.

柿内幸夫の「社長の現場改善」 57

「スタッフがブレーキを踏む?

 現場からは改善提案がたくさん出ているのに、事務所からはほとんど出ないという会社があります。

 そういう工場のスタッフと話をする時、私は「工場スタッフの役割は、付加価値を生み出す現場がより良い仕事ができるようにすることなのだから、現場のためになる改善なら、自身がどんなに厳しくても実行しろ、アイデアがなければ現場に御用聞きに行け、ボケッとしているな」といった檄(げき)を飛ばします。

 先日、K県のS社であったことですが、その会社の生産計画は一ヶ月前に先行情報としてコンピューターによって出力されます。

 しかし、それは確定情報ではないので、そのままでは生産することができないのですが、驚いたことにそこの生産管理部門は確定情報に関しては全くノータッチなのです。

 すなわち、現場は確定計画なしで生産をせざるを得ないのです。結果として、製造が営業に確認を入れたり、それができなかった時は生産した部品が使えなくなったりといった大きな問題がありました。

 確定計画が作れないなどということは、システムの性質からしてあり得ないと思うのですが、生産管理のスタッフは「できない」と言い張ります。

 しか、諦めないで議論を続けていると、「できない」というのは、これをやろうとすると夜間にコンピューターを操作しないといけないからできないと言っていることが判りました。

 すなわち、コンピューターの性能とかではなく、会社のルールや自分たちの都合で、そんなに残業をすることができないから無理と言っていたのです。

 これを読んでいる皆さんでしたら、私が何をしたかは想像がつくと思いますが、その場で工場長に深夜残業をしてもらう許可を取り、時間をやり繰りしてもらって実際に直近のデーターをインプットし、強引ではありましたが、とにかく確定計画を作ってもらいました。

 結果は思ったとおり、うまくいきました。

 製造は一切の余計な仕事をすることなく、確定計画に従って生産をおこなうことによって能率は向上し、また無駄な仕事も激減しました。

 それだけではありません。これまでは夜間作業をしなければできないと言っていた確定計画作成ですが、実際にやってみたところ、その場ですぐに良いアイデアがスタッフから提案され、これまでどおりに、昼の時間だけで十分に確定計画が作成できるようになりました。

 今回は結果オーライでありましたが、会社を引っ張るべきスタッフがこんな状態では困ります。

copyright© saburo

  しかし、私の見る限りにおいては、スタッフにこのような傾向が強いのです。製造現場と違い、スタッフはその仕事の内容が外からは見えづらく、場合によってはその人しか分からないという状況が多いのでこのようなことが起こりがちです。

 しかし、今日の激動の時代に、工場の変革を速めるアクセルを踏むべきスタッフが、ブレーキを踏むようなことがあっては絶対に生き残ることはできません。

 スタッフの力いかんによっては現場の改善が生きも死にもします。

 スタッフ部門の提案の状況を確認してください。そして、もし今回私がお話したような傾向を発見されたらすぐに手を打って下さい。

 御用聞きをして現場の要望を確認し、ブレインストーミングをして、それの実現方法を立案し、そしてすぐに実行です。

 改善は現場だけのものではありません、全員のものです。全体最適の基本中の基本といえるでしょう。

 大変な時代です、全員で頑張りましょう。

 ※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。
okada@jmca.net
       【柿内先生の本】

最強のモノづくり
御沓佳美・柿内 幸夫 (共著)

価格: ¥15,000
日本経営合理化協会出版局

出版局トップにもどる
日本経営合理化協会 出版局 TEL:03-3293-0041