモノづくり」で主張している「流れ」が生まれるのです。

 ちょうどいいタイミングなのですが、9月29日(木)と30日(金)の2日間にわたって、日本経営合理化協会主催でそれぞれ大阪と東京にて「1個流し生産導入法」というセミナーを実施したばかりです。たいへん盛り上がったセミナーでした。

 その時の内容と様子をお知らせいたしますので、このムダを取ることがどれだけ大切かを感じていただきたいと思います。

 まず最初に世の中の変化というテーマからお話を始めました。

 現在、景気は回復しているようです。これは第63話でもお話しましたね。明らかに時代の変化点にいると思います。しかし、このような大きな変化の時が同時に大きな選別の時でもあります。

 そよ風の下ではすべての草花は静かに同じようにゆったりと揺れています。強い草も弱い草も同じです。しかし、ここで突然とてつもない強風が吹くと、弱い草はすべて吹き飛ばされてしまい、強い草のみが残ります。

 この選別の時に私たちはどのような改善をするべきかということなのですが、今こそ世界に通用する新しい強いモノづくりを目指すべきだと考えます。

 それを9月12日号の日経ビジネスの特集である「工場は日本へ帰る」を紹介してご説明しました。

 そのために必要な考え方が、今回の講演会のテーマである「流れ」です。

 しかし、このテーマは決してやさしいものではありません。やると強く決心して絶対にやり遂げていただくことが必要です。

 そこでプロとアマチュアを比較して自分の会社を変えるプロフェッショナルとして前進していただくようその2つの心の違いをお話しました。

 「流れ」については「最強のモノづくり」でいう6つの流れのレベルを使ってご説明しました。

 しかし、この説明だけでは頭で分かっても納得いくまで分かるのは難しいので、それがバッチリ理解できる実習をおこないました。

 ワイワイガヤガヤと身体を動かしながら楽しく実習を進める過程で、流れのない生産(普通の状態)がいかにムダが多いかとか、いったん流れというものを意識し始めるとそれまでに行き詰まりを感じていた改善が突然に活性化するといったことを体感していただきました。

 その後、山梨県にある甲府共和電業の若いリーダーの久保寺浩二さん(大阪会場)と渡辺忠一さん(東京会場)に、短期間の間に成し遂げた東京にある親会社との間の流れの改善も含めた素晴らしい改善事例の発表をしていただきました。

 甲府共和電業の改善を発表する久保寺さん(奥)、(手前)渡辺さん。

 そして、その後、流れを作るために必要な、多能工化や段取り替えの改善といった具体的なテクニックについての解説を事例の写真を用いてご説明しました。

最後の一時間は事前に頂いていた流れに関してのご質問に私がお答えして、それまでに説明した方法をどのように応用するかについてご理解いただく時間として締めくくりました。

 このように1個流し生産は、つくり過ぎのムダをはじめ、あらゆるムダを徹底的に排除した究極の姿です。

 今回の「つくり過ぎのムダ」から始まって、これからムダについてのお話しを続けます。

 この「ムダ取り」はこれまでに勉強した5Sと同様にモノづくりにおける基本中の基本です。ご一緒に勉強してまいりましょう。

 ※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。
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