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柿内幸夫の「社長の現場改善」 44

「最も変化に敏感なものが生き残る

 先回、景気回復基調であるがゆえに、「気をつけないといけないこと」についてお話しました。

 そして、そのことを私の指導先でも話してみました。すると、その話を聞いた私と仲の良いリーダーがこう話しかけてきました。

 「先生は、いつでも気をつけろとかそんなことばかり言ってませんか? たまには違うことも言ってみたら。」

 実はそうなんです。

 私はいつもそのようなことを申し上げ続けています。ただ、それには、私なりのきちんとした理由があります。

 けっして、狼少年のように、実体がないのに「狼が来たぞー!」と叫んでいるのではありません。

 景気は良くなったり悪くなったりを繰り返します。

 いろいろな理論があるようですが、常に変動し続けるものであることは間違いないでしょう。そして、ある時間帯の中で行ったり来たりを繰り返すものであるといえるでしょう。

 私はその動きをブンブン振れている「振り子」にたとえて説明します。

 例えば、向かって左側が「不景気」、そして、右側が「好景気」であると考えて下さい。

 振り子は左右に振れ続けます。一番左側が「不景気の極地」、ついちょっと前がそうであったと言えます。そして、一番右側が「好景気の極地」と考えて下さい。

 一番左側はとてもつらい状況ですが、その反対の右側もやはりつらいものです。

 拡大による資金繰りや忙しすぎることによる過労死。どちらもいやですね。一番良いのは、その中間である振り子の真ん中の部分でしょう。

 しかし、何しろ振り子です。その一番ありがたいと思われる「ど真ん中」は最もスピードがついていて、あっという間に通り過ぎてしまいます。

 極楽と思われる状況は一秒もありません。ヒュンでお終い。

 そして、一番つらい両端はどうでしょうか。

 これは動きの方向が変わる点ですから、一瞬、停止します。すなわち、一番つらい所に一番長い時間いるということです。

 つまり、私たちはほんの一瞬の停止時間以外は、常に反対側のつらい極面に向かって移動をしているということなのではないでしょうか。

 そこで、冒頭の彼の質問に戻りますが、私は常に「それぞれの企業にとって、今は何をすることが来るべき変化に備えることか」を考えています。

 だから、私は彼が指摘したような発言をするのです。

 私の講演会にお出でくださった方は、私が開口一番で、ダーウィンの進化論の中の言葉である

 「最も強いものや最も賢いものが生き残るのではない、最も変化に敏感なものが生き残る

 という言葉を使って、その日の講演内容をご説明するのを聞かれたことがあるでしょう。

 あるいは、私がお手伝いをさせて頂いている会社の方々は、すでに何回となく聞かされて耳にタコができているでしょう。

 私たちはついつい、今日明日のことで頭が一杯になってしまい、その先のことは後で考えようといって、結局、後回しにしてしまうことがあります。

 とくに現在、超繁忙の毎日をお過ごしの方はそうなりがちです。ある程度は、仕方がないと思います。

 しかし、私たちが常に振り子の動きに従っているのだということを決してお忘れなく。ダーウィンの法則に例外はありません。

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