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柿内幸夫の「社長の現場改善」 53

「改善のスピード

 これまでの2回で「ブレインストーミング」と「KJ法」の話をして参りました。これで新しい年度に何をするかが決まったと思います。

 そうすると、次のステップのポイントは、いかにそれらを早く実行するかということになります。

 私の経験では、ここで停滞してしまう人もけっこう多いものです。

 数年前にある大企業の役員の方と話をしていた時、彼がこんなことを言いました。

 「うちの会社でもついに改革に着手することになった。これからはどんどん変わるよ!」

 彼の話ではその改革は3年計画で、すでにスタートを切っているということでした。

 その中身と進め方に興味があったので、「教えて欲しい」と頼んだところ、次のようにスケジュールを話してくれたのですが、それは驚くべきものでした。

 どう驚いたか!?

 まず一年目は、意識改革の年ですでに始まっている。管理職全員に意識改革の本が配られていて、みんなで読んで感想文を出させているとのことでした。それ以外にも、講演会を開いたりする予定があるとのことでした。

 二年目は調査と計画立案の年、そして三年目が実行の年とのことでした。

 要は、最初の二年は、何もしないと宣言したような内容でした。

 私は正直に、その遅さに呆れたということを話したところ、彼はいたく気分を害したようで、その場ではその話題は打ち切りました。

 しかしその会社は、その後、急激に経営状況が悪化し、三年計画なんて悠長なことは言っていられなくなり、結局は、最初の二年間の予定はすっ飛ばしてすぐに改善を実行することになったのです。

 その結果、見事に経営危機状態を脱出されましたが、そのタイミングで、一時的に経営が悪化して良かったのではないかと思えます。

 しかし、この事例はそんなに特別なことではありません。ちょっと何か新しいことをしようとすると、「まず今月からデーターを取り始めます」といった声があがります。

 もちろん、やみくもに何かを始めてしまって大きな間違いをしては困りますから、そのやり方が間違っているとはいえません。

 ところが、これがいつもそうだとしたら何かおかしいと思います。

 すなわち、全く経験がなく、すべて実験をしてデーターを取らないと何も分からないという事態はそう多くはないと思います。実際には、これまでにそのことに関していろいろな経験を積んでいるのですから。

 そうだとしたら、これまでの経験をベースに、どうしたらいいかの仮説を立てて、それに基づいてすぐに改善を始めましょう。

 そして、その過程でついでにデーターを取って仮説が正しいかどうかを検証すればいいではないですか。

 学校の勉強ではないのですから、毎回キチンとデーターを取ってから始める必要はありません。

 データーはすでに頭の中に入っていることがほとんどです。ただし、きちんと記録されていないのでうまく情報になっておらず説明できないかもしれませんが、みんなで立てた仮説に基づいて、すぐに改善を始めることによってしっかりと構築していけば良いのです。

 世の中はすごいスピードで変化しています。その変化のスピードより遅ければ置いていかれます。

 頭に入っているデーターをみんなで話し合って情報に置きなおして、それを現場で即実行して結果を出すのです。

 私が良く例に出す「人間シミュレーション」もこのすぐやることの実例です。

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